たぶんこの裁ちばさみが切れなくなるころにはわたしも線に意味を持たせることができるようになってもしあの日とおなじように手を振ってくれるならきちっとねじを巻いて20度とすこし上を向いてふっと笑えるはずです。断続的にはじけていく自分の面倒もみられないのにねこなんて飼えないからひっぱられていく風景に工事中のマンションがすっぽりかぶさってきれいになるまでひたすらにかすれてしまった声を治す日々を過ごしています。ひとり分のドリップはアンバランスな味わいが魅力ですけど。
ささみをどうやっておいしく食べようか考える毎日もわるくはないけどやっぱりすらっとした並木道に沿って走る車のように席を立ちたいものですね。おなじようなひとたちから浮かないようにしてればよかったのに机にまっすぐ座ってないからタイプミスだって多くなります。なだめるように過去を読み聞かせていても月の満ち欠けのことはわからないまま、お皿を洗った後の手に薬を塗っているわたしはいくつもの失敗をしてここにいるのです。うすくまぶした片栗粉が面倒くさそうに髪をほどいてお風呂の準備をしています。
そして雨が上がったら届いたばかりのまっしろなフィルターでコーヒーをいれてほっとななめにかたむいて、かおりを立たせたからだをこの季節のあいまいな温度になじませるためしゃべりたいのをちょっとだけがまんしましょう。はがすところが多すぎていつの間にか割れなくなったわたしですが帽子をかぶればまだごまかせると思っているのでどうか気にしないで、ひとがうれしそうなのを見て自分もうれしくなってしまうのにちょっともやっとしたらいつもよりしっかり歯をみがけばことばもすっきりミント味になるのです。
