_ADMIN

- 「日々の戯言」 -

過去ログ
2001 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 21                     
2002 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2003 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2004 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2005 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2006 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2007 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2008 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2009 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2010 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2011 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2012 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2013 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2014 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2015 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2016 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2017 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2018 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2019 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2020 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2021 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2022 12 01 11 21 11 01 11 21 10 01 11 21 9 01 11 21 8 01 11 21 7 01 11 21 6 01 11 21 5 01 11 21 4 01 11 21 3 01 11 21 2 01 11 21 1 01 11 21
2023                               2 01 11 21 1 01 11 21




>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh 夜空を見上げて(結果報告版) 2001/10/20 22:53
日々の戯言 んじゃ、行ってきます
ええ、素で
秋の夜空。
冬のような、音がしそうなほど冴えきった夜空ではなく。
春のような、やわらかい風が、始まりの風が吹くような夜空でもなく。
夏のような、迫り起こる心の情動を映した情熱的な夜空でもなく。

例えば、燃えた紅葉はやがて散っていく、そんな感じの。
例えば、秋の星座にはたった一つしか1等星がない、そんな感じの。
例えば、これからすべてが厳しい冬に向って移りゆく、そんな感じの。
そんな夜空を、見上げているのです。




あー焼きいも食いたいなぁ。




というわけで、ちょうどやって来た石焼きいものおじちゃんから、ほくほくのさつまいもをゲットして、この文章を書いているわけです。


しかし、いろいろと星座を見ていると、何でそんな星座が出来たんだ、と思いますよね。けんびきょう座とか、ろ座とか、ちょうこくしつ座とか。
意味あんのか、って思いません?
けんびきょう座なんて、全部五等星以下の星ですよ? 見えないじゃんかそんなの。


でも、もっと意味がないと思うのは、明るい星を結び合わせて名前を付けた、「春の大三角形」「春の大曲線」とか「秋の大四角形」とかいうの。
夜空に大きな三角形を作るその時に、何か目的があったのでしょうか。長い曲線を引っ張るその時に、何か意志があったのでしょうか。四角形を作るその時に、何か他の星を結び付けてみようとか思わなかったのでしょうか。
作った人々に、お前は本当に夜空に三角形を作りたかったのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、「春の大三角形」って言いたいだけちゃうんかと。


それでも、そこに「春の大三角形」とかが存在する以上、我々はその存在理由について考えなければなりません。
焼きいもを食べながら、ほんとうに小一時間、私は考えましたよ。


そして、結論が出たのです。
例えば、以下のようなシチュエーションを想像してください。



「・・・ふうぅ」
塾帰りの秋の夜のこと。
三咲は、ゆっくりと冷えてくる秋の夜空を、ぼおっと見上げていた。着ているのが冬の制服だけなので、少し寒い。そろそろマフラーの季節かな、と、ふと思ったりもした。
「みさきー」
一瞬、胸が高鳴って、それをあわてて打ち消して、三咲はさもめんどくさそうに振り向く。
胸にコーヒーの缶を2つ抱えた隆夫が、三咲の方に小走りに駆けてくる。学校帰りの三咲と同じように、隆夫も制服だった。
「・・・はぁ。先に行くなんてないだろ・・・ はい、コーヒー」
「・・・ありがと」
あたたかいコーヒーを受け取って、三咲はあいまいにうなずいた。
・・・あったかい。
夜で、よかった。
きっと、あたしの顔、今、 ・・・真っ赤だよ。


二人は、そのまま何とはなしに駅へ向かう。
今日の塾の授業のこと、塾の先生の服装のこと、隣で寝てばっかりいるヘンなやつのこと・・・
いつもと同じような、たわいもない話。
並んで歩く二人の距離は、お互いの手が、触れ合うか触れ合わないか。
それが、今の二人の距離だった。


「・・・そんでね、あれが、ペガサス座」
「どこどこ?」
「あのビルの向こう側にさ、あるでしょ、ちょっとだけ明るい星」
「・・・あ、あれ?」
「あれ、って言われても分からないけど、多分そうだと思うよ」
駅前の公園で、二人はちょっと暇をつぶす。ここで15分くらいおしゃべりして、お互いJRと営団地下鉄に乗る。それが、いつものことだった。
「じゃあ、そのちょっと離れたところにある、カシオペア座は知ってるでしょ?」
「うん。名前だけは」
今日は、隆夫が、秋の晴れた夜空を黒板にして、三咲に星座の授業をする。三咲は、星座についてはオリオン座くらいしか知らず、完全に生徒役になってしまっている。
「そんで、これはちょっとマイナーだけど、ぺガサス座と、その近くのアンドロメダ座の星を結びあわせたのが、秋の大四角形」
「へえ・・・」
何もテキストなんて見ないで、すらすらと解説する隆夫に、三咲は思わず感嘆のため息を洩らした。
「ほんと、よく知ってるねぇ。理科でやったと思うんだけど、全然憶えてないや」
「まあ、星見るの、好きだからね」
好き、という言葉に、ほんのちょっとだけ、ピクッ、と身体が動いたのを見られていないだろうか。三咲は、もう冷たくなってしまった缶コーヒーを、コクリ、と一口含んだ。
「へえ・・・ そんなに、 ・・・好きなんだ」
できるだけ、意識しないように。
三咲は、夜空を見上げた。見上げるのは久しぶりのような気がして、眩しくもないのに、目を細めてしまった。
「ほら、秋はちょっと星が暗いけど、いっぱいあるでしょ?」
「ほんとだ・・・」
「きれいだよねぇ」
「・・・そうだね」
一つ、風が舞った。
それは冷えつつある秋の風・・・
いつものような、秋の風・・・


「・・・でもね、今一番きれいな星が、僕の隣にいるんだけど・・・ 知ってる?」


カラン・・・


缶が、落ちた。
いつの間にか、隆夫が立って、三咲を見詰めている。
三咲は、隆夫の目に引っ張られるように、彼を見上げた。
いつもはやさしくて微笑みを絶やさない隆夫の顔が、今は、きゅっ、と真剣で。
「三咲。 ・・・あの」
「・・・」
「塾で一緒になってから、ずっと、好きだった」
「・・・うぅ」
「あの・・・ だから」
「・・・」
「僕と、 ・・・その、つ、付き合ってくれない?」


風が、舞った。
それは、秋の風ではなかった。
二人を祝福する、夜空が起こした天の風。
きっと、二人はそれに包まれる。


そして、三咲は、きっと涙をこぼしながら、言うはずだった。
今まで言えなかった、あの、言葉・・・



これです。
このために、「春の大三角形」とか「秋の大四角形」とかは作られたのです。

二人で夜空を見上げる。そうすると、ちょっといい雰囲気になる。
そこで、自分のいいところをアピールするために、ちょっと星についてうんちくを傾けてみたい。
でも、星座なら、知っている人もいるかもしれない。
そこで、昔の人は考えたのです。

「そうだ。この星とこの星を適当に結んで三角形を作ろう。んで、適当に名前をつけてしまおう・・・ うふふ。これでオレの博識ぶりを彼女にアッピールできるぜ。ていうか完璧なツカミだなこれは」

そして、夜空を見上げるという、ただでさえロマンティックになりがちな雰囲気の中、男はこの適当に作り上げた「春の大三角形」「春の大曲線」「夏の大三角形」「秋の大四角形」「冬の大三角形」というマジカル・ワードを駆使して、一年中女性を口説き続けていたのです。

そのことを、他の色事師たちも知ることなり、これらの三角形や四角形は、いつしか広まっていくこととなったのです・・・

非常に納得しました。
これを、焼きいもを食べながら発見した自分の推理力が怖いです。


最後に、BlackAshを見てくださいます皆様のために、最強のマジカル・ワードをお教えしましょう。マイナーな中でもさらにマイナーです。ただ、季節限定なのが難しいですが、プラネタリウムで使う、など、応用はいくらでもききます。
皆さんの健闘を祈る!



春のダイアモンド



さて、私は、今夜ちょっと・・・ 用事を思い出したので、これにて失礼致します。


えーとやっぱとりあえず小手調べに「秋の大四角形」でいこうかな・・・
新宿あたりで、いいかなぁ・・・ うへへへへ



結果報告


不戦敗

カラオケ・ボックスにずっと入っていたのでマジカル・ワード使用できず


>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh なぜか食費増加 2001/10/20 05:09
日々の戯言 今度は何をやらされるんでしょうか・・・
今日は何だか電話が多くて、その対応に追われっぱなしだったんですけど。
課長が今日もいないので、手伝っている私のところに話が来るんですよ。

「えーとですね。○○の件についてですけど、企画書の方はもう・・・」

ちょ、ちょっと待ってその書類は課長がチェックしているはずですが。
しょうがないので、先方にちょっと待ってもらって、出先の課長に電話です。

TELLLLL・・・ ガチャ

「はい」

「あ、もしもし、私ですけど、例の○○の件について・・・」

「え?」

「あ、あの、○○の件についてちょっと」

「あぁ、はいはい」

「企画書の方ですが、課長が今チェック中ですよね」

「はいはい」

「今ちょうど先方からお電話がありまして」

「ふんふん」

「進行状況の方がどうなっているのか、という・・・」


ピー




・・・る、留守電だ。


や、やられた・・・(涙)(10月17日「留守電」)




ということをついさっきやられたところなんですよ、事務のお姉さん。

「そんなの自業自得です〜」

・・・そりゃま、そうかもだけどさ。
だって課長、社内からだけじゃなくてお客さんからもよく電話かかってこない? あんなことして大丈夫なのかな。

「責任は全部あなたに取ってもらう、っておっしゃってましたよ〜」

ま、まじ?
そ、それはない・・・ でしょ?

「はい、うそです〜」

・・・お、お姉さん。今ほんと素で怖かったんですけど。

「あたしもあれは忘れてないですよ〜」

ってあの留守電ですか?

「女の恨みは深いですよ〜」

あっ、そんなにこにこしながら言わないでください・・・
ううう・・・ 悪かったですってば。

「ほんとにそう思ってます〜?」

思ってますって。
もう二度としません。ていうか今度やったらクビどころか命まで危ういような。

「じゃあ、これ手伝って〜」

えーと何ですかこの領収書の束は。

「締めが今日なんです〜」

・・・あと3時間くらいですね。

「そうですね〜」

ってこっちも書類作る仕事があと3件くらいあるんですけど。

「知ってますよ〜」

そうだよね。手伝ってもらったもんねこの件は。
今日中に作って、課長が帰ってきたらすぐにサインが欲しいからね。
早く、作らなくちゃ。

「そうですね〜。だから、これをまず上げちゃってくださいね〜」

・・・は?
聞いてました? 私、今日までの書類が・・・

「だから知ってますってば〜」

んで、ちょっと忙しいんですけど。

「そうですよね〜」

うん。そうなんです。
じゃ、そういうことで。

「あ、忘れ物ですよ〜」

・・・領収書渡されても困るんですけど。
まずこっちの仕事をしなくっちゃだから。

「・・・留守電〜」

ぐ。

「机の整理〜」

ぐぐ。

「あと〜。加護亜依がヘンな空手みたいな衣装着てパンチしてる画像〜」

げ、朝メールで送ったやつですか。
それをまさかどこかに転送する気じゃ・・・

「加護亜依、かわいいですよね〜」

・・・すごく不安なんですけど。

「というわけなんです〜」

そ、そんな、領収書を押し付けないで。
で、でも、私領収書をまとめるなんて出来ないし。

「大丈夫です〜。先輩がきちんとわかりやすくファイルにしていってくれましたから〜」

・・・ご丁寧にありがとうございます。
で、つまりは、やれと。

「わ〜いありがとうございます〜。助かっちゃった〜」


・・・このままだと私、尻にしかれそうです。
ううめんどくさい・・・ 電卓なんて久しぶりだよ。
んーとここにこれを書いて、と・・・


で、出来ましたよ・・・
はい、どうぞ。

「ありがとうございます〜」

はあ、疲れた。

「・・・あ〜」

何ですか?

「ここ違う〜」

え? ホント?

「こっちも〜」

あらら。
やっぱ慣れない仕事は難しいもんだね。

「全部同じところですよ〜。よくこれで仕事回ってますね〜」

ぐさっ。

「もしかしたら、もうすんごいミスとかしてるんじゃないですか〜?」

ぐさぐさっ。

「うあ〜めんどくさいよ〜。ちょっとこれはパスタですね〜」

パスタ?
・・・おごれ、と?

「だってよけいな時間かかってるもん〜」

そ、そんなぁ・・・


これから事務のお姉さんの食費も考えなければならなそうです・・・ はぁ(涙)。


>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh バス・マット 2001/10/19 15:42
日々の戯言 元気に働いてくれてます
先週末に、かねてから欲しかったマットを買いに出かけました。
風呂場から出た時に足を拭くやつです。「バス・マット」とでも呼ばれているのでしょうか。
そこでそのような商品を扱うお店を訪ねてみたのですが・・・
ここで微妙な問題に気づきました。


私は、1ルームマンションに一人暮らししています。
20u強のこの部屋の風呂場から出てすぐ、廊下とも呼べない小さい空間。そこに、マットを置くつもりなんですが。
そこは、これまた玄関とも呼べない入口のドアからすぐだし、はたまた台所からすぐの空間だったりもします。


そうです。「バス・マット」を買おうと思ったのですが。
いざお店を見て回ると、そこには、マットと呼ばれる商品が、「バス・マット」「トイレ・マット」「玄関マット」「キッチン・マット」と複数あったのです。
「バス・マット」を買いにきた私は、自分の部屋の間取りを思い浮かべて、困ってしまったわけです。


どれ、買えばいいの?


