パフ

ほめられても素直に受け取ることができなくてそんなことないんだけどなって思ってしまう日があったらだめでしょうか。子どものころは3つ以上のお手玉と遊んだ後の片づけができなくてすこしは申し訳なさそうな顔をしなさいって、なんでもできるひとが身近にいたからほめられることなんてほとんどなかったけど、採れたてだから甘みが違うって急にスマホの音量が上がったようなトーンでいわれてもうつむくことしかできないのです。振りかえって自分がどこまで来たかわかるような平らな道だったらよかったのですが。

毎日がそんなわけではなかったのだけど、この時期は新生活に向けたセールが多すぎて声がかすれてしまって、それでいいんだって思えるようになりたかったけどひとつずつしかできないひとは品物をかごに放り込んでそのまますっかり忘れてしまうことだってあるのです。やっぱり雨が降っててすこしさむいくらいがわたしにはちょうどいいみたいだけど、天気が悪いと頭が痛くなるからしかたなく晴れの日に外に出るしかなくて、すこしずつ焼けていく肌とこころが熱っぽくなってくるともうすぐ夏です。

黄色い光の中にまっすぐ続く地下道が消えてなくなる点を見つめることができるひとはきっとその道が正しいかどうかわからなくても努力することができるひとです。その道を歩くことができないたくさんのひとたちのために、いろんな花が散り続ける部屋を作ってみんな上しか見られないように、だってどうにもならないことがあってもにこにこ笑っていればだれかがなんとかしてくれるっていうから、今日ももう一回お手洗いに行くふりをして、気合を入れて顔を作って、なんとかしてもらうためにその道を歩いていくのです。なんなんでしょうねわたしって。