ちいさな気持ち

グレーな空にぽつぽつと消えそうなフレーズをかき集めてひとりでもだいじょうぶになったらことことと電車に揺られながら窓の外に遠ざかるペンダントライトにわらいかけてみますか。不意に鼻をつく金属のにおいがどこから来るのか気になってそんな古い曲なんて知らないのになつかしいのは気のせいなんかじゃないんでしょう。身代わりのだれかがこれからビルの自動ドアをくぐってオフィスの席に座りますけどたどる息を重ねてもほっとするアイマスクはかなしみをあたためていくだけです。

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バゲットのわだちの端にひっかかるバターとマヨときみのひとこと

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