こんなときは消去法で判断するのが一番です。


まず最初に、トイレ・マットは除外されました。
なぜなら、たいていのトイレ・マットは、便器の周りを囲うようなU字型のやつだからです。
それに、トイレとバスが別々の部屋に住んでますので、これはまず除外しました。


さて、次に玄関マットを除外しました。
玄関とも呼べない玄関ですが、置きたい場所からは2メートル弱、離れています。
2メートル弱・・・ 激しく微妙ですが。
3秒間の深い葛藤の末、そこは玄関ではないと判断しました。


しかし、「バス・マット」と「キッチン・マット」で迷いました。
風呂場から出たら、そこは台所だからです。風呂場から出たら、私は台所に立っているのです。
私は毎晩裸で台所に立っているのです。そしてそれは玄関から2メートルも離れていないのです。
そしてそのまま台所から出て玄関に行きマンションを出て50メートルも歩けば派出所があり、私は公然ワイセツ罪で捕まってしまうのです。


もちろん、マットを買う目的は、風呂場から出て濡れた足を拭く、というものだったのですが。
家族が暮らすような一般的な家の間取りにある、脱衣する空間。それがない部屋なのです。
その1メートルほどの幅の風呂場の出口、キッチン、廊下・・・ 改めて私は、自分の家の間取りを想像して、悩んでいました。
お店のフロアをしばらくうろうろとして煩悶したり、ちょっと小ぎれいな台所用品などを手に取って眺めたりして、決断を先送りしていました。


しかし。
最後の決め手はやはり動機です。初心忘るるべからず。
私はそのマットで足を拭きたい。濡れた私の足を優しく包み込んでくれるマットが欲しい。それには「バス・マット」しかなかったのです。
そこまで自分の気持ちに素直になれば、もう明らかに、あたしは「バス・マット」よ、と主張している、白くふわふわのマットを選ぶしか道はありません。


最初から分かっていたのに、迷ってごめんよ・・・


私は生涯連れ添うことを決めた彼女「バス・マット」を手に、レジへと向かったのです。


ところが。
そのレジへと向かう途中。


私の目の前に、驚くべき光景が。


そこには、単に「マット」と称する商品が、ずらりと陳列されていたのです。
ただのマットです。なんの用途も記されない、多目的、いやむしろ無目的マットの登場です。


まさか・・・
これは、玄関に置けば「玄関マット」、トイレに置けば「トイレ・マット」、風呂場の出口に置けば「バス・マット」、台所に置けば「キッチン・マット」となる魔法のマットなのでは。


しかしながら、一瞬浮気心を起こした自分に優しく微笑むと、一度手にとったそのバス・マットを握る手に力を込めレジへと向かいました。


そんなうまい話がこの世の中にあるはずがない。いま世界に求められているのは、ジェネラリストではなくスペシャリストであるのです。いや、もっと言うならば、スペシャリストとしての素養を持つジェネラリストが一番です。


そんなわけで、私の購入した「バス・マット」は、その狭い廊下に配置され、風呂場の出口にぴったりと収まりました。
台所からの距離は、わずか数10センチ。
いずれ時が来れば、その数10センチの壁を超え、「キッチンマット」としても働いてくれることを、夢見て・・・


まっしろなふわふわのマットに早くも付いた醤油のシミが、許せません。


>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh 結婚式費用計算(やや改訂版) 2001/10/19 02:05
日々の戯言 だから、相手は? って訊くな
いいな。訊くなってば!
年齢設定とか家賃とかの経済状況を書き忘れてました・・・
例えばそこは新宿の伊勢丹、1階のアクセサリー売り場。
お腹がはっきりとふくらんで、ゆったりとした服、いわゆるマタニティ・ウェアを着た女性がいます。その隣には、例えばトレーナーにジーンズという服装の男の人が、ちょっとめんどくさそうな顔で歩いているとします。
二人は手をつないで、一緒に、買い物中。
そして、二人の左薬指には、リングがキラリと光ります。
そんな二人を見るたび、私は思ってしまうんです。
ああ、あなたたち、ヤッちゃったんですね、と。


ともあれ、二人は幸せそうに笑いつつ、ゆっくりと二人のペースで歩いているんです。
それは、間違いなく夫婦、しかも新婚で。
そういえば、私は最近結婚式に出たし、土曜日は結婚した別の友人の祝賀会だし。


そうかぁ。
結婚、かぁ・・・


とため息をついて、私は、ウォークマンの選曲を、「Lifetime Respect」(三木道三)に変えたりして。


一生、一緒にいてくれや・・・


つぶやきながら、伊勢丹を出るのです。
秋の風が、こんなに冷たいなんて・・・
やっぱHIROMI GOばりの裸ジャケットTシャツにジャケットだけでは寒かったようです。きっと、服装のせいなんです・・・


でも、「結婚」という文字だけが頭に浮かんだだけで、実際に何をするのか知らない・・・
特に、お金・・・
いくら、かかるんだろう・・・
下手したらこれからコンビニのご飯しか・・・ いや、かけそばしか食べられないのかも・・・
ドキドキです。


これは、ちょっと結婚する前にリサーチの必要がありますね。


というわけで、皆様もご一緒に、◆ココ◆へどうぞ(別ウィンドウに飛びます)。


さてさて。「結婚ネット バーチャル見積」のお時間です。
ここでは、チェック式で、結婚という人生の転機にかかる総費用を試算してくれます。
ここで、アナタも理想の結婚式をゲット! です。


私も、早速やってみますね。かなり真剣ですよ。ほとんど素ですよ。結構切羽詰まってますよ。
誰ですか? 相手は? とか訊いたのは!


えーと設定は20代後半の男女です。親の援助は、いっさい受けないほんの少しだけ頼っちゃうかもしれません。
あ、何度も言ってますが、私実家にステキなパラサイト中♪です。らっきぃ?



まずは、招待客。
200人・・・ ってそんなにいるわけねぇだろ! だいたい昼間っから会社でサイト更新とかしてちゃダメだってこのヒッキー(引きこもり)が!
うーんと。相手の都合にもよるけど、「合わせて50人」くらいでいいや・・・


何かのっけから夢が小さいですが気にせず次へ。
婚約指輪・・・
これって、結婚したら外すんでしょ? それにお金かけても・・・
あ、痛いっ! 何かモニタ越しにこれを見てる女の子から、刺すような視線が・・・
ううう・・・ 分かりました。ここは「普通(まん中の)」で。


結納。そんなんいらん! ていうか何するのか知らん! 鯛とか熨斗とか色々あげたりするんでしょ?(かなり適当)
いいやんそれより本番にお金かけましょう。
というわけで・・・ うああ視線がぁ。
「ご挨拶程度」で勘弁してください・・・


結婚指輪。これはいいのがいいでしょ?
ていうか何よりも私が指輪好きだし。ええ会社にいつもでっかいシルバーリングを2つつけていってますよ? 仕事中も外しませんよ? 殴るとすごいダメージを与えられますよ? それが何か?
うん。ここは「こだわり」ますよ。


挙式ねぇ・・・ 場所をどこでするか、ということですね。
いいよどうせホテルのチャペルなんだろ? 何だって日本人はこういうイベントの時だけキリスト教になるか? いいのかそんな簡単で? だいたいもう2ヵ月後に迫ったクリスマスだってなぁ・・・!
すいませんちょっと私情が入ったようです。
ま、場所くらいはいいところに「こだわって」みましょうか。


衣装。男はほんとどうでもいいところです。
でも、女の子は華やかなのがやりたいんでしょうねぇ。
うーん。ほら、あまりお色直しとかするとお客さんが退屈だよ? せっかくのきれいなキミが、かえって見せられなくなっちゃうよ?
私はね、みんなにキミのことを見てもらいたいからさ。できるだけ、みんなの前にいようよ。

ね? ・・・一緒に、いようよ(パチッ←ウィンク)

つまり普通でいいですか。


招待状。どうでもいいです。
でも小学校の時からずっと美術が3以下だったので仕事が忙しいので手作りとかは無理です。
普通でいいね。


披露宴装飾・・・
とりあえず貧相でなければいいです。でも、後で答える演出とかとの調和を考えて。←言い訳
普通ですね。


料理!
うまいモンがいいです! 普段がコンビニだからせめて自分が主役の時くらいは幸せな気持ちにさせて来客の満足はココで決まるといいますからね。
ここはこだわります。某山岡や某海原なみにこだわります。私が一口食べて、「これは見事なハーモニーだ。香りと味の金波銀波に揺られてたゆたう快感ってやつだな」とか解説できるほどにこだわります。お客さんが、「こ、これは・・・!」と絶句して、例えばタケノコ・ロケットにまたがって星空に飛んでいってしまうほどにこだわります。


演出・・・
あまり派手だと見世物みたいでイヤだし。あれって男は添え物だからねぇ・・・ 正直あまり思い入れはないなぁ。あ、あの小さい頃からの写真をスライドで見せるのだけは勘弁な。
スポットライトとか浴びたらみんなこの私の美しい姿にメロメロで新婚一日目から浮気とかいうことになりかねないからうん、決めた。普通にしよう。


引き出物。
絶対に二人の写真が入った皿はイヤです。アレ、例えば皿に盛ったスパゲティがなくなっていくとともに二人の顔が出てくるんですよ? 何ですかこれは? ていうか引き出物の皿を使うかオレ。
というわけで「費用を抑える」。絶対抑える。料理でいいもの出したんだから贅沢言うな。


2次会。
内輪でいいでしょ。まったりと過ごしましょうよ。
いいんですゲームなんてやらなくても。私ビンゴ当たったことないし・・・
内輪内輪。


新婚旅行・・・
ゴメンッ!!
まじで、素で仕事忙しいんです。海外はおろか国内だって、そんなの行ってる場合じゃないんです。あの課長のことです。帰ってきたら机にファイルが山積みです。「ムフフフフ楽しんできたかね? お疲れかね?」とか言ってニヤニヤするんです。セクハラは同性でも成立するはずです。課長、いくら私が肉付きがいいさわり心地がいいからって、酔っ払って「むね〜」とか言いながら尻を触るのやめてくださいっ!
というわけで、文句は課長に言ってくれ。
新婚旅行、ナシ!

・・・ぐはっ!

ぐおぉ・・・ いいパンチ持ってるじゃねぇか・・・
だけどな・・・ 仕事がな・・・

・・・はうっ!

ヒ、ヒザは勘弁な・・・
こ、国内・・・ お願いだ。国内で手を打ってくれ・・・ 費用も抑えて・・・


新居。
こだわります。こだわりますよ。違いの分かる男ですよ。
・・・いや、光回線が入っているところじゃないとイヤ。これはゆずれません。快適なネット環境。これは私にとって生命線とも言えるのです。
ほら、今だってIriaが2本。
・・・こだわるところが違うような気がしますが、ま、とりあえず「こだわる」ということで。



さて。
お待ちかねの費用計算です・・・
いやまじでドキドキしてるんですけど。
これで1,000万円とかになったらどうしましょう・・・
えーと生命保険は・・・ って死ぬのかよ!


緊張する右手。震えをこらえて・・・


カチッ


お。おおお・・・!


478万5,000円!


こ、これならどうにかなるのかな。相手が200万円くらい定期預金を持っているならばお先真っ暗という数字ではないぞ。
そりゃ今すぐは死ななきゃ、いや死んでも無理だけど、今から必死で働いて、コンビニ弁当で済ませれば、いずれは何とか・・・

あと6、7年? ←長げぇYO!

そんでその間に相手を説得して、新婚旅行をなくして、結納をなくして・・・


いける、いけるぞ・・・! ←いや費用削ってるって


ああ、かけそば食べなくて済むかも・・・!




あ、そういえば、世のカポウ(couple)の平均結婚費用は幾らなんだろう。


◆総費用平均◆





737万円・・・!!!





明日から、まず死んで、それからかけそばを食べることにします。


>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh Watch号外 : 報道機関へ圧力? 狂牛病? 患者の存在 2001/10/18 12:06
日々の戯言 テレビ関連のメディアはちょっと会社なので未確認です・・・
真相はどうなのか?
確かに、未確認の状態で報道するのは、勇気が必要なことかもしれませんが・・・
人にも狂牛病が伝染か、というニュースが流れてきました。
発信元は共同通信。本日朝方の午前2時ころらしいです。
それに呼応して、各メディアが報道していました。


ヤコブ病感染か? 首都圏の10代女性(スポニチアネックス)

「人の狂牛病」の可能性 首都圏の10代女性 (上毛新聞)

首都圏の10代女性に狂牛病の疑い(日刊スポーツ)

   ※日刊スポーツの一面


また、朝のワイドショーなどでも取り上げられたようです(やじうま等)。




しかし!


本日午前11時45分現在。

朝日読売には載ってない。
一面は、狂牛病検査始まる、厚生労働省安全宣言だけじゃないですか。

日経にも、毎日にも、産経にも、安全宣言のことは掲載されているけど、一言も、狂牛病の疑いのある女性がいる、ということには触れていません。

共同通信で改めて感染可能性のある患者の存在が報じられているにもかかわらずです。
ここの「国内一般」本日10月18日午前11時29分の欄

午前11時51分現在、ZAKZAKの昼更新を確認しましたが、報道されていません。

有名テレビ局でも、お昼前のニュースあたりでは、NHKを始め、各報道機関で感染の疑いのある患者の存在を取り扱ったところはなさそうです(未確認です)。




どうやら、報道機関に対し圧力がかかったようです。
圧力の主は、
本日安全宣言を出す予定だった自民党あたりか・・・?



2chのスレで、こういうのがあります。
ここを見れば、もしかして、今回、以上のような妙な状況になった原因が、わかるかもしれません。

大問題!!狂牛病発症女性二ユース報道中止!




