いつまでも定まらない日をまたいだところに筆を払って、ふと気づくとまた机の上のカレンダーの曜日を数えています。晴れた朝に窓をいっぱいに開けて部屋の空気を入れ替えるのがたのしみになる季節です。昨日作ったレモンソーダのグラスを片づけるのをさぼってコースターについた輪っかに名前をつけられませんように、声を出さないときは衣擦れの音を聞くようにしたくてバランスボールにべったり座って、それはわたしが決めたところだって胸を張ってはとめを打ちました。
月に1回くらいは重力を感じながらベッドに倒れ込んでもいいことにすれば何回アイロンをかけても向かい風に逆らって歩く服を許せるようになると信じてます。耳鳴りじゃなくてちゃんと鳴ってる音だったことに安心して、前の景色が点々だらけになってもなにかすきなものを探しに行って、適当につむいだパッセージがすごくきれいな糸を奏でるのになんだかほっとしてしまいました。全世界をミュートにして裏ごしした思いをココットにゆっくりと均等に流し入れてそっと冷蔵庫に閉じ込めます。
フィルムをはがす指先はキャンディの包み紙の甘やかすことばにだまされて、どこかで非常ベルが鳴ってもどうせ間違いでしょってねむそうに、自分らしくなろうっていうけど自分がわかってるひとなんていないからそういう商品がたくさん売れています。寄せては返すおしゃべりにすこし雨宿り、放課後に見ていた空をだんだん思い出せなくなるのはとてもいいことだってだれかが言ってたことにしたいのは今日の空気が昨日よりも冷たいから、なんでも自然なのがきれいなわけではないのですけど。