ななめに並んだ飛び石なんてひさしぶりでどきどきして振り返って見せるひとなんていませんけどなつかしむような写真に水を飛ばさないようにうまく飛べたと思います。ひだまりにたくさん重なるrの文字は口の中に入れてしまえばちょっと引っかかる感じが炭酸入りのグミみたいで、この先は行き止まりの看板があると行き止まりまで行ってみたくなってだれもついてこなくたってわたしは歩いていくのです。もしかして途中に花が咲いているかもしれませんし、咲いてなくたってぜんぜんかまいません。
パスタでもパンでもお米でもない気分のランチに迷って一駅分くらい歩いて橋の先に開く大通りにくらっとしてすぐそこの路地を入ったカフェに逃げ込んだらドアベルのちりんちりんがけっこう大きく鳴ってびっくりして、黒板に書いてあったもっちり系のきのこのガレットがあんまり映えないけどすごくおいしくてびっくりして、蛍光緑にさくらんぼなクリームソーダのアイスが山盛りでびっくりして、たった1時間で3回もびっくりした自分にびっくりして、今なら昔の嘘も階段から川に投げて急ぎすぎたって思えるのかもしれません。
遠まわりした帰り道もずっとひとり、つかの間の夕方になってもだれの手に気を取られることもない期限つきの広告のように今日のわたしは機嫌がいいみたいですけどそういうときこそ段差に気をつけないところんでしまうのです。玄関のかぎを閉めて手を洗って今日の洗濯物は今日のうちに、瓶の口からつたったジュースをしっかり拭いて冷蔵庫に戻してたまには弦の松脂も拭いてケースにしまって、サラダボウルとひび割れたハートマークを合わせれば明日はきっと普通の日です。