追加情報

今、その掲示板で、坂口厚生労働大臣が狂牛病患者の存在を認めたとの情報。
どうせ、プライバシーがうんぬんとか言うんでしょうが・・・
まだメディアでは私は未確認です。

産経新聞速報で以下のとおり発表(午前11時54分)。
これを追って、各マスコミが次々と発表するものと思われます。

「狂牛病疑惑患者の存在認める。厚労相が参院厚生労働委で首都圏の病院に入院中と。感染の可能性は低いとの認識示す。」



さらに追加情報

共同通信社で速報


午後0時15分現在

朝日読売ともに未だ未掲載
共同通信社、毎日の速報後、朝日と読売ではそれぞれ他のニュースは更新されていますが、狂牛病患者のニュースは掲載されていません。


午後0時30分現在

朝日、読売、毎日の各社、未だネットに掲載せず

一応ここで今回のWatchは終了いたします。


>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh 大切なモノ(またはヒト) 2001/10/18 09:37
日々の戯言 感涙でした 何と言うか・・・ 萌え死にそうです
7月に発売したJUNON(女性誌)、今日探索の旅に出ます
昨日、10月17日の朝のこと。

「あのですね〜」

はいなんですか事務のお姉さん。

「あたし、今日一日ここの机外れますから〜」

え? 何で?
そんな急な・・・

「他のフロアで、病欠とか有給とかが重なっちゃったんですって〜。それで、あたしがヘルプで入るんです〜」

はぁ・・・ でも、何でお姉さんが。

「今日余り忙しくなさそうなんですよ〜」

で、でも、こっちは忙しいですよ。
ほらこんなにファイルが。

「別に専属の秘書さんじゃないんだから〜」

えーと。
かなり困るんですけど。
き、今日は外を回らなければいけないんですが、その後が、ち、ちょっと・・・
コピーとかFAXとかエクセルとか、色々お願いしたかったんですが・・・

「もう決まったみたいですよ〜」

ううう・・・ 課長ですか決めたのは。
昨日のお返しですか。

「課長、今日一日出先だそうです〜」

に、逃げましたね課長。
あ、あの、この際私専属になりませんか。
毎日お昼おごりますから。

「やです〜。何でこの年で人生棒に振るようなことしなくちゃならないんですか〜」




というわけで、専属になった女性の人生を狂わせるこの私は、もはや超ヒモ色男と言っても過言ではないのですが。
とりあえず、昨日一日、よく仕事をお願いする事務のお姉さんなしで過ごしたのです。


いや、今これを書いている現在、事務のお姉さんがすぐそこにいるいらっしゃるので、ホント実感してるんですが。
事務処理というものが滞ってしまって。
コピーとかFAXとか、表作成とか、事務的な仕事を全部やらなければならないというこの状況。改めて、事務方、裏方、特に女性の事務処理能力の偉大さを、認識することとなったわけです。
何たって、前にも書いたとおり、私は自分でFAXが送れないほどなんですから。


昨日だけで、1か月分のトラブルに見舞われたようなもんです。
例えば・・・


・ FAXが送れない
→他の事務の人に頼んで解決

・ 多量のコピー
→いつでも私がコピー機を使えるように、「Out of Order(修理中)」の張り紙を貼っておいて解決

・ ファイルのバインド
→あきらめて解決

・ 社内便の配布
→自分でトコトコ持参して解決(宛先の人と雑談すること合計25分)

・ 事務的な手続に関する問い合わせの電話
→電話線のモジュラージャックを外す、という方針により解決・・・しようとしたが、周囲の反対によりあえなく撃沈。居留守で解決

・ 寝ている私を起こす人がいない
→Yシャツの襟にシャーペンをはさんでおいて解決(こくり、とした瞬間ペン先が首に刺さるので全然OK。姿勢もよくなるし♪)

・ ネットを止めてくれる人がいない
→インターネット・エクスプローラのアイコンをデスクトップ上から削除することにより解決

・ ゲームやマンガを止めてくれる人がいない
→一切をダンボールに仕舞いこんでガムテープを張ってその上にゴミ箱を載せて解決(所要時間45分(マンガを読んでいた時間を含む))

・ 加護亜依の話を分かってくれる人がいない
→加護亜依の壁紙をカラー印刷して飾っておくことで何とか・・・ 解決せず
 結局周囲の同僚に加護亜依の素晴らしさについてメールすることで欲求不満を少し解消



とまあ、へとへとな一日だったわけですよ。
特に最後のが一番辛いですね。しょうがないんですけど、加護亜依がいったい誰なのか、というところから説明しなければならないんですよ。始めのうちは喜んで喋っていたんですが、会う人会う人に同じ説明をしてたもんですから・・・


「何であいぼんがわかんないんだよぉっ!」


逆ギレです。




それで、疲れ切って、ようやく帰宅。
そのまますぐにでも眠りたかったんですが、連絡事項の確認とかいろいろやることがあったので、まずはメールを見たんです。




友人から、1件新着メールが。




コ レ(235kb)








ほんのちょっと、涙がこぼれ出てしまいました。


>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh 不定期連載〜ファミリーマートで捕まえて 第7回 2001/10/17 22:51
日々の戯言 ◆第1回〜第5回◆◆第6回◆◆Interlude◆はこちら
今日も、雨でした。最近雨ばかりのような気がします。
そして、雨の日に限って、早く帰れるのはどういうわけなのでしょうか。これではどこかに行く気も起きません。
しかたなく、とぼとぼと雨の中を歩いていたのですが。
いつも、駅から2分で見えてくる灯りに、元気をもらっているような気がするのです。ファミリーマートの、あの女の子に。
セミロングの黒い髪を後ろで二つに束ねてファミマの制服を着た、あの女の子に。


ファミマの店先、雑誌コーナーがガラス越しに見えます。そこで、手を伸ばして奥の方の雑誌を整理している、女の子。
私がそこで立ち止まると、すぐに彼女も気がつきました。流れ落ちていた髪をかきあげて、ひらひら、と手を振って。
まるで、暗い洞窟から陽の輝く草原へいきなり出たような、そんな笑顔が、私をいつも元気付けてくれて。
私がお店に入ると、たたたたっ、と小走りで近くまで寄ってきて。
「いらっしゃいませっ!」
そのお辞儀で、二つに結んだ髪の毛が、ぴょこん、とはねるのが、いつもおかしくて。
「・・・え? 何か、おかしいですか?」
くすくす笑う私を、不思議そうに、女の子がのぞき込んできました。
「ううん。いつもありがとう」
「え?」
ますます不思議そうに首をかしげる、女の子でした。


今日は、いつものジュースとヨーグルトに、電池も買って、空っぽのレジに向かいます。女の子は、それに気づくと、ぱたぱたと走って、レジに滑り込むようにして入りました。
「お、お待たせいたしましたっ」
「あはは。そんな急がなくてもいいのに」
「えへへっ」
女の子が、そこで、舌をほんのちょっとだけのぞかせます。いたずらっぽく私を見上げて、まるで「いいでしょ・・・?」と訊いているみたいでした。
いつものように煙草も追加してもらって、いつものように身体にやや力が入り気味なレジ打ちです。
それを、私はいつものように見ていました。


違和感を感じました。
「・・・えーと、ストロー入れますね」
いつもよりも、手つきが少し遅いのです。
「煙草とジュース、いっしょにしてもよろしいですか?」
煙草の箱が濡れてしまうから、なのでしょうが、いつもはそんなことは訊かないはずです。普段、一緒に入れてしまうことを、彼女は十分に知っているはずです。
「・・・おつり、437円になります」
それに、いつもよりも、よくしゃべって。
「いつも、お忙しいんですか?」
「ま、まあ、それなりに・・・」
「そうですか・・・ 大変ですね」
いつものようにずっとうつむいたままなのに、いつもよりも、ほほが少しだけ紅い、そんな気がして。


ビニール袋を受け取って、私は、ドアに向かわずに、そのまま彼女を見詰めました。
「・・・え? な、何か・・・?」
びくっ、として一歩身を引いた彼女の目が、一瞬だけ、私から逸れます。
そして、すぐに、うつむいてしまいました。
うつむくのは彼女の癖なのでしょうが、それでも、今日は、何かおかしいような気がするのです。
「・・・何か、言いたいことでもあるの?」
「え・・・? あ、あの・・・ いえ別に」
かぶりをふる女の子。ちょっと弱々しげに。
やっぱり、何かあるのかもしれません。
「そう? ・・・じゃ、また来ますね」
「あ・・・」
ほら、声が。
私は振り向くと、真正面から彼女を見据えました。
「なあに?」
「あ、あの・・・ い、いえ、何でもないです・・・」
何か言いたくて、言えなくて。そんな時に見せる、きゅっ、と引き締められた、小さい唇。
「言わなくちゃ、わからないよ?」
「・・・ううん。何でもないんです」
「ほんと?」
「・・・」


きっと時間はそんなにありません。多分、次のお客さんがレジに来てしまうのは、そんなに先のことではないはず。
私も、賭けることにしました。それは、きっと安易だったのかもしれない賭けでした。
「言わないんだったら、もう来ないよ」
「ええっ!」
ほんとうにびっくりして、女の子は大きく叫んでしまいました。お客さんがいぶかしげにこちらを見るのに気が付いて、ひえぇ、と小さく洩らして、彼女はめがねのずれを直しました。
「ほら、ちゃんと言って」
「あう・・・」
「それとも、もういいの?」
「ああっ・・・ そんなこと・・・」
いきなり、でした。
ほとんど泣きそうになって、女の子はぶんぶんと大きくかぶりを振りました。何度も何度も、二つに結ばれた髪の毛が激しく動くのも気にしないで、女の子は首を振り続けます。
気のせいか、瞳が少しだけ、ゆれているような。
ほっぺは、もう真っ赤になって、一生懸命、何かをこらえているように、唇は一文字に線を描いて。


私は、しまった、と思いました。
自分で言ったことなのに、自分であえてやったことなのに。
胸が、ひどく痛みます。
そんなに、ふるえないで。
そんなに、息を切らさないで。
私が、ひどい言い方をしたんだから。
それでも。
「・・・じゃ、言って」
言って。
今言わないと、私が保たないです。そんな、悲しそうな顔、しないで・・・


「うう・・・ 言います。言いますから」
そこで、女の子が私を必死にのぞき込んで、それで私の緊張は一気に解けました。
「言いますから・・・」
めがねの奥のひとみが、私の心を突き抜けます。
そんなにまっすぐなひとみの線があることを、私は今まで、知りませんでした。


「・・・ご、ごめん」
「・・・え?」
「わ、悪かった。ひどいこと言った。そんな、来ないなんて、そんなことないって」
「え、あ・・・ はあぁぁ」
最後は、女の子が思い切り深くため息をついて、二人の間の空気は、何とか元に戻りました。
「ふえぇぇ・・・」
「ほんとごめん。来ないなんて、もう二度と言わない」
「うう、だって、だって・・・」
「言わないから。 ・・・ね?」
彼女が、一回だけ、鼻をすすります。
でも、彼女は、そのまま、ゆれた瞳のまま、私を見ました。
「あ、あの」
「はい?」
「・・・今週の土曜日、あたしの誕生日なんです」


時が止まったのは、何かが変わる予感がしたから、かもしれません。
「・・・あ、ああ。そうだったんだ。それはおめでとう」
「はい!」
「よかったね」
「はい!」
元気たっぷりの、彼女の笑顔。
二人の時間はまたいつものように流れ始めます。
「あ、あの、別に何か、その・・・ あの、祝ってほしい、とか、そんなことじゃなくて」
誕生日、という言葉の持つ意味に気づいたのか、あたふたと、女の子が説明します。
今も、ほっぺは真っ赤です。でも、それは、さっきとは違う色でした。
「えーと。あの、その・・・ そのことを、知ってほしかったんです」
「え?」
彼女が、また、まっすぐに私を見詰めました。
「あなたに、そのことを知ってほしかったんです」


「・・・ま、そんなわけにもいかないでしょ」
「え?」
「何か、プレゼントを考えなくちゃね」
「えぇっ! あの、別にそんなこと・・・」
「だって、いつもお世話になっているから」
「そんなことないです!」
かぶりを振る女の子。なんだか今日はこんなのばっかりです。
「いつも、迎えてくれてありがとう」
黙ったまま、それでもまだ、首を振り続けています。
「せっかくの誕生日なんだしね」
まだ、振ります。
「・・・祝ってほしく・・・ ないの?」
ゆっくりと、女の子の動きが止まり。


そして、今度はほんの少しだけ、ううん、と首を振りました。
うつむいたまま。
こぼれ落ちるのを抑えられない、そんな、微笑みのまま。


「でもさ、土曜日もバイトなんじゃないの?」
「・・・」
それを聞いて、女の子は、ため息をついて、かくり、とうなずきました。
「どうしてもシフトが動かないんだって・・・」
「そ、そうなんだ・・・」
私も、この仕事の状況では土曜日に自由な時間が持てるかどうか、かなり怪しいものです。しかも、大学の同期の結婚祝で、飲み会も入っています。
「こっちも、実は厳しいんだよなぁ・・・」
「ううん。だから、いいんです」
にっこりと、彼女は笑いました。
「知ってもらえたから」


「あの・・・ すいませ−ん」
お客さんが、そこで声をかけてきました。
レジを済ませたいようです。
「あ、すいません。お待たせいたしましたっ」
彼女が応対を始めたのを見て、私は、ひとつ手を振って、ドアを出ました。
「ありがとうございました!」
彼女の声が、後ろから、私を包みました。


