いつか

草から木になったのならたぶんいいことなんでしょうって緑の葉っぱに聞いてみたらあまりいい答えではなかったようでした。こころをたとえるならこんなにさみしさが澱んで息つぎが間に合わなくても橋げたは人影がない時間が好きそうで、たんぽぽの綿毛が飛んでくるのをたのしみにしてるって和音が組み立てた段ボールがそっぽを向いてぼそっと歩いていきます。ずれていく気持ちを言い訳に終わりにしたいのなら一度もならべたことのない涙をぜったいにお皿に載せないで、夜はもうすぐ長くなくなるのですけど。

おやすみのことばを旅人が聞いても差し伸べた手のひらにやがてこぼれていく行き先に口をつぐんで、迎えにくるひとつひとつの歌詞をくっきりとした輪郭で待ち続けた日付のまなざしを一粒だけ先に落ちた雨がこころ細そうにここにいるってくろい出口にくるって回っているのです。だまされる方がいいならそっとそれを差し出して、いなくなっていいからまだあなたのことばを知りたいのに今だけっていうのはずるいってふっとラジオが切れたようにつぶやいて、ほどけた髪はもどらないのだから寄りそってくれても。

それはたぶんそうだったんだって正反対の日の長い前奏が観客席に座ったおなじ顔に目がくらんですれ違ったポケットはからっぽで、ありふれた黄昏に目を閉じて横たわったわたしはいずれ海のあわにとけてもう二度と歌わせてくれないんだろうなってぼんやりと考えていました。翼になれなかった羽根はやわらかくあなたをつつもうとして、ことばを止めて、揺れる舟のように離したくないこころを前髪にからめて、きっと最後にはどこかに行ってしまうからずっと息がしろいところでしゃがんでいます。