導いて

マイナスにかがやく金色の星のあかるさはいつも記憶に残っていて砂のようにきしむ公転は空間にこぼれながらじっとわたしの肋骨の内側をけずっていきます。思いもしないぶかぶかの手袋をつけてそっと直した秒針は破裂する字幕のようにあかい祈りをこれから生まれてくるひとにささげてふかふかのちいさなベッドはここにあるだけで最後の音をくりかえして奏でるからその先が昔に帰る道だと知ってしまうのです。今日あったいやなことを聞いてくれますか、それともかき消してくれますか、どちらがいいのかわかりませんけど。

右から左にフェードアウトする一輪挿しはあたりまえに足りない机の上の風景をつたえることができませんでした。過ぎた日々の味付けはこれからわたしがしなければならないことだからだれのためでもなくわたしのために料理と写真の腕をみがかないといけないのです。決して割れないものを選んでいれば古いけどしっとりなじむ手すりからはるかな居場所をうつせるはずだったのですがはじまりはいつまでも笑顔からだっていわれてしまうとうつむいて背を向けるしかなくなるのです。

夜明け前のうたたねと拒みつづけた背中をねこのあくびでごまかしていっしょにしないでみどりの果樹園のすみっこでしなやかに生まれたままのすがたで歌う鉄塔とすれちがったわたしはだれかとおなじ場所でおなじものをみつめるなんて無理すぎてひさしぶりにまな板を漂白してしまいました。そうしてまた訪れた夜更けの青いそよ風はいろんな出来事たちがひと息つくために吹いているのですから吠える犬もきっとあきらめるのだろうと窓の外に耳をすましてずっと起きているのです。