インフルエンザ

今までいくつ十字路で右に曲がってきたか憶えていません。たまには左に曲がれるときがあるのかもしれませんが、わたしはいつも右を選んできたと思います。左に曲がった方がいいときがあるのもわかりますが、わたしはいつも右を選んでしまいます。それは損だったのかもしれません。でも得だったときもあったはずです。けれど損をしたときの苦く痛い思い出が強いから、また次もかたくなに右に曲がるのでしょう。

こんなにゆっくりと文章をかみしめて書くことはありませんでした。その分あなたになにか余計なことが伝わってしまうかもしれません。今わたしがすごい着込んでいるからだの熱が、お風呂に2日入っていないからだの、においって書くのと香りって書くのと、こういう場合は香りじゃないのはわかるんですが、この文章って書きなぐっているように見えるのかもしれませんが、30分くらいかかってます。うとうとしながら書いているのがあなたに伝わるでしょうか。

ここから一日あとの文章です。スマホの充電が切れたのであきらめただけです。熱っぽい花びらの数を足していてわからなくなったのです。年ごろのふたりで水族館に行って、押しつぶされそうな景色に胸が詰まって、砕けた水槽がわたしを海星(ヒトデ)にするのです。海月(くらげ)なんてかわいいものにわたしはなれない。くらげを知ってる人はくらげがかわいいなんて思うわけないけど。星と月でそんなに違いがあるのは政治的に正しくないと思います。ゼリーの色はどんな色でも海の色だから、わたしは今海を食べている。

世界中にいる羊をたった今数え切りました。からだが熱いのに眠れなくて、充電も切れそうもないから、あなたになにか伝えることがあるかもしれないと思ってこうしてまた書いています。たいして伝えたいことはないかもしれない。でも伝えたいことがあるかもしれない。そう思っている限りわたしのくちびるはグミのように、誰にもぜったいに触らせないと心に決めて、誰のためでもないささくれをなだめながら、今日はうどんの日。どうしてこんなに目が腫れるんだろう。