最後にもう一度、ドア越しに彼女の方に振り返ります。
女の子は、ちょうどその時お客さんの応対を終えたところのようでした。お客さんが、ドアから出てきます。
レジの向こうの彼女には、幸せいっぱいの笑顔が、あふれていました。


>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh 留守電 2001/10/17 02:37
日々の戯言 面白かったですよ
ええ、ホントに・・・
突然ですが、私、留守電があまり好きではないんですよ。


今日の朝も、会社で電話をかけたんです。受話器を持つ・・・ 前に、私はその電話で伝えなければいけないことを、頭の中で3回くらい繰り返すんです。
よし、憶えた、というところで、おもむろに受話器を手に取ります。すこし汗ばんだ手のひらが、かえって緊張を招いてしまいます。それでも、かけないわけにはいかず、電話番号をダイヤル。最後の数字を押して、ひとつ深呼吸。
電話のベルが、1度、2度。その間、私は、先方に伝えるべき用件を、一生懸命頭の中で繰り返して。


カチャ


○○は、ただいま、電話に出ることができません・・・


ここで、私はいつも身体を強張らせてしまうのです。本人相手だと、用件だけ伝えればいいじゃないですか。でも、留守電だと、最後に自分の電話番号を入れなければいけないんですよ。
無機質な機械の声が、まるで「ほら時間内にメッセージを入れろよ? 30秒だぞ? その間にちゃんとおまえの電話番号まできちっと聞こえるように入れろよ?」と私を脅しているようです。
電話番号まできちんと時間内に入るかどうか、それがいつも不安で、切ってしまうんですけど。


今日は、悔しいので、


「こんにちは。私は○○です。22歳、出版社に勤めてます。身長は180センチ、体重は60キロくらいかな。髪は栗色でちょっとロング、ウェーブかかってます。最近、秋なのでドライブを楽しんでいます。私と一緒にもみじを見に行ってくれるあなたを、待ってます」


と吹き込んでみました。
ホントです。




しばらくして、電話がかかってきました。
ほわほわした、女の人の声でした。


「いいかげんにしてくださいよ〜」


事務のお姉さんに怒られました。



とまあ、そんな感じで留守電が好きではないのですが。
いつも私ばかり留守電に悩まされているのは悔しいので、今日は、外回りの間、私のPHSにかけてくる人を困らせてやろうと思ったのです。
具体的には、こんな感じです。


まず、留守電を受けるときのメッセージに、自分の声で「もしもし?」と入れ、その後4秒間沈黙する。

そして、きっかり4秒後、「え?」と訊き返すような声のトーンで入れる。

その2秒後、「あ、はいはい」と答える。

その後4〜5秒の間隔で、「はい」「はい」と相づちを打つ。

そのあたりで「ピー」と電子音が鳴って、録音モード突入。



これで、電話をかけてきた相手がどのようなメッセージを入れるか、さあみんなもチェキ!


第1回:同 僚(男 28歳)

・・・ってなんだよそれ、留守電かよー! おい、 ・・・チッ(ガチャ)



はい大成功。完全に勘違いしましたね。
後で夕ご飯をおごらされましたけど。


第2回:同 僚(女 24歳)

え? 何それー? ちょ、ちょっとマジでこれ留守電? 信じらんない・・・ あ、えっと、さっき○○社の××さんから、で、電話があって、それで、今日の・・・(プツッ)



はい。きちんと用件は全部入れようね♪


もう、賢明なみなさんはお分かりですよね。
最初の「もしもし」で、かけてきた人は私が電話に出たと思って、まず自分の名前を名乗りますね。
そこで、ちょっとの沈黙の後、「え?」と訊き返されることで、ああ電波が悪くて名前が聞き取れなかったんだな、と思って、もう一度名乗ります。
「あ、はいはい」と私が答えたので、相手は安心して、用件を話し始めるわけです。間に適度な間隔で「はい」「はい」と相づちを打つので、もう私がちゃんと話を聞いているものと信じています。
そこで、いきなり、「ピー」と電子音が鳴って、録音モードになるのです。




いやあびっくりしますって、マジで。




それでは続き、いってみましょう。


第3回:事務のお姉さん(女 年齢秘密♪)

・・・朝も朝でヘンなことして〜 ・・・ぶっ殺しますよ〜



ぽやぽやした声と、その言葉とのギャップ・・・
何だかむっちゃ怖いんですけど。
実際、帰社してもしばらく口をきいてくれませんでした。


第4回:課 長(男 36歳)

・・・(ガチャ)



帰社してから、にっこりと微笑みかけられました。




今日、帰りが遅くなったのは、急に40ページもの書類を作成しなければならなくなったからでした。


>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh 節煙したいなぁ、と思ってはいるんですけど…。 2001/10/16 22:26
日々の戯言 読むと自ずと煙草をやめたくなるかもしれません。
まずは、こちらこちらで気持ちの準備してください。(笑)
 このサイトを見てくれる方の中に、喫煙者はどのくらいいらっしゃるのでしょうか?
 BlackAsh管理人3人全員が喫煙者なのですが、その中でも僕はかなりのヘビー
 一日軽く2箱は吸う生活が最近続いてます。

 僕の場合、考え事をする時に無性に煙草が吸いたくなります。
 多分習慣なんだろうね。
 煙草がないと、この日記も全然進まない。 というわけで一服。(笑)


 ところで、やっぱり煙草は体に悪いわけで、ちょっとは節煙したいなぁと思うわけですよ。
 でも、ニコチンパッチ食事療法やただの我慢大会はしたくないのね。 金ないしストレスためたくないし。
 だから、煙草って体に悪そうってのが身に染みて解れば、少しは吸う量も減るんじゃないかと。
 あぁ、安上がり♪


 1. ティッシュペーパー

 これは良く聞く話だよね。 
 「煙草を吸って吐き出すその煙をティッシュペーパーに吹きかけてどれぐらい色が変わるのか?」って奴。

 とりあえずやってみましょう。

 今、ちょうど吸い終わろうとしてる煙草を、一口吸って。
 ティッシュを顔の前に掲げて。

 ぷぅ〜〜〜〜っ


 …

 まじ? かなり茶色いんですけど。 予想では「洗濯したけど落としきれなかった泥汚れ」程度だと思ってたのに、これは汚したてほやほやレベルだよ。
 それもお好み焼きソースを白いズボンにこぼし、慌ててお手拭きで拭いてしまったような色

 ここまでの色がつくのは予想外だったなぁ。 本当にインパクトあります。
 もし喫煙者であれば、ネタにちょっとやってみてもいいかもしれません。 本当にかなりの色がつきますよ。



 一発目から結構、ダメージでかいなぁ。 これだけでも煙草控えられそうだよ。(笑)



 2. 歯磨き

 当然煙草は口から吸うわけだから、口の中に結構ヤニが付着すると思うんだよね。
 最近、ヤニ取り効果の高い(つまり研磨剤たっぷりの)歯磨き粉を愛用し、ヤニばかりでなく歯のエナメル質まで傷つけている、うちの管理人から聞いた話です。

 「煙草を気持ちよく吸った直後に、ヤニ取り用歯磨き粉で歯を磨く。」

 それ無理じゃん。 うちにヤニ取り用の歯磨き粉なんて当然ありません。(笑)
 普通あるものなの? それとも僕がズボラなのかなぁ? 皆さん持ってます?

 まぁ、普通の歯磨き粉でいいでしょう。

 さっきの煙草は吸い終わっちゃったから、また新しいのに火を点けて、一服。
 これ書いてる最中にもしかしたら1箱吸い終わりそう。 意味無いじゃん。(笑)


 ところで、根元まで吸う奴がいるけど、あれって邪道だと思いません?
1cmまで吸ったときと、5cmまですったときじゃ、ニコチンの摂取量は6.6倍にもなるしさ、煙草の煙は冷えた煙じゃないとおいしくないんだよね。 だから、僕は適当な長さでやめる。 せかせか灰皿と口を往復させるんじゃなくて、煙草はゆっくり五感で楽しむものでしょう。
 …ごめんなさい。 引用元はこちら。 全部パクリです。(笑)
 ちょっと気取ってみたかっただけです。(笑)


 さて、そろそろ吸い終わったので歯を磨いてみます。


 ん〜、白い中に結構茶色のも混ざってますねぇ。 なんか歯槽膿漏の血混じり歯磨き後のようです。(見たことないけどそんな感じ)
 
 でもなんか面白くない。 多分さっきの茶色とかぶってるからだろうな。
 歯がヤニで茶色くなってる奴って結構いるから、結果がなんとなく想像できちゃってましたね。
 
 でも確かに、こんなにヤニが付着した口でコーヒー飲んだり、ご飯食べたりで更にニコチンを摂取したくはないとは思いました。



 3. 息

 これは、僕の友達が実際に禁煙に成功したきっかけとなった出来事です。
 ちょっと期待しちゃいます。

 「煙草を吸って、吐いてもう白い煙が出なくなってしばらく待つ。 その後、鼻をつまんで肺の空気を口に戻し、ゆっくりと吐く」

 やっぱり大した事なさそう。(笑)

 まぁ、でもやってみましょう。

 はい、一服タイム。

 ぷぅ〜〜っ。


 1分ぐらい経過。 もう無色透明の息に戻ってます。 あたりまえだけどね。

 で、鼻をつまんで、肺から吐く感じで…って難しいな。


 おお、でるよ。白いよ俺の息!!
 それも続けて出る!!
 えくとぷらずむ〜〜〜〜っ!!(笑)


 これ、かなり驚き。5〜6回やってもまだ出ます

 いや、凄いよ。 こんなに沢山の煙が肺の中に常駐してるんだ。
 そりゃ肺ガンにもなるさ。 肺の中には生まれてきて最初に吸った空気が残ってるとは聞いたことありますが、既に僕の肺胞ニコチンフル充填されているんだと思います。(笑)

 ちなみに、その禁煙に成功した友達の話では、飲み会や徹マンをした翌朝、つまり大量に煙草を吸った日の起き抜けにやったらまだ出たそうです。

 僕も早速明日試してみよ。(喜)




 いやぁ、最後のはかなりビックリしました。 なんか手品みたい。(笑)



 煙草ってやっぱり体に悪そうですね。
 あんなに茶色くなるものを狂ったように吸ってるんですよ?
 もし、貴方が嫌煙家なら、近くの喫煙家にティッシュのネタをやってもらうと、禁煙してもらえるかも知れません。
 やっぱり実体験が一番インパクトあると思います。



 とかいいつつ、僕は既に2箱目の煙草を吸ってるんだけどね。(笑)


>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh イロイロ紹介! 2001/10/16 01:29
日々の戯言 オススメページ・・・?
リンク先の安全は、一応BlackAshの環境で確認済みです。





★イチローにインタビュー(秘蔵動画も!)★







☆女子中学生〜その心の傾斜☆







★あの人と一緒に オススメ! 究極のパスタご紹介★







☆こ、これは・・・ まさか 超ヒミツ裏ビデオ☆







★日々の疲れを癒す 注目のパックツアー★







☆10月価格! アナタにピッタリ 秋の注目モード♪☆







★ダマシなし! 正真正銘の女子高生ファック すごい!!★





















認 定 書


上のリンクから一度もリンク先にジャンプしなかったあなた


仙 人  初 段


に認定します


B l a c k A s h



>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh お片付け 2001/10/15 22:43
日々の戯言 諸刃の剣でした
ていうか明日からどうしよう・・・ 素で泣きそうです
例えば本の上に肘をついて寝てる時、そこから落ちると、たった数センチの位置移動にもかかわらず、何か絶壁から落っこちたような感覚で目が覚めますよね。
今日、「うおっ」という自分の声で目が覚めました。
ええもちろん会社です。


「ったくもう〜、何寝てるんですか〜」

あ、事務のお姉さん、見てました?

「ぐっすりでしたよ〜」

いやはや申し訳ない。
寝不足なもので。

「だって今日月曜日じゃないですか〜。始めから寝不足でどうするんですか〜?」

す、すいません。

「もう〜。はい、お仕事ですよ〜」

ドサッ

はぁ・・・ 何ですかこのファイルの束は。

「さっき課長が来て置いていきました〜」

ああ・・・ 課長俺を殺す気ですか・・・
って、さっき?

「はい〜。寝てる時ですよ〜」

ということは・・・

「よく寝てるね、ですって〜」

お、起こしてよ・・・

「だって邪魔しちゃ悪いと思って〜」

・・・はぁ。仕事しよ。
しっかし、机の上がもう限界だなぁ。

「ホントですよ〜。少しは片付けてくださいよ〜。あたしが書類置けないじゃないですか〜」

う〜ん。それはそうなんだけど。

ドサドサっ

あ、書類が雪崩れた。

「どれがどのファイルに入るのか言ってくれれば、あたしやっておきますよ〜」

え! まじ!
おおおお姉さん最高です! 女神様です!

「そうですね〜。お昼ご飯がいいな〜。隣の本格中華5,000円コース〜。杏仁豆腐つき〜」

すいません昼から何を食べるつもりなんですか?

「イヤならやってあげない〜」

いやよく食べることはいいことです。
私なんか最近昼ご飯しか食べていないのでお金余ってます。
早速書類をまとめておきますから・・・

「あと30分で会議ですからね〜」

うひぃこれは仕事やっている場合じゃありません。
えーとこれはこのファイル、この書類は新しいファイルに・・・

んじゃ、会議行ってきますので、よろしくお願いしますね。

「はい〜」




はぁ。疲れた。もう3時か。
なぜ外人はこの季節になっても半袖でHAHAHAなんですか。どこから来ますかこのバイタリティは。ああお昼ご飯食べたいよ。今日は夕ご飯ばかりかお昼も抜きですか私・・・

「あ、お疲れさまでした〜」

お、おおお・・・!
机の表面が見える! 見えるぞぉ・・・! ムスカの気持ちがわかるような気がしますね。

「たいへんだったんだから〜。ちゃんとごちそうしてくださいね〜」

うんうん絶対する! ほんとにありがとうございます!
・・・ん? これは・・・

「課長がさっき来て、追加の書類を置いていきました〜」

いいんですかやっぱり私死んでも。

「死なないから大丈夫だろう、ですって〜。机きれいになったから、今までの倍仕事ができるな、って〜」

えーと転職していいですか。

「その前にちゃんと中華〜」

・・・引き止めてください。
ん? こっちの山は・・・ ぐげ!

