ふわふわのたまごがおいしくてそればかり食べていたらわたしを見たくないだれかの境目がくっきりしてきて赤い花よりも青い花の温度の方が高くなっていきます。ひとり鍵がかかっている宝石箱がいっぱいの部屋に閉じ込められてだいじょうぶってずっとつぶやいていると隣の部屋から行ってきますってきれいな声が壁にしみついていくら拭いても止まらないのです。開かない扉はほっとします。わるいこともいいこともこれから起きないと期待していいのでしょうか。テーブルの上にはうすいお財布がひとつ置いてあります。
わたしの発熱がヘッドホンに移っていって襟を巻いた秘密がとろけて耳を抜けて、泣いても変わらないことばかりなら目を細めれば見たいものが見えるようにつくってくださればよかったのに。オーガニックのミックスナッツは普通のよりもしっとりしているようで、昔といえるほど昔の時間がないのにぜんぶ並列の右と左にあるんだって勘違いしていたのでした。冷めるときに味がしみ込んでいくならわたしはずいぶんしょっぱくなってもう口をつけてくれるひとはいないと思いますけど。
大きな木の影に罪のないひとが集まって見えないものを見えるとしきりに言い張って、どこをノックしても腕時計は正確な時間を刻んでいます。棚の上のちいさなメダルに気づかない子どもはねむたくなったら寝てしまうので背の高いおとながちゃんと正しさを教えてあげないとだめなのだと信じて、そうやって育って着ぐるみの内側であやまったら許してくれるならどんなお願いもずっと迷子のまま、傘をさしても雨はやまないのを当然と思えるようになったら、それは夜中のランタンのようにわたしだけを照らすのです。
