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あのとき

かたかたとしゃべりはじめたオルゴールが昼間の耳もとにならんだながい列にほほえみかけると点滅しない信号...
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かなた

生まれたところから99%の凍りついた夢まで歩いた証明書が届くまでは月並みなことばでこころに触れないよ...
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浮遊

ひと粒の雨から明けた空を一枚だけ切り取って水にひたしたカーテンは雲のとなりでまっしろなティーカップの...
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回旋

四つの葉っぱをつなぐ水のつめたさはいつまでも子どものままの視線にゆるんですれ違うはずだった仮定はかす...
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看過

使い古した夜に溶けていったプラスチックの花束は新しい朝に濡れたガラスのお日さまの間から行き止まりの先...
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周回

服を着替えるたびにうすくうすくかすれていく週末の秘密はカーテンの影で息をひそめて、むかしむかしの物語...
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ねむり

白線の内側に沿って映える写真をならべていつか空の重心まで、疑うこころは白湯で流して今日も座り心地のい...
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秋雨

ティーカップが花開くとちぎれた夢がゆっくりと集まって、かばんに入れ忘れたハンカチがおうちで待っていま...
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放射

いくつもの月の光を重ねた読書灯がそっとのぞき込んだチョコレートの熱にまたたきを移して、いくつかのこす...
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静けさ

いつまでも開封されないレターセットがぐっと伸びをして夏の間に溶けてなくなったアイスクリームは記憶の底...