フレア

そうやって失ってもやさしくないところに気づかなくていい白いドレスのひとみたいに好きなものを待ち受けにしないままずっとずっとたぐり寄せた夏のおわりの熱はまわるハンディファンといっしょに遠ざかって、波打ち際でわたしの心音はすこしおそいみたいで日ごとにうすれていくすがたはゆらゆらとにじむことばに似ているからだれもこまらせたくなかったのにとまどう指先がそのとなりをはなれずにつめたくなっていっていつもよりすこしはやい夕暮れがあとがきのように期待するこころのすきまを砂に記していくのです。

もうすぐはちみつのかおりはみちくさの曲がり角にとけてしまうのですしどうか30秒だけでも振り向かないで、あまい思い出とかすっぱいことばとかをぜんぶまとめてひと煮立ちさせたら写真なんてとらないであざやかなうちに漬けてしまいたいわたしはいつだってお行儀よくあきらめたふりをするわたしのことがいやだったのかもしれないしまちがってるとか気づいてるとかいいわけはうつむいたままいろんなお皿の中にころがっていましたけど、ただそこで息を止めていられなくなっただけだから。

どうせだめだって最後につまる声のかけらをあつめたヘッドライトはとおらない横顔をうつして求めてないのに返事をくれるからそのまま答え合わせをしたらめざめないようにそっと入口と出口を閉めてあとはぼんやり上の方を向いてどこかの花畑に虹がかかるのを待って、たぶんしばらくしたらどうしてそんなことをしてるのかもわすれてしまうのにまっしろなアイロン台とかグレーのキッチンミトンとかコップに立てた木のさじとかいつもわたしのとなりにあるものを待ち受けにするのです。