「あ、分類できなかった本です〜。本棚にも入らなくて〜。とりあえず机の上において置きました〜」

そ、それはいいんですけど。
すいませんこの「Hellsing1〜4巻」「ちょびっツ3巻(初回版)」「おまけの小林クン6、7巻」「Prism Palette」「エイケン1巻」は全部机の上においてあったんですか・・・?

「課長が来た時ですか〜?」

・・・も、もしかして。

「そうですよ〜。課長、掃除終わってから来ましたもん〜」

で、では、この椅子の上に置いてある「あずまんが2」「シスタープリンセス・オフィシャルキャラクターズブック」は・・・?

「何だか女の子がいっぱいでてくる漫画だな、っておっしゃってました〜」

・・・私の中で何かが崩れていくんですけど。

「チェキチェキとはどういう意味だ? って〜」

・・・四葉です。『Check it ! 』のことです多分・・・

「あ、課長、まだ余裕ありそうだなこいつは、っておっしゃってました〜」





オー人事に電話されなかっただけでもマシだったのでしょうか・・・


>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh 本物の弁護士は、ゲーム「逆転裁判」をどう思うか?(メール追記版) 2001/10/15 02:26
日々の戯言 結構、これって気になりませんか? 裁判といえば弁護士ということで、無理やり頼んでみました。
でも、もう2度とごめんです。(笑)

16日1時3分。 先生からメールが届いたので、追記しました。
あうあう。 弁護士という職業は、偏った才能の持ち主なんですね。(笑)
 ゲームボーイアドバンスの「逆転裁判」買いましたか? 個人的にはとりあえず買いだと思います。
ゲームの内容を知らない方は、公式サイトTECHさんに行っていただくとして、「相手の矛盾点をつき相手を窮地に立たせる」という揚足取りが大好きな人ディベートを愛してやまない人普段の口調が詭弁で構成されている人誇大自尊心夢想家は一度はやってみるべきです。(笑)

 ところで、皆さん弁護士という職業についてどう思いますか? 「弁護士を選ぶ権利の提案 」(とても真面目なサイトです)から抜粋するに、
  • できるなら世話になりたくない
  • 幾ら取られるか分からない、料金不明瞭
  • いったん頼んだら、あとはご機嫌伺いするしかない
  • 専門的なことは良く知らない
  • キャリアはあるらしいが、働いてくれない
  • 仕事が遅い、文句を言うと怒る
  • 政治的なことばかり一生懸命で、人を馬鹿にする
  • 生意気、傲慢、鼻持ちならない
等々の印象があるようです。 まぁ要約すれば、『弁護士は遠い存在。そして、「悪しき隣人」』 この言葉がぴったり当てはまると思います。(笑)

 ここで、僕は思ったんです。『弁護士は「逆転裁判」にどういったけち感想を持つのか?」

 というわけで突撃レポートの始まりです!!



 某月某日深夜、某都内ファミリーレストラン。

 目の前には私生活においても常時ジャケット着用の弁護士先生がいらっしゃいます。 しかし、さすが弁護士です。 席につくなり、国語辞典より分厚い専門書をテーブルに並べ始めてます。 さらにメモ用紙とペン…。 いや、そこまで気合入れなくてもいいんですけど。(笑)
 「法廷バトルゲームがあるから、遊んでみて感想がほしい」と手短に用件を告げ、とりあえずゲームをしてもらいます。 その間、僕は待ち。

 おお、とても楽しそうです。 「これはありえないね」、「言葉遣いが違うね」、「どこが監修してるんだ?」「その若さで所長はありえない」等々。


- 1時間半経過 -

 まだ終わんないのかい!!

 公式サイトには「一つの章が30分〜1時間もあるから、たっぷり遊べるねー」と書いてありますが、長すぎだろ? 第一章をクリアするのに僕は20分ぐらいでしたが、弁護士先生はまだ終わらないようです。


- さらに30分経過 -

 ドリンクバーのアイスカフェオレも飲み飽きました。 時間潰しにと持ってきた「ブレイクショット」も既に通し2回は読み終わってます。 あ、ようやく終わったようです。 (以下、先生は弁護士先生、BAは僕です)

BA「最初に、ゲーム全体の感想を訊かせて頂けますか?」
先生「日本の法律じゃありえないね」
BA「なるほど。他に何か?」
先生「ない」

 早くもレポート終了しそうな勢いです。(泣)

BA「いや、もうちょっとどこどう良くなかったとか、文章でお願いできますか?」
先生「だから、日本の法律じゃありえない」

 お前、人の話聞いてるんかい!! 確かに文章なんだけど、せめて言葉変えてくれよ!!

BA「…で、では、ゲームだということで、現実の裁判とはギャップがあると思われますが、どういう点について気になりましたか?」
先生「沢山ありすぎて突っ込む気も起きないよ。 それにこんな事書かれちゃ何もいえない」

 そう言って示したのは説明書の一文。
「※本ゲームに登場する人物や法律、法廷の仕組みは、すべてフィクションです」
BA「…あのぅ、別に訴えるわけじゃないんですから。(苦笑) ただ現実とのギャップについてお聞かせ願えたらなぁ、と思うんですけど」
先生「そうか。じゃあ、ここに全部書いたからこれを読んでくれ」

 はぁ、これはもうレポートにならない気がしてきました。 とりあえず渡されたメモ用紙を見ることに。
 そこには、もう本当に凄い量の文句の嵐。 確かに、これ全部言葉にするのはきついわなぁ。
 というわけで、ゲーム内容にかかわるもの以外、を適当に抜粋。(これでも元の3分の1にも満たないです)
  • 被告人控え室の装飾が派手 灰皿あるわけない
  • 所長! あんた胸開きすぎ
  • (弁護士の)バッヂ 形が違う
    • 真中へこみすぎ
    • 周りの襞の数が違う
  • 所長若すぎ
  • 弁護士は同じ事務所の弁護士を「部下」と呼ばない
  • 被告人、手錠外すな しかも板越しにしか喋れないので不可
  • もはやコメントする気にならん。 突込みどころ多すぎ
  • 検察官バッヂは?
  • 裁判官が中立守られていない 開廷してから個人的な話をするのはあり得ない
  • 被告人質問はさいご
  • 嘘をついていることには異議をはさむのではなくて反対尋問で切り崩す
  • 弁護人と検察官の背後の人だかりはなに? 傍聴人は法廷には入れない
 おいおい、突っ込みまくってんじゃねぇか。(笑)

BA「…なるほど。 ところで、このメモの右側はなんですか?」
先生証言内容
BA「…は?」

 なるほど。「この人はこれを書いているが為に、あんなに時間がかかってたのか」と納得してしまいました…。
 簡潔なんだけど、突っ込みより更にびっしりとまとめられた証言状況説明の数々…。 本当にゲーム中のセリフや画面からの情報がすべて網羅されていました。 多分、ゲーム製作会社のコンテにもこんな情報ないんじゃないの?

 1ゲーマーとしての感想いいですか? 「この人、馬鹿?」

BA「ところで、やっぱり裁判制度はかなり日本のものと違うんですか? 僕的には、日本の裁判より『アリーMyラブ』にでてくるアメリカ裁判のような気がしてるのですが」
先生「日本とは全然違うね」

 だから、もっと解りやすく文章で喋ろっていってんだろ。

BA「あの、先ほどもお願いしたとおり、もう少し具体的に文章で説明願えませんか?」
先生「全然違うから簡潔には無理だと言ってる。 あとで詳しく調べてメールで送ってあげるよ。」

 うわ、カチンと来てるよぅ。(泣) そんなあんたが書く文章なんて読みたくないよぅ。(大泣)
 先生もむっとしてるし、なんか何聞いても明快な答えが返ってこない気がしてきたよ…。

BA「じゃあ、最後に一言なにかお願いできますか」
先生「日本の刑事裁判では、起訴されたら99.8%程度は有罪となるから、このゲームに描かれている事が常時あるなんて思わないでほしいし、そもそも基本的に日本の裁判制度ではあのように検事と弁護士が争うような面は殆どなく、まず依頼を受けたら、それが起訴前なら、警察署から連絡を受けた後、担当検事に電話して、弁護人選任届を検察庁に提出し、次に被疑者と接見して事情を把握、容疑を否認するか認めるか決定するという過程を経て、基本的に不起訴を狙うのだが、起訴後なら、担当検事から公判2週間前ころまで、ひどい時には10日前に証拠資料が届くので、それをもとに、犯罪事実を認めるのであれば、検察官にその旨事前に伝え、後は情状酌量の問題となるし、犯罪事実を否認する場合であれば、かかる提出予定の証拠資料の矛盾点を探すことから始め、必要であれば弁護人独自に証拠を収集、例えば関係者の供述を弁護人が自ら録取して報告書の形に…」

 だからさ、一言っていってんだろ!! でも、今文章に直して確認してみたら、確かに一文なんだけどね…。

BA「ちょっと待ってください。(汗) 申し訳ないんですが、そこら辺の詳しいことは口頭で言われてもちょっと僕には理解できないと思うのでメールでお願いできますか?」
先生「そうか。 ではそうしてあげよう。 じゃあ、そろそろ終りかな?」
BA「そうですね。 今日は貴重なお時間を割いていただき本当にありがとうございました。」


 まぁ、こんな感じでレポート(?)は終了しました。
 とりあえず、お相手の弁護士先生の印象は、こんな感じでした。
  • 弁護士は一般人と同じような観点で物事を見ていない。
  • 弁護士は結局は揚足取りが大好き。
  • 弁護士は一般常識を持って臨んではいけない。
  • 弁護士はディベートのように文章を長く喋り、相手をけむにまこうとするきらいがある。
  • 言葉の端々にプライドがにじみ出ているので、むかつく。
 つまり、弁護士は揚足取りが大好きで、口で負けるのが嫌いで、プライドが高い…
 あ、冒頭のお勧めする人の条件殆ど満たしてる。(笑) 弁護士先生もとりあえず、楽しんでたようだし(かなり屈折してたが)、みなさんもあの条件に当てはまると思うんでしたら「逆転裁判」買って遊んでみてください。 絶対面白いと思います。

 ところで、最後に一言、「僕の感想」も良いですか?


ドリンクバーの300円ぐらい払ってけ!!


ただいま、16日のAM1:03です。 例の弁護士先生からメールが届いたのでまた編集しようかと思ったのですが、僕が編集できるレベルじゃないので、私信以外を抜粋してコピペ。(笑)

この文章見ちゃうと、やっぱり弁護士って頭いいのかなぁ?
ところで先生、ゲームの感想は?



刑事裁判の流れ

(警察からの場合)
捕まったら、弁護士に連絡が行く。連絡を受けた弁護士は、依頼を受けると、その依頼人を取り調べている警察や担当検事に連絡をとる。そして、弁護人選任届を検察庁に提出して、弁護活動が始まる。
この段階での弁護活動は、主に被疑者と接見して事情を把握して、否認するか認めるかを決め、認めるなら弁償とか謝罪とかで、どうにかして起訴されないようにする、という方向。
否認するなら、どういう反撃材料があるのか調べる。加えて不当な取調を防ぐ。
検察に起訴されるまで基本的に証拠資料は見ることができない(交渉次第)。

(起訴された場合または起訴後からの場合)
連絡を受けた弁護士は、とりあえず被告人に接見して事情を聞く。
検事とも連絡をとって、事件の進み方を聞く。執行猶予がありうるのか、それとも検察が実刑狙いでくるのかを判断。
証拠資料は、検察が裁判所に提出する予定のものは第1回公判前に全部弁護人に公開(2週間〜10日くらい前)。弁護人が予定するのも同様に検察官に事前開示。
検察側の資料を元に反撃を考える。
基本的に執行猶予を狙うけど、ムリな場合はしょうがない。
否認であれば徹底的に戦う。検察側の資料に矛盾点がないかどうか見つける。必要であれば自ら証拠を探す。現場へ足を運ぶのは基本。

以上の活動は、裁判所は絶対に知ってはならないのが原則。
白紙の状態で、法廷に臨む。

(法廷)
まず人定(被告人が本人かどうかの確認)
起訴状朗読
黙秘権告知
被告人罪状認否(認めるか否認するか)
弁護人の意見
証拠調べ
 検察側が先
 まず物から
 次に第三者作成の資料
 第三者の供述調書
 被告人の供述調書
 で、裁判所に証拠として採用するように請求
弁護人の意見(証拠採用OKかどうか)
証拠決定
 次に弁護人の証拠
 同じような順番
検察官の意見(OKかどうか)の後証拠決定
証拠調
 証人尋問
  第三者尋問
  被告人質問
終わったら、論告・求刑
最終的な弁論要旨
閉廷
判決


肝心の尋問関係ですが。

異議は、証拠調が法律違反または相当でない時に出す(刑事訴訟法309条1項・刑事訴訟規則205条)
証人が嘘をついているという場合、反対尋問で崩すこととなる。
なお、異議が出たら、裁判官はそれに対して判断をしなければならない。
よって、本ゲームのように、裁判官がサラリと流してしまうのは違法。


