いろんな国のいろんなメニューに目移りする日々もいいのですがこんなにたくさんひとがいるのにひとりになるのがおかしいからおうちでわたしの味をした料理を作る時間もいいものです。うそをつくのは苦手なので質問は受けつけませんけどスラッシュが入った記憶の最後が下がっていったからって疑わないで、告白はしあわせをひとに振りかけるときっと自分もいい香りになるはずと信じていたからもう探さないでください。そろそろとか言われてもなつかしい涙はとおいとおい傷に残っています。
半袖はまだ早いかもってコーヒーといっしょに振り返りながらひとがいない時間にひっそりとバラードを口ずさんだりして吹きかけて遅れて表示される歌詞に頼らないままだれもいない無口な交番を通りすぎます。あとをついてきた微熱はかすれた声を忘れて友だちがひとりまたひとりいなくなって白く焼きつけた思い出をたまに弾くと信じられないくらいきれいに響くからどんどんだめになっていくのです。代わりにそよ風がわたしの名前をおぼえていてかすかなお願いと引き換えにどこでもささやいてくれるそうですが。
わたしの巣は色あせた夢のかけらでいっぱいでこのごろねむりも浅くなってきたから今ちょうどいくつか重ねて十字に縛っているところです。管理人さんからは次の資源ごみの曜日に出しておくようにって言われましたけどほんとうは燃やしてしまいたいのです。部屋から出すとすごいにおいがするかもしれませんが新聞紙にくるんで袋に入れたらおこられるのでしょうか。たとえばわたしが消えてしまったらさわられるのを待っているだけでは耳もとにゆれる翌日の雨の気配をすくうことはできないのです。
