キャセロールにつめこんだおしゃべりのかけらはいっしょにとおくまで行きたかったひとのことを思い出せなくなったときにいただいて、ふと立ち止まる駅のホームにころがった嘘はつなげた星占いの下で寝られなかったわたしの昨日をひきずって、うれしかったころの名残りでちくっとするうしろ髪はていねいに上書きするようにブラッシングして、もうくりかえさない色とりどりのメロディは余ったドライハーブのようにほろ苦くて、そうやってどこだって行けるようになったのにドアが閉まる夢しかおぼえていないのです。
たった1分でも浮かぶ水の夜に触れてみないとわからないならその服を着たくないわたしはあきらめますからプレゼントのシンプルなデザインのボールペンでひさしぶりに書いた文字が普通すぎるのに悩んでもいいですか。頭を触られないように捨てるものだけ残しておいたらどこかにいってしまっていつまでも傷口が閉じなくてほんのちいさい手探りの歩幅に吹かれてできたかさぶたとだれもいない部屋にひびくわたしの中のよろこびをさらっていってもいいですか。
ただOKをタップしていれば今日とはちがう明日になるはずだったのに舗装したての道できしむこころに声をかけてあげられなかったのがだめだったのでしょうか、それをかくせばかくすほどまわる時間に追いかけられてそのままでいることに価値があるはずだったのにうつりかわりにだまされてしまったのがだめだったのでしょうか、いつもイヤホンで固くふさいでいるはずの耳のうずをするりと抜けてきた音が名前じゃないみたいに聞こえてしまったのがだめだったのでしょうか。
