イェア! 元気にえろげってるかい? 仕事で忙しくてもえろげる、これが漢の魂を表現する術の一と言えるんだ! 太古の昔から曰く、 えろげとは欲望の昇華、はたまた日常という長い航海の中途にある港・・・ ・・・無駄に高いテンションの冒頭と全く合わなくなってしまってどうしよう、とか思ってるのは内緒です。 さて、今回のゲームは、 思い出アルバムです。2000年、トラビュランスの作品です。いきなり古めのを持ってきたんですが、選択に他意はありません。 |
※以下ネタばれあり注意 |
☆ストーリー |
---|
主人公(子安裕一)は、高校生活最後の一年を迎えていた。その高校は、彼が幼少の頃、今は亡き父と一緒に砂遊びなどをした思い出の地であり、またその父が通っていた学園でもある。いつの季節だったろうか、夕映えに染まる古い木造校舎は、主人公の記憶に蜜柑色の郷愁を刻み付けた。その校舎と父の思い出を胸に、主人公は高校生活を送っていた。 ところが、担任が言うことには、この木造校舎は今年を最後に取り壊されることが決まったとのこと。 父との思い出を、蜜柑色に映える校舎の思い出を残すべく、普段は万事に消極的な主人公の手は、アルバム委員会の候補者となるべく挙げられていた。 しっかり者の委員長の里浜蛍、ソフトボール部キャプテンの三崎奈緒、図書委員の長沢伶、そして主人公の親友溝口みなみ(男)とともに、この校舎の姿を残す最後のアルバム委員会が発足した。 という設定で、まあ有体に言えば 女3人を落とすわけですが、私は文句なく 合格点です。 ていうか在りし日の中学高校時代を思い出したい人、まず買え。そしてやれ。若かった時の自分を無理にでも思い出してシンクロしてくれ。今現在中高生の人、真の学生生活がここにある。まずやって、それから現実の恋愛を楽しむがよい。 えろげやる人が恋愛とかねぇ・・・ とかいう世間一般の常識に満ち満ちた突っ込み不可。 |
☆動作環境 |
---|
音声がなく音楽のみですので、ハードディスクの容量は250メガ程度ですみます。あと、CDは入れっ放しにしたままプレイしなければいけないそうです。 あ、あと、勝手にメッセージが流れていくTEBU-RA MODEというものがあるのですが(むっちゃ楽です。お勧め)、これをやる際にはスクリーンセーバを外しましょう。セーバが起動すると予期せぬトラブルが起こります。 いやメッセージがいきなりどっか画面外に出てしまったりとか。 |
☆システム |
---|
普通のえろげシステムですね。特筆すべき点は余りありません。まあマウスしかダメだというところくらいかな不都合は。 展開としては、他の女の子に関しても同じですが、とにかくターゲットのいる場所に行ってフラグ立てまくるという方法でコンプリート可能です。難易度はなきに等しいですね。セーブもいつでも相当量できますから。 あ、ポイントは、 女の子の音声が全くないというところかな。喘ぎが聞きたいという方にはちょっと不向きかも。 かなりいい感じのエッチシーンが展開されるだけに、なおさら惜しい感じがします。 |
☆里浜蛍 |
---|
多分彼女がメインヒロインですので一番最初にターゲットにしたわけです。 学級委員長(うあぁ懐かしい)として、アルバム委員会まとめ役をがんばる彼女なんですが、途中の不和イベント(けんかするんですよ)の原因がちょっとどうかと思う。つまり動機が弱い。かつ後述の通り急過ぎ。そりゃ勉強の悩みで八つ当たりするのは分かるけど、あまりにも対応が子供。ていうか主人公、途中で「自分も悪かった」とか言ってるが、 大丈夫おまえは悪くないぞ。で、けんかする原因が最初全くわからず、私モニタの前で なんやねんこいつと呟くこと数度。で、後半で明かされた本当の理由を聞いて一言、 なんやねんこいつというわけです。いや伏線はあるにはあるんだけど、しっかり見てないと見逃しますよ。ほんと一瞬ですから。 で、気になる気になる致命的な欠点が。 それは、蛍シナリオに関しては ストーリーの展開が速過ぎるということ。 一つ一つのエピソードが消化不十分のまま先に進んでいくものですから、ちょっと、いやかなり戸惑いを憶えるのです。 ああもう少し、しっかりとストーリーを練りこんでほしかった。そうすれば、突っ込み無しにゲームできるはずです。 その意味で、非常に惜しいものとなっております。 しかぁし! この蛍のストーリー、 中学生日記ですか?と突っ込みを入れたくなるほど 若いんですね。ああもう仲直りから手をつなぐところとかまぢで 背筋がむずむずするかもね。プレイヤーはこのあたりでモニタから視線を外してタバコをひとつ吸い込むこと間違いないって。 え? 私? オレはまだまだ若いっすよ!!!