いとなみ

踏切をきちんと渡れたら今日はその先の商店街でおいしいお惣菜を買って、ほんとうは通りのはしっこで売ってるソフトクリームも持ち帰りしたいのですが完璧な先っぽが溶けてしまうから毎回あきらめます。振り返ると夕方の光の加減がいちばんいいときに散歩するのが理想ですけどいつもすこしだけ白いような気がして、同じ色を見ても同じ色に見えないわたしが悪いって納得して、白いうさぎの食器をひととおり眺めた後におうちに帰ります。お惣菜を買ったときはどのお皿に盛りつけるかを考えるのが楽しみです。食べた後はシンクをみがいてお茶を飲みます。飲みました。

落ちていくヘーゼルナッツに結晶のかたまりを見つけるひとはねむる前にスマホではなく本を読むのがおすすめです。話がとぎれたらちょっとうつむくとひとのこころを動かせるっていうひとのおうちにはあまり食器がなくて家具もカーテンもなんだかビジネスホテルみたいで、夜によく遊びに出るのはきっとおうちが寝るところだからなのかもしれません。でも扉のない食器棚にかわいい食器をたくさん並べてるひとはたまに床を拭くのを忘れるみたいで、買ってすぐにSNSに上げたお守り代わりのなにかにもほこりが積もりがちな気がします。えーと、個人の感想です。

なにかをつなごうと決めたひとはとてもきれいで、たとえこれから現実にまみれてよごれたってそのこころざしのうつくしさがくもることはないから、わたしはそのまぶしさからなにかをもらっているって思われたくなくて、いつも見守っているって誓ったことを悔やんでいます。踏切をゆっくりと抜けるトラックがうつくしいのもなにかをつなぐひとだから、わたしはだれかとつなぐこともできない手で今日はお惣菜を買わないで、野菜パックとすこしのお肉を買って野菜炒めだけで過ごすことにしました。