寒いね。今日は雨だから、恋についてお話ししましょう。
ひとは好きでもないひとと恋に落ちることができるから、わたしの家の窓から見えるあの通りを歩くひとはかならず恋に落ちます。今日もすれ違ったふたりが目を合わせた瞬間に恋に落ちて手をつないで寄りそって去っていきました。自分を磨いて魅力的なひとになる必要なんてなくて、どんなにきれいでも知的でも結局みんな居心地がいいとか落ち着くとかいうよくわからないことばに負けてしまうから、今日もなにもしないで通りを歩いてその日の恋人を手に入れるひとたち。
いま「恋の色 何色」と検索したらすごくたくさんの結果が出てきました。みんな赤とかピンクとか白とかいろいろ思いをめぐらせて、こころに浮かぶすてきな恋もようをじぶんなりにつづります。恋はそのすべてがじぶんのこころからつよくわき出るものだからその色はかならずそのひとの色になります。逆に愛は恋があふれて行動にあらわれたものだからその色はだいたいが最終的に相手を殺してじぶんのものにしたときに噴き出た血の色の赤になります。わたしもだいたい最後は血まみれになります。
なんとなくいつものななめ後ろからすこし見あげるきみのおとがい
靴が合わなくて足が痛くなったときはチャンスです。振り返ってかかとを気にする姿が古今東西男女を問わず気を引くのはもはや常識で、どこの国にもかかとを見るひとの肖像画があると聞きます。あなたがかかとを気にする姿を見てばんそうこうを持ってきてくれたひとの恋がそこから始まります。ありえないことですけど、もしだれも持ってきてくれなかったら、あなたは残念ながらこの世界に存在していないかもしれません。自分を磨くひまがあったら一刻も早く靴を磨きましょう。
甘いことばがキャラメル味になったとき、その恋はおわりを迎えます。二度と離さないって誓った手は既読をつけなくなって、はずんでいた会話は色あせていきます。ちょうど今日のような雨の日、ふたりでひとつの傘に入ったときに肩が濡れるようになったらもう気づいているはず。別れてもたまには思い出してね。あと悪口をいわないでね。連絡先を削除したら、思うかぎりに泣きましょう。ひとは涙が枯れたらまたあたらしい恋を始める資格があります。今日もどしゃ降りの恋です。
涙が出ないならそれは恋ではなかったのでほんとうの恋をしましょう。