息つぎ

ひさしぶりの上映前にすこしざわつく声の反響がぴったり好みな席で半分だけわけてあげた字幕はねむる舞台でうっかり文字を裏返してほんとうは飾るはずじゃなかったフィナーレを巻き戻したのでした。余韻の針がまわり切るまでベンチに座ってゆっくりやすんだらうすくのばして上から巻いて遠のいていってだんだん弱くなっていく握力はゆれる木の葉にもやさしくて、ノックしていずれ手折られるスクリーンの花のそばでわたしは生活のために透明になれなかったことを悔やんでやまないのです。

さようならの爪の間を抜けた後にめがねのフレームがずらっと並んでいるショーケースにひかれて用もないのにお店に入ってしまってごめんなさい。ガラス張りの物語は初夏のすっきりした襟元にほんとうにぴったりでキーをひとつ押すだけでおおきくなったりちいさくなったり、その先の広場の白い鳩にはなれなくてもつめたいお茶をぐっと飲みほして言わなきゃいけないことを守ったら下から操られてもほめてくれるとうれしいです。いくら透けててもけんかなんてこわくてしたことはありませんけど。

トッピングのナッツにごまかされた希望が不安そうに散らばったctrlともうひとつのキーを選ぼうとしてどれにしようかとまどって、ちょうど夕方に差しかかってたくさんの足音が貼りつけられたデパ地下のお惣菜がちょっとくらい高くても腕時計の数字が環状線から出られないなら(ラフな格好でもいいけど)ヘルシーな装いを探して変わらないふりをしてみましょう。きっとひとがひとになってから複雑な心とかいうのはただの言葉あそびでしかなかったのでしょうけど焦がした本音はおうちに帰ってから開けてくださいね。