広がり

片方しか翼がない小鳥がだれの悪口もいわない街路樹にぽつんとひとりぼっち、あちこち飛び回る群れの行く先ばかり眺めています。おなじ声で鳴こうとしても音程が合わなくて、それをごまかしたくてどんどん声がおおきくなって、やがて恥ずかしさがわからなくなってほんとうのしあわせを手に入れるまでは約束のようなものをさがしているから足りなくてもだいじょうぶだって言い聞かせて残った羽を青く染める方法をいろいろ教えてくれますけどその視線の先にわたしはいません。

繰り返しの最初のところでどうしてもつまずいて画面がぱちぱちと途切れてしまうけど傷ついたとかいってくるひとに謝ってほしいのを飲みこんでまるいものを割り切る瞳はきっとあなたのシステムに組み込まれています。ひとの軌跡をなぞっているだけの毎日はまるで道の先にぽつんとあったはずの日だまりのように心地よくて、もうそこにいないのにいつの間にかそれだけを追いかけて、だんだん足がふらついて息が詰まってきているのにも気づかないままずっと前におかしいって思ったことも忘れてしまいました。

そうしてふと立ち止まった見慣れないところで途方に暮れていたらほんとうに話が合うひとが声をかけてくれるかもしれませんけど、ほろっとするビターチョコを持ってないならうさぎのようにしっかり耳をかたむけて時計を巻き戻してもくるくると浮いていかないように、どうしてここに来たのと聞かれるのを待っているだけでは間に合わなくても血液型とか星座の話は厳禁です。申し訳ないのですが昨日はもう終わってしまって今日も終わり続けているのですから明日のことだけ聞いてくださると助かります。