ここまで雨、ここから晴れるほおずきの代わりのうつわがしろい夢のひもを切って上げたばかりの傘のうちにのこる香りは遊ぶように逃げていきました。ふかい夜のひみつをはじく星くずはそのへんの煉瓦造りのアーチをしらなくてうすい色の花が咲くところを探しつづける祈りのゆくえも海の底の石も過ぎていったひとしか気づかなかったみたいです。こぼしそうになって今まで出したことのない声がテーブルについて振りかえるたびにはずかしくなったグラスが汗をかいています。
もうしばらくしたらその葉っぱも黄色くなって吐息といっしょに落ちていく季節、川沿いのフェンスの向こう側でくりかえす行間を不安になれたうれしさで上書きするのはもういいかなって、ひとこともふたこともかわらない終わりかたをみとめてもはなれて飛んでいくあとをおいかけて風船のようにたかい雲になってまた雨が戻ってきて、真昼のぬいぐるみにわすれたいいわけがこだまする屋上は話しているときによりそった文字の転換点をできるだけきれいにたたんでいました。
朝にねむるようになってから手はあけておきたくてしずかな夏の月のすがたを氷の音にかえてしまいました。曲がりくねった袖の先はだれもとおらない楽器が羽根のように影を告げてうつろう花のこれからをさわれないところに逃がして、さよならのあいさつはリップをぬってからささやかに、浅くひいた糸をかき上げてどちらがながいこころのままでいられるかなってほそいほそいはじまりにたのしくなってしまったのを責められるのでしょうか。その誘いはやがて地下にしみこんですくえなくなります。
