その間

ひとりで歩くための右と左の空白を水で満たしてつま先まで深呼吸を通したら夜の裏の色に移ろう空がひび割れてそろそろ涼しそうに、下から見えない高いところに降る雨はすこし気だるげに新しい机に置きたい白いものを選んでくれました。不意に吹いた風に拗ねてしまった公転の周期が不規則に膨らんで急カーブによろめいて、見ないふりをしても戻る光に返る窓に触れた指がそこにない手紙を破って、明日の外はどうか逆に回れるように、とまどうグラスに満たされたワインの色を暮れる夕焼けに重ねて、約束が距離を思い出します。

まっすぐ伸びてなくても聞こえる糸電話はなんか流行らなくて、おいしいケーキを刺したフォークがふっと止まって、ばっとカーテンを開けると通行止めのポールが満面の黄色と黒の笑顔で静かに膝をかかえて座っていました。筆が走る音を聞いたことがないひとはこちら、だれもいない手のひらの上にずっといたけど石はどこにも転がっていません。きらきらしてなくてもいいのに後ろ姿から逃げていく紙切れに遠い庭が透けて、今日の熱を持ちきれない朝の日差しが最後の声のトーンを吸い込んで、へんに真顔な一日が始まります。

夏休みの1ヶ月分は1時間で書けるくらいにさっぱりと、2時間おきに洗う手のひらで口を隠してわらってばかりの果物はまな板の上でぷつんと破れた風船にお辞儀をして、言ってることがわからなくても笑顔がまぶしくないなら浅黄色のサングラスが役に立ってなによりです。全部が埋まっていた昨日のうちの置石を刻んでも表示されない文字を3時間後に生け捕りにして、なにも書いていないメモをアップしたらみんなきっとそこに書かれるはずだったことばを勝手に想像してくれます。わかっていればそうしたのにって。