尋問中に他の証人を出すのは無理。
いったん現在の尋問を終わって、それから新しい証人の証拠調請求をして、採用されたらその次に改めてやる。


>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh 大人になる瞬間 2001/10/14 21:35
日々の戯言 水・・・ 水をください
自分のことを「大人になった」と実感する時は、どんな瞬間なんでしょうか。「20歳」という区切りではなく、自分が「ああ、もう自分は大人なんだな」と実感する、内面的な瞬間です。
例えば、成人式で着物を着た自分を鏡で見た時、自分の写真が貼られた運転免許証を持った時、ビールを飲んで思わず声を出してしまった時、初めて人を抱き、抱かれた時・・・ それぞれの「大人の瞬間」があるのかもしれません。
ちなみに、ちょっと電話して訊いてみたんですが、ブッシュ大統領は「HAHAHA! ソレハ選挙ノ時ニ文句ヲ付ケラレテモ、相手ヲホメタタエルコトガデキタ時サ」と陽気に言い、プーチン大統領は「そうだな・・・ 一にらみで、目の前の相手を恐怖に凍りつかせることができた時だ・・・ な」とボソボソとつぶやいていました。


私にとっての「大人の瞬間」とは、「カルピスをいくら飲んでも怒られなくなった時」です。これについては、相当程度頷いてくれる方がいると思っています。


夏、元気に外を駆け回った子供が、家に帰って「のどかわいたー」と言うとします。
母親が「はいはいまず手を洗って」と微笑い、冷蔵庫から、白地に青の水玉の紙に包まれたビンを出すのです。そして、コップに1センチほどそれを注ぎ、氷を2、3個入れ、水を8分目に、カラカラとかき混ぜてから、テーブルに置くのです。
洗面所から戻ってきた子供は、それを見つけて「あ、カルピスだー!」と大喜びです。「一杯だけよ」と言う母親の声も聞かず、子供は一気にそれを飲んでしまいます。さわやかな甘味が、喉越しも心地よく、身体中に染み渡っていくのです。
「おいしかった〜!」と笑い、子供は、でも「もう少し〜」とコップを差し出すのです。けれども、母親は「一杯までって言ったでしょ。あとは氷水にしなさい」と言って、そのコップに水だけ入れて、子供に渡します。「やーだー! もう少しだけー!」と言っても、「ダメ!」と絶対に母親はそれ以上飲ませてくれません。
しょうがなく、子供は、まだかすかに残っているカルピスの味、というか香りをなめながら、チビチビと氷水を飲むのです。一杯目にもう少し味わって飲んでいればよかった、と思いながら。


今や社会人となった私には、多少の自由になるお金があります。そして、自分で仕事をし、自分の稼ぎで生活をしている身ですから、もう両親に何を言われる筋合いはありません。私がステキに実家にパラサイト♪していることは、この際忘れることとします。
そうです。今の私は、子供のころ一日に一杯しか飲めなかったカルピスを、思う存分飲むことができるのです。いくら飲んでもしかられないのです。それこそ浴びるように飲んでも、いやむしろ浴びてしまっても、決して怒られることはないのです。


そこで、「大人の瞬間」を味わうために、近くのコンビニにカルピス原液を買いに行きました。さすがはもう大人に近づいた私です。すぐに、あの見慣れた白地に青の水玉のパッケージを見つけることができました。


しかし、しかしです。それは紙パック入りのカルピスでした。
カルピスとは、あのパッケージに包まれたビン入りでなければならないのです。小学校6年生の最後の夏、風鈴が揺れる夕方の縁側に似合うのは、ビンのカルピスなのです。
そこに、同じクラスの女の子が、浴衣を着てうちわを持っているのです。彼女は、私と二人で、何とはなしに座っています。まだ幼い二人は、どうやって会話をしたらいいのかわからず、ただ二人で並んで座っているのです。
カラン、と、グラスの中の氷が鳴ります。その音に、二人ともちょっとびっくりしてしまうのです。お互い、恥ずかしそうに目を合わせると、浴衣の女の子は、ほんの少しだけ、微笑むのです。そして「カルピス、いただくね」と、不慣れな敬語で、グラスを持つのです。
彼女の小さいピンク色の唇が、グラスに触れます。白いカルピスが、彼女の唇から口へ、そして喉を通り越していきます。彼女が、少し上向いて、目を閉じて、カルピスを飲んでいるのです。彼女の唇は、男のそれとは違って、すっ、となめらかに流れるようで、とても鮮やかに、そして12歳という不安定な時期を象徴するように、妖しく光っているのです。それが、一回だけ、こくん、と動いたのです。
グラスが置かれた音で、私は我に返るのです。ずっと、女の子の唇を見つめていたことに、初めて気づくのです。
「・・・」
女の子が、私の視線に気がついて、黙ったままうつむいてしまいます。けれども、しばらくして、女の子は、どうしたらいいのかわからない私を、まっすぐに、見詰めます。
「・・・ねえ。して・・・ いい、よ・・・」
何をしていいのかよくわからないまま、私は浴衣を着た女の子のすぐ隣に行きます。
女の子が、夕焼けで真っ赤に染まった顔を、ほんの少し突き出して、そして、瞳を閉じます。
女の子の持っていたうちわが、ゆっくりと、落ちました。


このように、夏の夕暮れの縁側に似合うのは、ビンのカルピスでなければいけないのです。紙パックなど言語道断です。「このように」という接続に疑問を感じた人はそこにとりあえず並びなさい。いいですか。ビンのカルピスでないとだめなんですよ。わかりましたか? え? わからない? 私の目を見ろっ!


で、しかたないので、10分くらい歩いて、スーパーに行ったんです。でも、そこでも、紙パック500ml入りしか売ってないのです。
日本の趣、風情はどこにいってしまったのでしょうか。もう、ビンのカルピスは、お中元のカタログにしか見つけられないのでしょうか。


もう一軒。そこからさらに12、3分歩いて、やはりスーパーに入ります。
でも、紙パックなんです。泣きたくなりました。でも、大人に近づくためには、こんなことで泣いていてはいけません。店員さんに訊けば、もしかしたらあるかも知れません。
「すいません。カルピスの原液ありますか? ・・・ビンのやつ」
すごく不思議そうな顔をされて、やっぱり泣きそうになりました。


ないそうです。日本はもう終わりです。
肩を落として、結局紙パックのカルピスを買うことにしました。
レジで、お金を払います。
「459円です」
・・・高っ!
何でカルピス500mlで450円もするか? 1mlで1円か? こんな小さいんだよこの紙パック? これで500円も取るのかよ?
いやいやもう大人になるんですから、ここはぐっとこらえて。悔しいので1万円を出したことは内緒です。


で、これを飲むのです。
もういくら飲んでもいいんですよ、このカルピスを。何だかホントにどきどきしてきました。ドキがムネムネ、と書きかけて、大人ではなくオヤジになってしまう、と思い直してやめました。
さて、どうやって飲むか、ですけど。
どうせいくら飲んでもいいんですから、ここはやはり原液です。ええそれが大人です。
しかも、コップなんてまどろっこしいものは要りません。紙パックから一気に原液を、口の中に注ぎ込むのです。これが、大人の飲み方です。


よく振って、キャップを開けて、中のプルトップも開けて。
さあ、とうとう、私が大人になる瞬間です!
一気に紙パックを傾けて・・・


ぐぼっ


な、何か、何か、どろっとしたものが入ってきて。
絶対ありえないと思うんだけど、粉っぽいの。
そして、次の瞬間、激烈な甘さが舌全体、口全体、いや、もはや脳味噌全体に襲い掛かってきます。
ていうか、


あ、甘・・・


こんなの飲めません。ていうか紙パックに「5倍希釈用」って書いてあるよ。


うあ、口の中に、何かどろどろしたゲル状の流動物質が固まってます。そういえば、濃いカルピスを飲んだ後に、こういうのが口の中に残った憶えが・・・ 久しぶりだなカルピスのゲル化物質クン、とても会いたくなかったよ。
とにかく甘くて。こんなの飲めませんって。カルピス原液一気飲みは、十分甘いもの選手権の競技として使えますって。


あ、そうか。
こうやって甘いものが好みではなくなっていくこと。
これが、大人になることなんですね・・・




今日、私は、大人になりました。


「は? 原液で飲んだの? バカじゃないあんた」
大人になったけれど、母親に馬鹿にされました。


>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh 深夜の電話 2001/10/14 01:48
日々の戯言 先週の木曜日の電話の実況中継です
いきなり、平日の深夜午前3時に電話をかけてくる女は、ホントどうかと思うんです。

「今お仕事終わったから〜。遊ぼうよ〜」

ってオレは朝から仕事があるんです。私は普通に勤めているんですよ。あなたみたいに深夜のお仕事をしているわけじゃないんですよ。朝起きて会社に出かけなければいけないんですよ。
はいはいムリです。明日仕事です。電話、切りますよ?

「ち、ちょっと待ってよぉ! なんで〜?」

何で、って、今言ったやん。
明日も、仕事なんです。朝から仕事なんです。

「え〜。ちょっとくらいいいじゃ〜ん」

オレに徹夜しろと言うんですか?
だから、明日も仕事なんですって。朝から。

「なんでよ〜」

一回死にますかあなた?
仕事、仕事があるんです! 分かります? し・ご・と!

「え〜。ちょっとだけ〜」

どう考えても朝までになるんですけど。
だから、明日も仕事ですので、ダメです。
じゃあね。気をつけて帰ってくださいね。

「え〜。けち〜」

いやそういう問題ではないんですけど。
今度お店行くから、今日は勘弁して。もう午前3時過ぎてます。

「え〜。もうさせてあげないよ〜?」

えっと、いつ誰があなたとしたんですか? ていうかさせてもらえてないんですけど?

「そうだっけアハハハハ〜?」

・・・殺してあげましょうか?

「だっていいじゃんか〜」

だから私は明日も朝から仕事ですのでダメです。そう言ってるでしょ?

「え〜。相談したいことがあったのに〜」

そんなの初耳なんですけど。
で、何を相談するんですか?

「だから来て〜」

電話でとりあえず言ってくださいな。
相談事は何ですか?

「ひみつ〜。だから来てよ〜」

相談内容がヒミツじゃ相談できないんですけど?
もう3時半です。電話切るからね。

「ちょっとヤダ〜! けち〜」

いやだから・・・
まじで仕事なんですって。わかった?
どうせあれでしょ? 朝までヒマだから電話かけてきたんでしょ?

「え〜、そんなことないよ〜。あなただから電話したんだよ〜。ねぇ、遊ぼうよ〜」

だから今日はもうダメだって。
頼むから電話切らせて。

「だってこわいの〜。ストーカーって知ってる? あたし今それに狙われてるの・・・」

すいませんそれも初耳なんですけど。
だったらさっさとタクシーで自分の家に帰りなさいって。

「え〜、だってぇ〜。一人じゃヤダ〜」

だってじゃなくて、オレ明日仕事だから。
気をつけて帰ってね。
じゃあね。

「待ってよ〜。ね、少しだけ」

日本語分かってます?
明日、朝から、仕事、なんです!

「けち〜 ・・・あ、カオリが来た。分かった、電話切るね。じゃ〜ね〜」

ガチャ ツー、ツー、ツー



殺意というのはこういう時に固まるんですね・・・



さてと、もう3時40分か。
ニュース更新して、日記を書かなくちゃ。


>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh パンティ考 2001/10/13 05:38
日々の戯言 真剣勝負でした
ちょっと文章が長いかもです
あなたは、素人の女の子が、自分が身に着けている下半身を覆う下着のことを「パンティ」と呼称するのを、実際に聞いたことがあるか。彼女の身体を覆う布が最後の一枚となった時に、その女の子が「パンティを脱がせて・・・」と囁くのを聞いたことがあるか。あるとしたらその女の子はほぼ間違いなくプロか、少なくとも相当場慣れしていると見て間違いない。そのような呼び方は、風俗、小説かビデオの中にしかないと断言できる。
「パンティ」という呼称は、完璧に男性が用いるものである。私は、そのように主張したいのである。


本日10月11日、私は、「女性は、自らの下半身を覆う下着のことを『パンティ』と呼称するのか」という論点について、古くからの友人と、議論を戦わせる機を得た。きっかけは、午後7時頃、私が会社から久しぶりにその友人に電話した際に、この話題になったからである。その友人は、日本で3本の指に入ると言われる女性下着学の権威であり、ワコール、トリンプを始めとした有名下着メーカーの顧問という重職に就いている人物とは全く関係ない、普通のサラリーマンである。その彼が、私の上記のような主張を、まさに一笑に付したのである。


友人は、かたくなに「女性も『パンティ』と呼称する場合がある」と主張した。彼の経験がそう語らせるのか、それとも他に論拠があってそのように述べるのか、電話口で何度も疑問をぶつけたのであるが、彼はそれを明らかにしなかった。意味深な含み笑いをし、正当な根拠を説明しようとしなかった。
その煮え切らない態度に腹が立った。次の瞬間、私は声を荒げて、「近いうちに、女性の下着の呼び方について語り合う必要がありそうだな!」と、半ば喧嘩を売るような口調で宣言した。すると彼は、「では今から来い」と、余裕たっぷりの答を返してきたのである。
ここで退いては男がすたる。私は異議なくその申出に応諾し、仕事を土曜日の休日出勤に回すことにした。
以上の会話が全て会社で行われていたことを思い出したのは、この文章を書いている今この時になってであった。


私は1時間半電車に揺られ、彼の地元の駅に着いた。すでに彼は改札口で私を待っていた。その右手には、何やらビニール袋を下げている。自説を根拠付ける資料であろうか。
しかし、私も、このカバンの中に、それなりの資料を集めて持ってきてある。お互い、準備万端、というわけだ。