という感じでしっかりと見届けましたよ二人の逢瀬を。 そこから、自然な感じで、ほのぼのと、しかし 突っ込みどころいろいろとありってな展開でエッチシーンに進んでいくのですが。 いやびっくり。 いい感じにエロいっすこれ。まいったねこれは。いや特別何か技巧を尽くしたプレイとかアブノーマルな関係になるわけではないんですが、それまでをプレイしてきた人にとっては、これは何と言うかもう、 「ほぉ・・・」と呟くしかないのではないでしょうか。 で、エンディングもすっと入ってくる展開。 ただ一つ気になるところ。 キミたち大学は受かったのか? エッチシーンですが、これは、 使えるの一言で十分でしょうか。私は過激さよりもこう何というかしみじみとクるパターンが好みなもんですから、本作品のような流れは非常にGood。 抜けます(断言)。いや抜けました。蛍かわいいし。 ただ、エッチシーンがシナリオごとに一回で、しかもそれが長いんです。 しかも途中からの、つまりレンタルのアダルトビデオで言えばそこだけ妙にテープが荒くなっていて映像が悪いところ、いや分かりやすくなってねえな、すなわちヌキどころからの回想不可。よって、 早漏の人には向いていません(誤爆)。絵がよく動き、前述したテキストの豊かさも相俟って、十分に楽しめる出来になっています。ただ、作家さん、いきなり蛍に 菊門責めを敢行したり、女子高校生に 「しんぼうできないよぉ」と言わせるのはどうかと思うんですが(笑)。 で、これだけのエロさですから、 女の子の音声無しはかなりもったいないと悔やまれます。 |
☆三崎奈緒 |
---|
大絶叫していいですか。Goooooooood Joooooooob!!!!!!!!!!!!!!!!!いや私基本的に自分を「ボク」と呼ぶ女性キャラクターはだめなんですが、奈緒はそんな私の観念を見事に打ち砕いてくれました。 手放しで誉めます。それほど奈緒シナリオはいい出来です。 いやそりゃAIRとかKANONとかさ、手間暇かけて作ってるものならもっといいかもしれないよ? でも、でもね、 プレイ時間1時間半でこれだけのものが味わえるんならんですよね。 展開が早いのは蛍と同じ。ていうかアルバム委員になってけんかして仲直りしてエッチという展開がそもそも同じ。この同一パターンがよく不評とされていますね。 しかし、 奈緒のスポーツ少女という設定から来るが、荒っぽい展開を自然に仕上げています。 いや何たって仲直りの方法が お互いしばき合うってそんな古典的な、と思うのですが、しかしそれに納得してしまうのがポイントです。ああ奈緒ならこうやるかもな、と納得する、いやさせられるのですね。 不和イベントへの動機も首肯できる。そして、 助けてほしかったという台詞と、伏線として張られている 実は幼馴染という設定が、そう意図されたかは別にしてすばらしくマッチしています。 で、途中で皆実(後述男キャラ)が奈緒に告白し、三角関係ということになるのですが、この展開も高校生らしくて、途中私は わくわくしながら、とか、 「みなみん、ここで来ないでどうする」とか、もう久し振りに若さあふれてました。 そして、会話がすごく自然。皆実との掛け合いも、このシナリオで最も活き活きしてきますね。 加えて極めて秀逸なのは奈緒の告白からエッチシーン冒頭。 詳細を書きたくて書きたくてしょうがないのですが、これは リアルタイムで味わってほしいのであえて書きません。ただ一言、 うおぉ若いっすまぢで。 でも、こんな告白をされたら絶対に 男は落ちます。ていうか私は伶をクリアしたら絶対にもう一度やります。 エッチシーンですが、 やはり使えます。ややアブノーマル気味ですが、ていうか主人公非常識に強過ぎですが、蛍シナリオではややくどいと思われた豊富なテキスト群が今回は非常に生きています。 極めて 情緒的なエッチとなっておりますので、精神面を重視する方には非常に有効と思われます。 最後に付言します。 皆実にも注目です、このシナリオ。 |
☆長沢伶 |
---|
