しろい砂になるいのちを数えているとほつれたボタンがおわりをこわがってうずめたからだを削除したから藍色の苦しさに触れた指はどこまでもたどりつかない夜の青さに奏でる寝息を音符に書きとめたいとつよく願いました。ただふるえる音をたよりに木炭で描く自画像は一歩ずつ近づきはみだして千年も呼吸をとめて次の一秒を待ちわびています。前にしか進まないものなんてなかったのですがぽつぽつと歩く浜辺の風は捨てられたフォトフレームにことばを重ねたくて泣いているのです。
そうして集まったのがいつかきっと生まれる路地裏に転がるがれきでした。前髪を触るくせを波にうつすとそのままいのちがあかくなっていくそうです。かちゃかちゃとちぎれそうな知恵の輪が引き離されると愛がひとつ減って恋がひとつ増えるのですからうつむいてほうきを握るその手にはきっとこちらを見ないだれかに侵入された跡がのこるのでしょう。いつもそうやってみんなのことだけを思うバイオリンはここではないどこかにしまわれてまた暗闇に戻っていきました。
かみついた犬を受け入れるしぐさはごほうびのようにとなりのひとを不幸にします。鍼は神さまのいないところでひとり涙をこらえているのを知っていますか。もしも円を通した景色が水のかかとで無邪気に砂をはねるなら窓越しの写真に浮かぶ雲を閉じるときにはしおりをさして、すこし気だるげな朝のやわらかいいのちをていねいにすくってこれから泳ぐ金魚鉢にすかしてみるのです。からっぽの名前は手すりに腰かけたくろい首輪を選んではじまりのひとつぶを探しに行きました。
