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ねむり

白線の内側に沿って映える写真をならべていつか空の重心まで、疑うこころは白湯で流して今日も座り心地のい...
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秋雨

ティーカップが花開くとちぎれた夢がゆっくりと集まって、かばんに入れ忘れたハンカチがおうちで待っていま...
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放射

いくつもの月の光を重ねた読書灯がそっとのぞき込んだチョコレートの熱にまたたきを移して、いくつかのこす...
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静けさ

いつまでも開封されないレターセットがぐっと伸びをして夏の間に溶けてなくなったアイスクリームは記憶の底...
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スケール

立ち止まった空の手前のさざ波が近くに見えたらひとつ増えた窓を開けて、いつもとおなじ本のページがカーテ...
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その間

ひとりで歩くための右と左の空白を水で満たしてつま先まで深呼吸を通したら夜の裏の色に移ろう空がひび割れ...
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行き先

一筆書きで描いた薔薇が奥へ沈む指先の標識であふれる通りに咲いたとき、凍った水と氷が透明なローテーブル...
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ぬれた水を凍った音で固めて高いところから低いところへ、ふらふらといつまでも回らない鍵盤が枕元でそっと...
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紐の先

手すりに寄りかかった風がひるがえってふわりとだれかの後ろに浮かんだ日付が変わるときに消しゴムできれい...
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中の音

時計の音をしまった部屋はやがて鍵盤の上を走って黄色いしっぽが遠いところからころころと波を追い抜いてい...