・・・いやあしみじみです。 一番自然な流れですねこのシナリオ。重ね合わせることができる部分が最も多いです。たとえて言うならば、奈緒シナリオは うんうんと納得させられるんですが、伶シナリオは、 いつの間にか入り込んでいるという感じです。 せっかく持つことができた目標がもろくも崩れ去っていく瞬間、しかもその崩壊の原因が自分にないその時、きっと彼女みたいな気持ちになると思います。 ええ私はこのゲームをやる際には 気合を入れて感情移入するようにしているもんですから、もう不和イベント解決直前のシーンはただじっとモニタを見つめてましたよ。あ、ちょっと目から水が・・・ ただ、これは好みなんですが、ちょっと起伏がなさ過ぎるかな。奈緒シナリオを楽しんだ後だから、伶シナリオを終えた直後はともかく、しばらくたつとやや物足りなさが・・・ 目標を失いかけた人の姿をもう少し映してあげて欲しかった。 それよりも、特筆すべき点は図書委員という彼女の設定から来る読書好きという点。いやあこんなところに伏線が張られているとは思いませんでした。か、「家庭の医学」ってそれはないでしょ(笑)。 いや、 いい解説でした。 お決まりの不和イベントから仲直りに持っていくところは若くて若くて微笑ましいです。 「遅れないで来て下さいね」ってあっはっは。 しかも、告白シーンがなぁ・・・ 正直に言いますと 一本取られたかもです。いや見え見えなんですけどさ、やっぱ奈緒シナリオの後だから・・・(意味不明だと思いますがそれは実際にやって確かめて) で、伶さん、 アプローチってどれだったんですか?そりゃ思い当たるところは多少あるけど、 無理だってそんな微妙じゃ!!!!(笑) エッチシーンですが、 有用でしょう。しかも、 笑える。いやここで伏線が生きてくるんですよそれはもうリアルに。 まさか日頃の成果がこんなところで現れるとは・・・ しかも巨乳だし。 とにかく、 有用、それも秀逸な出来です。テキストの台詞の感じも伶がベストかな。 ただ、主人公、今一度言わせてもらうけど、 おまえ強過ぎ! 何だかすんなりと書いてしまったんですが、これもひとえに、 伶シナリオがだと思います。シナリオコンプリート後のさわやかさは一番です。 このミッションの短さでこれだけの内容を描けるということは素晴らしい構成力ということでしょう。 |
☆溝口皆実 |
---|
いや男なんですがね。しかもどっかのゲームみたいに攻略対象では断じてありませんが。 こいつ、 すげえキャラ立ちまくり!!!ていうか みなみんラヴ!!! 彼は主人公の親友という初期設定なんですが、攻略対象ごとに役回りが違います。これってば作家さんにとっては非常に楽な使えるキャラクターなのですが。 まず、 必ずシナリオに絡んでくる姿が素敵です。蛍シナリオでは 不和の原因、伶シナリオでは 妙な立ち回りを見せる男(ていうか、騙されかけました)そして奈緒シナリオでは・・・ だめだこれを書いてしまったら終わりだぁああああああ!!!とにかくからみ方が絶妙。一見の価値とは言わずシナリオごとに三見の価値あり。 さらに、 日常会話が秀逸、我々が高校生のころクラスメートとやっていたような会話が流れて、もう苦笑するやら突っ込むやら。 いや私は特に 高校時代にこういう会話を人一倍楽しんでいたもんですから、感動もひとしお。高校から引き続いて今でも私と彼らとの間で交わされるたわいない言葉の数々を、まさかえろげをやっていて懐かしくかつ嬉しく思うとは考えもしませんでした。 とにかく、 あまりメッセージスキップするなということ。 |
☆テキスト |
---|
このゲーム、テキストがそれなりに充実しています。 テキスト作家さん、かなり気合入っていたんじゃないでしょうか。えろ〜げのテキストとしては上物の部類に入ると思います。 まず、日本語がまあまあきちんとしています(えろ〜げではこれがなっていないものが余りに多い)。そして、表現もいろいろ使い分けられていて首肯できます。穏やかな郷愁を漂わせるストーリーにマッチしたテキストといえます。比喩表現も見られます。 読み飛ばさずに一度は頭に入れることをお勧めします。 ただ、読んでて思ったこと。 この作家さん、作中でも「アレスラン戦記」とか出してるだけあって、 多少田中芳樹の影響を受けてますね。ところどころ表現を工夫しようという意図が見え見えな部分があり、またそれが成功していない個所も見受けられます。 ま、でもいいでしょううんうん。 |
☆総評 |
---|
一言ですみますか。絵が気に入れば買い。前回の「胸キュン! はぁとふるCafe」よりも段違いに買いです。 特に、AIRとかKANONとかの大作をやる暇がない 忙しい人にお勧めです(爆)。すぐに秋葉原に行きなさい。プレイ時間が総計だいたい6時間(3人全部合わせて)くらいでこれだけの爽快感が味わえるのは滅多にないことです。 ネット上にあるレビューには、しばしば シナリオ展開が3人とも同じで甘いといわれていますが、何の事はない、同じシナリオだからこそ3人の微妙な個性が垣間見られるのですから(少なくとも私はそれを楽しみにやってました)。 在りし日の高校生活を思い出しながら、ていうか これやる時はとにかく自らを感情移入させるよう自分を追い込めというアドバイスとともに、今回のレビューを締めくくりたいと思います。 さぁて、と。 奈緒シナリオでもやるか。 |