近くの居酒屋に入り、まずは、長い無沙汰を詫びる乾杯を交わす。ただ、すぐに本題に入るのは至極当然であった。
私は、乾杯のビールを飲み干すや否や、テーブルに肘をついた。
「説明するまでもないことだとは思うが、確認の意味で、『パンティ』の歴史を述べることとするが、構わないだろうか?」
友人はゆっくりと頷き、それを合図に、私は語り始めた。


そもそも「パンティ」とは、フランス語の「パンタロン」がその由来である。日本語では「パンタロン」はラッパ型の女性用ズボンを指すのであるが、それはまた別の機会に語ることとして。その「パンタロン」という言葉がイギリスに輸入され、一般に下着を意味する「パンツ」となった。それに、「小さい」という意味の語を作る接尾辞、つまり指小辞の「y」が付着し、「panty」「panties」となったのである。


日本に「パンティ」が初めて入ってきたのはいつか。これについては、豊臣秀吉がポルトガル人から譲り受けたのが最初と言われるのは、もはや常識であろう。それでは初めて身に着けたのは、かの淀君であるのか。想像しても全く萌えないのでそれはこの際考えない。
しかし、「パンティ」は、着物の上からラインが出るので、全く流行らなかった。やはり、着物は下着なしが一番いい(腰巻はどうかと思う)。明治時代の文明開化において、かの慶應義塾の福澤諭吉が「パンティ」の着用を勧めたのであるが、やはりそのラインの問題で、当時の女性たちに受け容れられることはなかったのである。


このような風潮が一変したのは、昭和7年(1932年)2月23日に発生した、東京日本橋の白木屋(東急日本橋店の前身)の火災である。当時人気だったセルロイド製のおもちゃに引火して広がった火事は、死者14名という大変痛ましい結果を残すことになった。
ここで、このような惨事となった原因の一つとして、着物を着用した女性が逃げ遅れたことが挙げられる。ロープを伝って避難する際に、着物を着用し、下着を何も着けていなかった女性が、下から見られるのを恐れて着物の裾を押さえた結果、無情にもビルから墜落して多数死亡したのである。
この不幸な事件により、洋装、なかんずく「パンティ」の機能性に注目が集まり、それから女性は洋装に「パンティ」というスタイルに変化していったのである。


「それはすでに知っている。まさにそのとおりだな」
友人は言う。
「それで、『パンティ』という呼称が男性のものである、というキミの主張・・・ その根拠を、聞かせてもらいたい」
私は無言でカバンを開き、中から10冊ばかりの本を取り出した。
「・・・なるほど」
友人が頷く。
「フランス書院文庫、か・・・」
男性のみをその焦点に据えた、あまりにも有名な出版物、エロ本。私は、会社を出てすぐに、近くの本屋で、日本有数のエロ小説出版物であるフランス書院文庫を選別し、10冊程度購入したのである。会社の名義で領収書を切ったのは言うまでもなかった。
「これらは、女性の下着を『パンティ』と呼称するケースがほとんどだ」
私の言葉を聞いているのかいないのか、写真と見紛うような表紙の絵を、友人はただ見詰めている。
それに追い討ちをかけるように、私は数枚のA4版の印刷物を取り出した。
ワコールトリンプセシール・・・ 女性下着メーカーの呼称は『ショーツ』だ」
ウェブサイトを印刷したそれを、友人は興味深げに眺める。
「加えて言うならば、私の経験から言って、女性は、下着を呼称する必要がある場合、『パンツ』と呼ぶか、もしくは指示代名詞『これ』『それ』等で呼ぶ」
彼が何度も頷くのを見て、私は勝利を確信したのだった。


「では、これをどのように説明する?」
やおら彼は、携えていたマツモトキヨシのビニール袋をテーブルの上に放り出した。
訝しげに、私は中を見る。
・・・絶句するしかなかった。
「こ、これは・・・!」
友人が、ニヤリと笑う。
「そうだ。女性生理用品メーカー『ユニ・チャーム』の製品、ソフィパンティライナーだ」
「・・・ぐっ」
背筋に戦慄が走る。私としたことが、このような身近な製品を忘却していたとは。
さらに、友人が口を開いた。
「ついでに、私の記憶だが、確かトリンプには『Pour Moi』というブランドがあり、そこの製品に、フレンチパンティという名称のものがあったはずだ」
「!」
まさか・・・ 私は記憶の糸を手繰る。
そして、2秒の後、そのとおりであることを認めざるを得なかった。
「確かに、ある
友人が微笑んだ。
「資料に、溺れたな・・・」


だが、互いの証拠はともに甲乙つけがたい。友人と私は、暗黙のうちに、これを引き分けとする結論を導いた。
「素晴らしい資料収集能力だった。感動した」
「いや。キミの的確なピンポイントの証拠には感服の至りだ」
二人は、居酒屋を出て固く抱き合う。やはり、持つべきものは友、であった。


心地よい満足感とともに、私は帰宅した。
そして、今日は買ってきた資料の読破で寝られないな、と思いつつ、この文章を書いているのである。


>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh 電車 2001/10/12 20:16
日々の戯言 いろいろありますよね、毎日電車に乗ってると
朝の満員電車の中で、携帯の着メロが「ミニモニ。テレフォン! リンリンリン」だった私の近くの誰かさん。恥ずかしいからってそのまま放置しないでください。リアクションに困ります。笑いながら周りを見回すのも何か不自然でイヤなんですが、かといってすましたままでいるのも、この人この曲真剣に聴いてる、とか思われそうでイヤなんです。


というわけで、今回は「電車でGO!」の話です。やや強引な持っていき方だということはわかってます。わかってるんです。「Xのn乗+Yのn乗=Zのn乗という方程式について、nが2より大きい場合、その方程式は整数の解を持たない」という定理(フェルマーの定理)が真であることと同じくらい、しっかりとわかっているんです。つまり全然わかっていないということです。すごくさわやかに「わかってないジャン☆」と突っ込みます。手だけでなく身体全体で突っ込みます。NHKラジオ体操第2で鍛えた身体を惜しげもなく見せつけながら突っ込みます。それくらいしないと私の気が収まりません。電車でGOなんで旬をとっくに過ぎた話題を持ってきた上に、私はこのゲームを一度もやったことがないのですから。


結局何が言いたかったのかというと、電車でGO! ではなく電車の話なんです。
最近電車で通勤しているんですよ。ちょっと前までは、リムジンの中でイングリッシュ・ブレックファストをつまみ、朝から優雅にアール・グレイ・ティーを、ロイヤル・コペンハーゲンのカップでいただきながらの通勤だったのです。車の窓にかかったカーテンを開けると、じいやが「なりません! 薄汚い下界の雑駁な風景をご覧になるとは!」と言って許してくれなかったのです。
でも、豪奢かつ優美だけれど、窮屈なこの生活から抜け出したくて、ようやっと、じいやに許しをもらったんです。
「私も一社会人なのだから、社会人としての生活を送らなければならない。じいや、わかってくれるな・・・」
「ぼ、ぼっちゃま・・・ ううう・・・ ご立派になられて・・・ じいは、じいは、もはや・・・」
「わかっている、じいや。ほんとうに、今までありがとう」
「ううう・・・ ぼっちゃま・・・」
私は泣き崩れるじいやの肩に優しく手を置き、最後に言ったのです。
「というわけで、じいや、クビだから」


といった紆余曲折を経て、私も電車を使い始めたのですが。
確か先週の土曜日のことだったんですが、中央・総武線の代々木駅で、電車のドアが閉まる直前に慌てて降りた女性の靴が、片方だけ脱げて車内に残されてしまいました。彼女は動き去る電車を恨めしそうに目で追いかけていました。これはかなり恥ずかしいと思われます。彼女は駅員に問い合わせて次の駅で靴を取り戻すことができますが、次の駅まで靴はかたっぽだけです。彼女は黒いストッキングをはいていましたから、この白のパンプスをはかないとかなり目立ちます。


しょうがないので、私はそのパンプスを拾って、次の駅、つまり新宿で降りました。靴を探している駅員さんを無視して、私は新宿駅14番線ホームで彼女を待ちました。
程なくして、彼女が同じホームに降りてきます。かたっぽはつま先立ちで、黒いストッキングが汚れています。
私は女性の傍らへ歩み寄り、微笑みながら白いパンプスを渡しました。
「あ、ありがとうございます・・・」
ほんとうに恥ずかしそうに、彼女はそれを受け取って、はこうとします。
「あ、ちょっと待って」
私は彼女の肩を押さえると、足元にかがんで、ハンカチを取り出し彼女の足の裏を払います。いきなりのことで、彼女も私の肩につかまっているしかありませんでした。
「あ・・・ そんな」
「これで、よし、と」
立ち上がってにっこり笑うと、彼女は私の肩から手を離し・・・
そして、また肩に手をかけました。
今度は、手だけではなく腕全体で。
「・・・ありがと。お礼にあげたいものがあるの。付き合って」
そういう彼女のひとみは、先程とは別人のように淫靡な光に濡れ切って、妖しい光を放っていました。彼女の肢体から立ち上る女の香りが、ひときわ強くたなびきました。
「・・・へえ。変なモンだったら許さないよ?」
「そんなことあるわけないわ・・・ いいから来なさいな」
「OK、行こう」
神の僥倖か、それとも悪魔の誘いか・・・
私は、実のところどちらでもよかったのです。新宿を流れる小船は、今二人を乗せて流れ始めたばかりなのですから・・・


ということがほんとうに、実際にあったんですよ。
うそじゃないんです。


という報告を皆様にしたくて今日も電車で帰ります。では、また。


>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh クリック 2001/10/12 02:30
日々の戯言 日本は平和です
今日の朝出社して、PCを起動してフォルダを開こうとした時に、まじめな顔をしてトリプルクリックしてしまったことが一日中頭から離れません。カチカチカチッ、とマウスボタンの音が等間隔に、一糸乱れぬ連なりを見せたのです。あたかも、カルガモの親子が道路を歩いているような連なりを見せたのです。「あたかも」と「カルガモ」が微妙に韻を踏んでいることはあなたと私だけのヒミツです。


それで、こんなきれいなトリプルクリックができるのはこの世の中にオレだけだ、と思って嬉しくなるわけです。ええやっぱり嬉しいわけです。具体的に言えば、トイレットペーパーの端っこをきちんと三角に折ってトイレから出てくるくらい嬉しいのです。「東京ドームの容積を正確に言いなさい」という問題を出されて、「う〜ん・・・ 東京ドーム1個分!」と華麗な切り返しができた時くらい嬉しいのです。この前酒の席で、これを事務のお姉さんに出題したら素で引かれたことを忘れてしまうほど嬉しいのです。


こうまで嬉しいと、人に見せたくなるものです。
そこで、私は事務のお姉さんのところに行きまして、「ほらほら。今からすごい業を見せてあげるね」と言うんです。事務のお姉さんは、「え? なんですか〜」と興味しんしんです。かなりチャンスです。ここでバッチリとトリプルクリックをキメれば、私は一躍ヒーローです。ガオレンジャーも真っ青です。トリプルクリックでキミのハートをクリック♪です。今、二人の愛はトリプルクリックで起動です。


「じゃあ、いくよ・・・」
私はマウスを持ち、二人の間に、緊張が走ります。事務のお姉さんが、固唾を飲んで見守ります。私の眼鏡を汗が伝い、お姉さんが持っていた書類にポトリ、と落ちます。それが捺印済みの契約書の原本だったことはこの際忘れることにします。


フォルダのアイコンに、カーソルを合わせて・・・


「せやあああぁぁっ!」
気合一閃。


カチカチカチッ


見事ですオレ! 今世界はオレにスポットライトを当てている。イギリスのジョンブルも、ナイジェリアのサッカー選手も、アフガンのテロリストも、シンガポールの華僑も、アメリカのキャリアウーマンも、全ての人々が私に惜しみない歓声と拍手を送っています。
私が、高橋名人を超えた瞬間でした。


「・・・それがどうしたんですか〜」
ぽやぽやした声が、実に冷たいです。
「フォルダ、開いてませんよ〜」


おかしい・・・ フォルダはコレで開くはずなのに。
もう一度。


カチカチカチッ


うおおまたもや成功! もはや職人芸ですこのトリプルクリック。芸術作品です。これひとつで武道館満員確実です。
・・・あ、開きました、フォルダ。


「開いた〜」
嬉しそうに事務のお姉さんは私からマウスを取り上げて、その中のワード・ファイルをダブルクリックして、書類作成に入ります。
私は、その姿に満足してうなずきつつ、身を起こします。
「あ、今日は3時から会議です〜」
はいはい憶えてますよ。心配しないでください・・・


って、違うって!
この美しいトリプルクリックの奥義を披露したんですよ? 今世紀最大のトリプルクリックですよ? あなたが初めて見たんですよ?


