2025-10

小品

放射

いくつもの月の光を重ねた読書灯がそっとのぞき込んだチョコレートの熱にまたたきを移して、いくつかのこす...
つぶやき

別の灯

高いところに行ったらなにもできなくなってしまうからかがやく星に手を伸ばすなんてこわすぎて、目の前を転...
つぶやき

救い

ありがとうの高さや深さを計測するひとがときどきじゃまなことばを消してはお仕事ばかり、オフィスの机のす...
つぶやき

道しるべ

十の位から借りてきた数字はどこかよそよそしくて、うすい夜にかすむ雲の底がほのかに白い横線を引いたらよ...
つぶやき

降りて

いてはいけないひとがねじれたまま、放射状に咲いたオレンジのメロディが空っぽの部屋をいずれ満たしていき...
つぶやき

合唱

行ったり来たりのしっぽに指がとまどって心臓の鼓動がうるさいとき、ひっそりとした街灯の下の木に咲いた花...
小品

静けさ

いつまでも開封されないレターセットがぐっと伸びをして夏の間に溶けてなくなったアイスクリームは記憶の底...
つぶやき

手のうしろ

きれいな姿勢で腰かけて同じ間隔で連続する音符が写真になった瞬間にぴったりと波が止まってしまった画面の...