半額になってたからちょっと買ってみた外国のチョコレートがとっても重たくて、いったいいつになったら食べきれるのかわかりません。隣に座ったひとがノースリーブでちょっと生ぬるくて変な居心地で、そしたら一駅の間に天気予報が変わってその向こうに電車が緑色に流れていって、それに気を取られてひどく揺られてしまったからもう本を読み続けることができなくなりました。お肉といえばジューシーとしか言わないようなひとがテレビに出てるともうちょっとなんとかならないのかなって思い上がって、こんなかみ合わない一日にうんざりです。
きれいに戻そうとしても戻らなくて自分がわるいってずっと思ってて雑音で気を紛らわせてばかり、肩に寄りかかってもいいけどいらないならそういってくれればいいのに変に気を持たせてくるから、ドアがひとつ閉じたらきっと次のドアが開くんだってひとりで勝手に思ってて、せめてこの胸の鍵だけはなくさないようにしてたのです。でももうこの先にドアはないんだって。もうわたしは先に進めないんだって。わたしはわたしの切り取り線を折り曲げて手でちぎれるようにしておいて、あとはその切れ端を泡にして売り払って生きていくことになりました。
中途半端に余った今日が賞味期限の豚バラをどうしようって一日中、ぼんやりと冷蔵庫を開けては閉めてずっとお肉のことで頭がいっぱいでいったいなにをやってるんだろうって、おとなになってなんでもひとりでできるようになったはずなのにお肉をどうするかも決められないって、だれかのせいにするのはちがうのかもしれないんですけど。これからお風呂に入ってその間になにも思いつかなかったらもうそのまま塩胡椒で焼いてひとくちで、でもそれだけでお皿を使うのはいやだから目玉焼きに添えるとか、目玉焼きがあるならごはんとお味噌汁くらいはあった方がいいかもって、今日もなにも決められない毎日です。
冷蔵庫のお肉のことを決められないひとがひとのことを決められるわけがないのです。