「開く時はダブルクリックでいいんですよ〜」




それから時々トリプルクリックでフォルダを開いたりした、今日はそんな一日でした。


>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh Watch号外 : Yahoo!JAPANがジオシティーズの規約を統合〜著作権問題に対する見解を表明〜 2001/10/11 13:40
日々の戯言 Watch号外です
例のYahoo! の規約改変の問題。いつものごとく、ソースは確かですが、コメントは必ずしも確かとはいえませんけど・・・ 何だかね、やれやれだよヤフージャパンも。
本日10月11日のニュースでも紹介した、ヤフージャパンが、ユーザのアップしたコンテンツについて著作権を取得する、という問題なんですけどね。
サイトの移転続出、かなり影響が出ているようです。こんな会社は「吉野家の刑」だ! とか言って、例の「吉野家コピペ」でも作ろうかと思ったのですが、あまりに芸がなく意味もないので、とりあえず、Watchしてみようかと。


問題となっているのは、ヤフージャパン(ヤフーと言いますね)の規約の中の、
不特定多数のユーザーがアクセスできるサービスに対してユーザーがコンテンツを送信(発信)した場合、ユーザーはYahoo! JAPANに対して、当該コンテンツを日本の国内外で無償で非独占的に使用する(複製、公開、送信、頒布、譲渡、貸与、翻訳、翻案を含む)権利を許諾(サブライセンス権を含む)したものとみなします。また、ユーザーは著作者人格権を行使しないものとします。◆規約第7項◆
この部分。要は、コンテンツの著作権はそれを作った人にあるけど、そのコンテンツを利用する権利がヤフーにもあるよん、ということですよね。だからまあ、上に書いたように著作権を取得されてしまうわけではないんですけども、やってることは変わんないって。
しかも、著作者人格権を行使しない、としている点も問題ですね。著作者人格権とは、『著作物に対する著作者の人格的利益を保護する権利で、公表権、氏名表示権、同一性保持権等』のことらしいです。んじゃ、それを行使できなくする、って、「紹介してもいいけどオレの名前を表示しろYO!」とも言えなくなってしまう、ということ?


で、いろいろ質問があったらしくて、ヤフー側は◆Yahoo!ジオシティーズに関する著作権の取り扱いについての考え方(Q&A)◆というものを出しまして、その規約の実際の運用方法を書いてます。
でもね、運用方針があろうとなかろうと、規約は規約なんだけど。最後には規約が優先するよ、あたりまえだけどさ。


ヤフーが『ジオシティーズ公式ガイド』などを発行する際に、ユーザーのサイトのスクリーンショットなどを取る可能性がある。
そのために利用規約の中では、ユーザーの方々に利用の承諾を頂いております。
◆Q&A第5項◆
で、規約追加の理由のひとつがこのとおり。要は、ヤフーが宣伝をする時にユーザのページを紹介するかもだから、そのような場合に各ユーザの個別の承諾を取ることなく、あらかじめまとめて最初からOKをもらっておきますよ、ということ。
しかも、


このようなプロモーションはYahoo! JAPANのサービスのプロモーションであると同時に、ご利用いただいている方々のホームページのプロモーションでもありますので、ジオシティーズユーザーのページ活性化へとつながり、コミュニティーサービスとして更に発展していくことを通じて多くのユーザーの方々にも資するものであると考えています。◆Q&A第5項◆
ということで、ヤフー自体の宣伝だけじゃなくてユーザの宣伝にもなるんだからいいでしょ? とか言ってますね。
そういうのを余計なお世話って言うんじゃないんですか? 宣伝されたくないユーザがいても、使っていいかどうか個別に確認しないわけだから、問答無用で掲載されるということも十分あるわけだよね? さすが天下のヤフー。やることも大胆です。ゴリゴリ押します。ソフトバンクな雰囲気です。


またですね、◆Internet Watch報道◆によれば、ヤフー側は、
現在のYahoo!ID取得の際の登録内容では、法律的に著作権許諾をとる情報として不十分だ。その為にあの一文を掲載した
という理由もあって、規約を追加したようです。
でもね、ヤフーは、
プロモーションの目的でユーザーが掲載したコンテンツを紹介することはありますが、それ以外の目的で利用することはありません。これまでもプロモーション目的以外に利用したことはありませんし、今後もありません。◆Q&A第10項◆
と自分で言っていまして、今回追加された規約がなくったって同じことをバリバリとやってたんですよね。つまり、法律的に著作権許諾を十分に取っていないままユーザのページとかを宣伝のために勝手に利用していた、という解釈ができますが。これはいわゆるひとつの自白ですか?


こんな規定が果たして有効なんでしょうか。そもそも規約の急な変更はどうよ、ていうかオレ知らないよそんなの、という問題もあるでしょうに・・・


ま、◆著作権法◆の各条文には違反してないんでしょうけどさ、少なくともその第1条
「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」
に照らしてあやしいことをやっている、くらいの認識は持った方がいいんじゃないかな。自分の宣伝のためにユーザのコンテンツを勝手に使って自分だけの金儲けへつなげることが「文化的所産の公正な利用」となるとはぜんぜん思えないし。「著作者等の権利の保護」を図ってないような気がするし。ま、「文化の発展」には寄与してるのかな? 結果的にだけどね。


あとさ、新聞で話題になってた◆消費者契約法◆とかもきちんと考えた? まさかダイレクトに違反するようなことはしてないだろうけど、ちょっと不公平じゃないの、この規約?
◆民法◆の1条2項、3項に違反しない、と自信を持って断言できるの? 他のところがやっているから大丈夫、とか言ってもそれだけでは難しいと思うよ。


違法じゃないとしても、大きい企業なんだから、その評判とかを考えると十分気をつけた方がいいと思うんですけどね。すでに2chでもスレ立ってるし、ヤフー・ジオシティーズ(日本)のサーバに◆こんなの◆あるし。


え? ◆ヤフー・アメリカが1999年に同じようなことをやろうとして◆、結局◆大反対にあって失敗してる◆、って?
・・・日本をなめてるんですか? アハ★ ←満面の笑みで
ていうか同じような運動が起こることを予想してなかったんですか? あなたたちほんとに何考えてたんですか? そういうのを(以下32文字検閲削除)というんですよ(ニッコリ♪)。


これで押し切ったら、結構反感買いますよ。どうなるか知りませんが、キレる人たちも多いんじゃないかな。施行日とされてる10月15日までに撤回した方がいいと思うんですが・・・
ま、ヤフーがそれでいいんならいいんでしょうけど。いつまでポータル・サイトの筆頭でいられるのか、せいぜいがんばってくださいな、ヤフーさん。


あ、今回は◆上げ間違えちゃった◆とかいうのはナシね。


>> BlackAsh Home >> このページのTop

_
BlackAsh 不定期連載〜ファミリーマートで捕まえて Interlude 2001/10/11 02:16
日々の戯言 今回は、秋の雨、店の外での特別編です。
◆第1回〜第5回◆◆第6回◆はこちら
今日の東京は雨でした。夕方ころには雷も鳴って、この中を帰るのが少しイヤになったのですが。
みごと8時に帰途につくことができました。何日、いや何週間ぶりだろう、と、とても新鮮に感じました。


駅から、家へ向かって歩きます。雨は大粒で、風も少し強いけれど。
傘をさして、足取りも、少し軽いかもしれません。いつもはスーツが濡れるのが好きではなくて、わざわざ雨が止むのを待っていたりするんですが、今日は、とにかくこんなに早く帰れるのが嬉しかったのです。
風がこんなに強く吹いて、傘を持っていかれそうになっても、気にならないほど。


「うわぁ」
声があがりました。
前を歩いていた女性の傘が、風に吹き飛ばされてしまいました。淡い水色の傘が、アスファルトの水たまりをコロコロと転がっていきます。
女性は、あわてて傘を追いかけました。あと一歩、というところで、風がまた通り抜け、それは転がって。
おやおや、と笑いかけて、私は思わず、あ、と声を出してしまいました。
雨の中、くるくる回る傘を追いかける彼女に、見憶えがありました。
「・・・あはは」
制服を着ていなくても、セミロングの黒い髪を後ろで二つに束ねた後ろ姿は、見慣れたいつもの彼女でした。ファミリーマートで私を元気よく迎えてくれる、笑顔の似合うあの女の子。今日は、どうやら学校の制服のようでした。
まだ、傘を拾えません。そういえば彼女はおっちょこちょいなところもあったな、と思って、私はまた笑ってしまいました。


ようやっと彼女が追いついたところに、私は歩みよって、傘を差し掛けます。
「あ、ありがとうございます・・・ うわっ!」
お礼を言いかけ、彼女が私に気付きました。
「ひ、ひゃあ・・・ ど、どうもありがとうございますっ」
せっかく取り戻した傘を放り出して、ぴょこんとお辞儀するその姿は、まるでレジの中にいる時のようでした。
そんなに長い間ではなかったのですが、彼女はかなり濡れてしまっていました。
スニーカーに黒の靴下。そして、どこかの学校の、セーラー服。真っ白いスカーフに、長袖、紺色の冬服でした。それが、雨でかなり重そうでした。
「ほら。傘持って」
「は、はいっ!」
「そんなに濡れちゃって・・・ あそこでちょっと拭いてきなよ」
「はいっ」
近くのビルの軒先を指すと、女の子は大きくうなずいて、水色の傘をさそうとします。
「あ・・・」
彼女の悲しそうな声に、私はその傘を見ました。それは、風のせいか、骨がぽっきりと折れてしまっていました。
「うああ・・・」
少し大げさに、彼女はうなだれました。雨に濡れたうなじが、私の目をかすめていきました。一瞬、それが車のライトに照らされて。
「どうしよう・・・」
「あらら。しょうがないな・・・ ほら、行くよ」
傘をちょっと差し出して、彼女を促します。それに、女の子は一瞬とまどいました。ほんとうにわかっていないように、まあるい瞳で私を見詰めます。そのめがねにも、水滴が流れていました。
「ほら、ちゃんと入って」
「ええええっ!」
女の子が、急に後ずさりしたので、それを追って傘をさらに差し出します。雨が、私の首に降りかかりました。
「ちょ、ちょっと。ちゃんと入らなきゃ風邪引いちゃうよ? そういえば、もう風邪は治ったの?」
「う、あ、あの、治りました」
「でも、そんなに日が経ってないでしょ? ほら」
「うああ・・・」
私が彼女の水色の傘を取ると、彼女はようやく私の傘に入ってきました。黒いカバンの取手を、両手でしっかり握りしめて、うつむいて。
私の左側に、ちょこん、と収まった、セーラー服の女の子。息遣いまでも聞こえそうなほど緊張した表情が、車のヘッドライトに照らされて、信じられないほどきれいに映えて、流れていきました。


軒先で、女の子はハンカチを取り出して、服と髪に染み込んだ雨を拭き取ります。私と一回も目を合わせないけれど、降りしきる雨を眺める私を、絶対に、見ています。
その証拠に。
「ねえ」
「は、はいっ」
急に振り向いた私に驚いて、彼女は視線をそらしました。
「これからバイトなの?」
「は、はい。そうです」
「遅いよね。いつもこの時間なの?」
「いえ、あの、今日はちょっと面接で遅れてしまって・・・」
「先生と?」
「は、はい」
「大変だねぇ」
「そ、そんな・・・ あの、いつもいつもお仕事で・・・」
「今日は早く帰れたけどね」
「そ、そうですね」
そのまま黙りこみ、彼女はちょっとかがんで、スカートをハンカチで叩きます。車の水しぶきの音が、妙に大きく響きました。
「あ、あの・・・ 終わりました」
スカートのポケットにハンカチをしまって、女の子は立ち上がります。
まだ、めがねが濡れていました。
「まだじゃない。めがね」
「ひゃああ、じ、自分でできますっ」
私が手を近づけると、驚いてあわててハンカチを取り出す彼女に、何度目か分からないけれど、私は笑ってしまいました。


50メートル先に、ファミリーマートの看板が今日も光っています。
二人は、ひとつの傘に収まって、ゆっくりとそこへ向かいます。その間、女の子は一言も口を開くことなく、ただ私の横でうつむいて、いっしょに歩いていました。
並んで歩くと、私の方が頭ひとつ分は高くて、うつむいている彼女の顔はよく見えません。それでも、きっと彼女の顔はまっかになっている、そんな気がして。
時々、女の子の肩が私の腕に触れて、そのたびに彼女はちょっと身を離しました。そしてまた、触れ合って、また離れて。 ・・・まるで、揺れ動く一輪の花のように。
「・・・ちゃんと、こっちにおいで。濡れちゃうよ」
ほんの少しだけためらって、そして女の子は、まあるい息をひとつ吐くと、かすかにうなずきました。
それからずっと、彼女の肩は、私の腕に触れたままでした。


こんなに寒いのに、彼女の体温が触れ合っているところから伝わってくるような気がして。
私は彼女をふと見下ろしました。
前から来る車のヘッドライトが、また、うつむいている彼女の顔を照らします。
女の子は、もみじがさらさらと秋の風に流れるように、微笑んでいました。コスモスが朝露に触れて花開く時のように、やさしく微笑んでいました。


すぐに、時間は過ぎ去って。
ファミリーマートの店先で、女の子は改めてお辞儀をしました。
「ほんとうに、ありがとうございました」
「いえいえ、どういたしまして」
そこで、思い当たりました。
「ねえ、帰りはどうするの?」
「あ」
小さな口に手を当てて、女の子はちょっとだけ考えます。
そして、すぐさまかぶりを振りました。
「大丈夫です。お店にあると思うから」
「貸してあげようか?」
「い、いえ。そんな・・・ 悪いです」
「悪くないよ。どうせ家すぐ近くだし」
傘を差し出しますが、彼女はそれを受け取りません。
「大丈夫ですってば」
「また、明日にでも返してくれればいいよ」
「で、でも・・・」
私が傘をお店の壁に立てかけると、女の子は、ううう、と困ったように胸の前で右手を握ります。
「ね、明日、返してね?」
その言葉に、思い当たったように彼女の顔が輝きました。
雨なんかはじき飛ばしてしまいそうな、満開の笑顔。
明日・・・ また。
「はい! 明日、必ず返します!」
そして私は、お店の前で手を振る彼女に見送られて、雨の中を家に走っていったのでした。


MailTo:BlackAsh Admin
© 2001-2003, BlackAsh, All rights reserved
Since 01/08/26 Printed in Japan