小品

小品

余白

正面から左にターンしてひるがえった白いワンピースの裾が右に残るとそこに空白ができて休符になります。リ...
小品

衝動

ドレープの間のこころは隠したまま、多くのものを失ってしまった後でした。過ぎる月日に甘えて好きな服ばか...
小品

どこになにを

光の加減でうつくしくなったりみにくくなったりするひとやものが多すぎるから真実を探すのをあきらめて、み...
小品

おうちのなか

冬の庭に遊ぶまっかな子どもたちにはやさしくしなければいけないから、寝室のベッドと窓の間のすきまスペー...
小品

水の音

月がきれいですねと誰かがいうより前からずっと月はきれいだし、あなたのことがすきですという前からずっと...
小品

上を見て

特定のだれかにではなくみんなに向けていつもありがとうっていうひとはなにか心にやましいことがあるからだ...
小品

逢瀬

風船は青空に飛んでいって、ふくらませたわたしの息がそこかしこに隠れています。どんな手袋をしても指先だ...
小品

夜空

いちごがたくさん入ったバスケットにあこがれていたわたしは、そんな願いが似合わなくなった年になってもま...
小品

やさしさ

どうせ訪ねてくる人はいないから、わたしは人にやさしくする。ねむれないのに無理やり閉じたまぶたの裏で秋...