夕立

葉っぱが落ちたあとは汚れになるんだって、漫画みたいにベッドに寝そべって足をぶらぶらさせたことなんてないし涙はいつまでたっても涙のままだし、いくら練習しても口笛はうまくならないまま応援されたいひとがとおくにかがやくストーリーを片結びにとじて、おぼえていないハンカチをしのびこませたコップの水滴がつたう先を指で切った温度は部屋のかどっこに押し込んだアルバムの表紙の感触に似てたからこのまま寝られないならクローゼットの奥でまるまってしまえって思ってました。

夕立は夏のいやな汗をきれいに流したあとにひとすじの泥をはりつけて雨上がりの街の高まっていく熱にとかされそうになるから紅茶のフィナンシェは持ち帰りでお願いします。まだボリュームの戻らない大通りはもうひと雨の予感に歩くひとたちをせかしてこんなときを切り取るなら全部うなずいてもいいのかもしれないと考えたときもありました。それでも後ろ髪のすきまにつもるひとりぼっちの気持ちをひっくり返すと砂粒のように細かくていつまでもやまないからおうちに帰ったらちゃんと服にブラシをかけましょう。

わがままはほどほどにしないとその先の誕生日までむかえに行った浅い夜がずっとだれかに電話したままかまってくれなくなります。水の下のようによどんだやさしさはとなりにないのですしあまったってわたしてくれた花束を飾るところもありませんからただそっと日々をすごすために夏野菜をたくさん切って焼いて漬けて冷蔵庫の中で重いまぶたを開けないようにふたをするのです。それでもさみしいと思うなら白い壁の前でいろんな写真でも撮っていればいいのですから。