つぶやき

帰り道

急いで家に帰るひとたちと逆に歩くと気が引けるからわたしも家に帰るふりをして200メートルくらい、そろそろいいかなと思って振り返るとうつむいていたひとたちがいっせいにわたしを見てもしかしたら帰り道を探しているのかと問い詰めてきました。白と黒の...
つぶやき

ひとのかたち

ひとは自分でつけたわけでもない名前を呼ばれることで愛されていると感じる変な動物です。それがひとならばずっといっしょにいればいるほど名前を呼ばなくなるのはひとが動物である名残です。だいすきってチャットするよりもただ名前をひとこと書いて送る方が...
つぶやき

こころがけること

やわらかいものをたべるとやさしい気持ちになれるから、だれかが歩く脚の残像がどこかでわたしの脚と入れかわってわたしをそこへつれていってくれるのを待っています。きっとその街の名前はわたしには発音できないくらいすてきな場所で生きてるうちに立ち入っ...
つぶやき

やりたいこと

ひとになにかをしてあげるのあげるっていうことばがもう間違ってるって思うのはなにか傲慢な気がするのだけど、なにかをしてあげたことへの見返りを求めるひとがいるのはしかたないのです。でもあなたに効く薬をつくることができたらって、そうあなたになにか...
つぶやき

わからないこと

あまいあまい果物のシロップ漬けを目の前に、別になくてもいい仕事をしているから直にいただくのは大罪だと思ってしまうのがわたしの悩みのひとつです。だれか知りませんか、どうやって幸せと不幸せの境界を区切ればいいのかわかりません。知りたければ世の中...
小品

どこになにを

光の加減でうつくしくなったりみにくくなったりするひとやものが多すぎるから真実を探すのをあきらめて、みんなそこらへんにある事実だけが正しいって片づけるようになりました。事実があることだけがすべてだからわたしたちのこころの中にあるものはなにも意...
つぶやき

いとなみ

踏切をきちんと渡れたら今日はその先の商店街でおいしいお惣菜を買って、ほんとうは通りのはしっこで売ってるソフトクリームも持ち帰りしたいのですが完璧な先っぽが溶けてしまうから毎回あきらめます。振り返ると夕方の光の加減がいちばんいいときに散歩する...
つぶやき

去り際

人並みに映画とかドラマを見てるつもりですが、今まで「そう、なんだ…」って台詞をうまく言えてるひとを見たことがありません。ライブ中のMCみたいにそこで冷めてしまって、歯をみがきに洗面所に行ってしまったらもうテレビに戻ってきません。歯みがき粉は...
つぶやき

意識のそと

パスタメジャーで計るとすこし量が多いような気がします。リアルで感じるぬくもりがいちばんだってだれも思わなくなることが世界にとってしあわせだから、わたしたちはだんだん弱くする音楽の記号の名前を思い出せないときと同じように忘れてしまいました。み...
つぶやき

もうすぐに

風に吹かれた桜の花びらがカップに淹れた紅茶にひらりと落ちて浮かぶ確率と、ドアのカギを閉めたか心配になって戻って確かめたらほんとうに閉まってなかった確率は同じくらいだそうです。晴れの日のベランダになにも干していないのがもったいないからお風呂に...