雨上がりの庭はどこかよそよそしくて低い門をくぐるとしっとりと刈りそろえられた松の上から吹き下ろす風が芝生の上でひとり小石を蹴っていました。しあわせに追いつくように急いだ足取りは蔦の這う白い壁に寄りかかって首をかしげる日のひかりに影を差してどこかにいたかもしれないネクタイを締めたうさぎのセーブデータを探しています。ベンチに座ってちょっとこげた卵焼きのお弁当をつまんで空をあおぐと右と左の顔がちがうのがよくわかるような、今日はそんな日和です。
その奥まったところにしんとしたちいさな美術館があるならふらっとのぞき込んだ泉に落ちてしまわないように、近づいてくる夕日にわたしはすぐ影響されてしまうからあんまり長くは回れないけど受付のそばのいそいで片づけたおもちゃ箱のようなグッズコーナーが好みです。長い散歩の帰り道はなぜかうつむき加減ですこし疲れた足と土でよごれたスニーカーばかり気になってしまって、捨て忘れた空っぽのペットボトルはきっとまた家まで持っていくことになるのです。
ぼんやりと風邪を引いちゃったら枕元の茶色の花瓶にさした小枝がつまらなさそうに診断書を書いてくれました。そんなにつらくはないけどふわふわ過ごす日になりそうで効いてるのか効いてないのかわからない薬がからだのどこかにしみ込んでいきます。スマホの通知を切ったらほんとうは落ちたかった水の中で熱を冷まして、ここにちっちゃなサボテンとかあったらいいなとかの思い付きに付き合ってあげようと思います。きれいにならんだ窓はどこかぜったいにずれているのですから。
