ありのままでいいことなんて世の中にほとんどないから、今日も外でめがねをかけないひとが素顔の魅力100%できらきらと笑っていてうらやましいです。わたしの素顔は目の前のしあわせをとりこぼすから外に出るときはもうひとつ目がほしいのですが、額だと前髪に隠れるしあごのあたりだとものが食べにくいし、今日もつける場所に困って目がなくて、ふたつくらいしあわせを見のがしました。ほんとうはすきなひとができていたかもしれなかったのに。みっつ目があっても振り向いてくれるといいな。
ぜんぶ混ぜると下に落っこちる絵の具で風のキャンバスに空を描いたらやっぱりぜんぶひっくり返って、わたしたちは空に暮らすことになりました。なにかに文句をつけることが生きがいのひとがまいにちふわふわする自分のことにせいいっぱいになって世界がすこしだけしずかになりました。SNS用の写真を撮ろうとドアを開けたひとが上に落ちていってきっともう戻りません。帰れなくなったならいつまでもいていいって神さまがおおきなフライパンとおおきなたまごをくれたから、目玉焼きにするかスクランブルエッグにするか悩み中です。
わたしはわたしのことがすきではないからだれもわたしのことをすきにならないことをいやとは思わないけど、わたしの地図を広げてもわたしの行き先が見えないのはちょっと困ってます。自分がすきなひとだけがやる気というものを手に入れられるって、そんなに世の中自分がすきなひとだらけなんだと思うとげんなりして、わたしはここから動かないままおおきな目玉焼きを食べてまんぞくして、ずっと空からだいすきなみんなをながめてたまに手を振っています。星のまたたきに気づかなくてもいいけど、すきなものがぜんぶ壊れるならうれしいかも。