2025-01

つぶやき

シヴィライゼーション

月や星に手を伸ばすというフレーズはよく聞きますが、実際に道端で月や星に手を伸ばしているひとを見たことがありません。同じように、自分はひとりだと嘆いているひとは、だいたいひとりではありません。自分を花のつぼみにたとえるほど思い上がってはいませ...
小品

逢瀬

風船は青空に飛んでいって、ふくらませたわたしの息がそこかしこに隠れています。どんな手袋をしても指先だけ寒い国はここです。そこでは飴玉が一日にひとつだけもらえます。教会の背丈は少し低くて、水をそのまま飲むことは禁じられていました。通貨はアセロ...
つぶやき

インフルエンザ

今までいくつ十字路で右に曲がってきたか憶えていません。たまには左に曲がれるときがあるのかもしれませんが、わたしはいつも右を選んできたと思います。左に曲がった方がいいときがあるのもわかりますが、わたしはいつも右を選んでしまいます。それは損だっ...
つぶやき

おうちの日

まいにちまいにちそこにきれいな花を咲かせるようなベッドメイキングをしようと心がけているのですが、どんな香りを込めるかのイメージがいまだにうまくつかめません。今すぐにいちごを食べないと張り詰めたくちびるがはじけてしまいそうな日と琥珀糖を作るた...
つぶやき

あなたとわたし

白紙よりも文字が書かれた紙の余白の方が静かな気がします。地下鉄の階段を早足で降りるときに吹き上げてきた風が紙を飛ばして、その時に散らばった文字がこれから降る雪の結晶のまんなかになります。文字は文字だけでは音にならないから、雪は静かに降るでし...
つぶやき

謹賀新年

一年の始まりには特別な言葉をしたためたいもの。そう思ってスマホに向かって、もうどれくらい経ってしまったのでしょう。昨日はあれから慣れないお酒を飲んで除夜の鐘も聞かずに寝てしまって、それで変に早く起きてしまって、なかなか書けないまま時間ばかり...