失敗

さわやかな日差しに吹き上がったしあわせをわかちあう川沿いの散歩道では塀の上で背中をまるめてねむるねこをさがすのにいそがしくて169回くり返して流れる願いにこたえてくれないあわあわの意識はおおきな緑の木の下の椅子にすとんと落ち着くでしょう。新しいスパイスボトルが一日前の郵便受けにちょこんと入っていた葉っぱと再会するときに水が明けて移り香るだれかの髪がたいくつそうにひさしぶりとか元気とか返してばかりの短すぎる文章の裏をうつすレンズの可能性をみがいていました。

ほんとうの日記のなだらかな足跡にふらついていつのまにかくもり空が真珠のようにやわらかい手をかさねて思い思いの金色に枯れていく草がつないだともしびのつづきをほしがっています。ささげるとたぶん魔法なんてなかったのでしょうけど左にカーブを曲がると気まぐれな公園があの夏はどこまでいってもあの夏でしかなかったとつけたしてくれました。そうしてにじんでいく断続的な熱が深く強くへんな石をまだらなこころにくっつけていくつものさよならの定義をひとつひとつエンドロールのように決めてしまうのです。

やがて短調の空を切ってすべり込むつばめが息をついだことばを吸いこんで過ぎていくぬるま湯にあせた白線はぽつりと目薬をさしたひとみを上書きして暑い暑い救急車のサイレンを映画のように送っていきました。生まれかわるからだのパスワードはどこにも持っていけないやさしさを傷つけて七色にならない虹のつまびきに聞こえない足音を受けとめたら負けたことがあるひとだけがよいこともわるいことも変わらないかなしさで満たされたスプーンを風に引いていく波と交換するのです。