2025-02

つぶやき

もうすぐに

風に吹かれた桜の花びらがカップに淹れた紅茶にひらりと落ちて浮かぶ確率と、ドアのカギを閉めたか心配になって戻って確かめたらほんとうに閉まってなかった確率は同じくらいだそうです。晴れの日のベランダになにも干していないのがもったいないからお風呂に...
つぶやき

声をかけて

菜箸の先っぽがよごれているのに気がつくようになったらおとなになったしるしです。チョコレートのカカオの割合を気にするようになったときもそうです。おとなになったらカトラリーケースをどれにしようかなって思えるようになります。けれどおとなになると、...
小品

おうちのなか

冬の庭に遊ぶまっかな子どもたちにはやさしくしなければいけないから、寝室のベッドと窓の間のすきまスペースにどんな椅子を置こうかってわくわくする時間を邪魔されても文句は言えません。棚に観葉植物を飾ると落ちるのがこわくて落ちつかない気持ちにふたを...
つぶやき

このあたり

ありのままでいいことなんて世の中にほとんどないから、今日も外でめがねをかけないひとが素顔の魅力100%できらきらと笑っていてうらやましいです。わたしの素顔は目の前のしあわせをとりこぼすから外に出るときはもうひとつ目がほしいのですが、額だと前...
つぶやき

チューニング

昨日はほんとうにだめな日でした。仕事も私事もやりたいことをすこしもできずにおわった日でした。そんな日に一気に書いてみます。ばかだなあって思います。無理にテンションを上げようとしてすべったときはガムを噛んでみようってだれかが言ってました。いや...
つぶやき

今だけは

わたしの皮膚は薄すぎて抱きしめ合うとほんとうにわたしをなくしそうだから、もうすこしだけ距離を置きたくなります。落ち込んだときに部屋のすみっこでうずくまってからだをくるむタオルケット1枚分の厚さをプラスしてもゆるしてくれますか。わたしのからだ...
つぶやき

糸の先

持ってないことを自慢するひとはとてもこわがっているのがわかるからそっと抱きしめてあげたいという気持ちはうそではないはず。あなたは(わたしはできない)いのちを賭ければ光ることができるけど、ゆっくりとスーツケースを引いて歩く方がずっとだいじなこ...
つぶやき

まるいもの

ちいさいころ、わたしは誰かの特別になれないんだって気づいたときの、がっかりしたような、ほっとしたような音に似てるから、金属同士がぶつかったときの音がすきです。わたしの特別をしまう引き出しはひとつしかなくてすごくちいさくて、そこに入れるものを...
小品

水の音

月がきれいですねと誰かがいうより前からずっと月はきれいだし、あなたのことがすきですという前からずっとあなたのことがすきです。あなたが振り向いたときに時計の針がぴったり合って、そこから向こうに抜ける道を歩いていたら空気がぱりんと割れました。わ...
つぶやき

かなたへ

わたしは空を見あげているけど、空はなにを見あげているんだろう。それはきっとさえぎるものがない宇宙に広がる満天の星と、その星にわたしたちが託したどうでもいいごみのような願いや思い。スペースデブリっていうんだって。たまにぶつかるたびに空き缶が鳴...