あくび

たとえば顔を洗うように一日を過ごせば右から左に描かれたやわらかな線にそっていつのまにか開いてるファスナーもたまにつまずく取っ手が取れるタイプのでこぼこも鏡に向かって吹きこんだ息に雲ひとつなくふくらんだ泡のなかに、だから探しものはポケットのなかに、色違いに慣れたかわりばんこのマグカップのコーヒーにはお湯を沸かしているときの顔をどうかうつさないで、半透明のわたしはふわふわなタオルと湯気を待っている答えに導かれてただテーブルの彩りになります。

手元をはなれた夜にひらいた窓のあいだ、かりかりのパンの上のチーズだってほんとうは朝に溶けたかったのかもしれないからさかさまの時計はそのままに、ノックしなくていいボールペンの文字は夏の終わりのサイダーみたいに飲み干せなくてどこからも切れない封は階段を上った先の踊り場の手すりに寄りかかってながめる景色にかすんでしまうでしょう。のこされたひとは背中を追いかけるだけでせいいっぱいなのにそこらへんのだれかがうつむいてはいけないとかいうのです。

そうして今日は話さなければいけない日だったりすると帰り道がおなじにならないようにちょっと机をかたづけて、最後の一秒まではりついて取れない眠気と手まねきがコンビニに行く理由になっても雨はまだやまないから早すぎる痛みといつもいっしょの笑顔がきっともっとかんたんな髪のつくりかたを踏みこんでおしえてくれるのです。肩にかけたかばんがちょっとかるくなったらそばにうまれたことを知るためにわたしのかたちをすこしくらい変えてもいいのかもしれません。