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BlackAsh | ■ 不定期連載〜ファミリーマートで捕まえて Postlude 1 | 2001/12/30 19:23 |
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冬の清冽な寒さが、ふと天を仰いだ私の首筋からしみてきました。 12月24日。天皇誕生日が日曜日だったので、月曜日だけど振替休日でお休み。私も、何とか仕事をまとめて、この日は、この日だけは、1日空けることができました。 彼女が、待っているから。 セミロングの黒い髪を後ろで二つに束ねてファミマの制服を着た、あの女の子が、寒空の中、手をこすり合わせながら、私のことを待っているから。 待ち合わせは、近所のファミリーマートの横にして。 二人が初めて逢った場所、ファミリーマートの横にして。 始めと終わりは、きっと同じ場所がいいと思ったから。 わかっていたけれど、晴天を確認した私は、視線を元に戻します。見詰める先は、待ち合わせの場所。緑色と青色の看板が光る、ファミリーマートのすぐ横の居酒屋の前。 ほら。いた。 女の子が、こっちを向いて。 無邪気そうに、手を振って。 襟のファーが可愛らしい、真っ白なコート。キャメル色のひざ下までのブーツからのぞく、少し茶色っぽいハイソックス。コートの胸元からは、淡いピンクのセーター。 そして、満面の笑顔。 それが、どんな笑顔なのか、今でも思い出せないけれど。 ただ、精一杯笑っていた。 それだけは、憶えているのです。 「お待たせしました」 「もう、遅いよっ」 唇をとがらせて、女の子の第一声。怒ってる・・・? いや、それはきっと、照れ隠しにちょっとだけつっぱってみただけで。 すぐに、彼女はうつむいて。 「えへへ・・・」 「・・・ん? どうしたの?」 「ううん。何でもない」 口紅も、服に合わせてほんのりピンク色。それが、動きました。 「あ、あの・・・ 今日一日、よろしくおねがいしますっ」 「・・・こ、こちらこそ」 まるでファミマにいる時のような挨拶で。 目を見合わせて、2人は思わず吹き出してしまって。 「ね」 「ん?」 「服、おかしくない?」 イマイチ、とか言ったら服を替えに走るのだろうか、などと思いながら、私は女の子を眺めました。 ほんとうに、思ったのです。 きっと、世界で一番、愛らしい彼女。 「いや、ホントかわいいよ」 「ほんと?」 「ほんと」 「よかったぁ・・・」 女の子は、ちろっ、と舌を出して。聞こえない笑い声を洩らして。 微笑みは深く深く、それ以外の全てを忘れさせて。 まるで魔法のように、私の心を捕まえて。 その時、確かに。 ファミリーマートの前で、私の心は捕まって。 今日、一日。 輝くような時間が、今日一日、これから始まる。 私は左手を差し出しました。 彼女はすぐにその手を右手で握りました。 「さあ、行こっか」 午後2時ころ。 横浜みなとみらいホールへと、2人は歩いていました。 「うわぁ、すごい人だねぇ」 めがねの奥の瞳をまんまるにして、女の子はきょろきょろと周りを見回しました。 確かに、人、人、人。どこからわいてでてくるのか、と感心しきりなほどに、人の波。いや人の海。 「さ、早く行こ? 遅れちゃうよ」 みなとみらいホールで、今日は、ちょっとしたクラシックのコンサートがあるのです。厳粛な雰囲気というものではなく、カジュアルなクリスマスのクラシック。つてをたどってチケットを手に入れることができて、私はほっと一安心したものです。 「あ、待ってよぅ」 女の子が、器用に人ごみをすり抜ける私を追いかけて、そして、私の左手をぎゅっとつかんで。 「やだよ、迷子は」 「ごめんごめん」 手のひらから伝わるぬくもり。 それは、今この時の瞬間だけを意識させる魔法。 「あ、この曲も知ってるよ」 チャイコフスキー「くるみ割人形」の後、ヴィヴァルディの「調和の霊感」第6番がヴァイオリンの物悲しい旋律とともに奏でられると、女の子はにっこりと笑って、隣の私にささやきかけました。とは言っても、薄暗いホールの中、お互いの顔はよく見えないのだけれど。 「バロック時代? だったよね」 「そうだよ」 満足そうにうなずいて、彼女は再び舞台へと視線を戻しました。 きらきらと、まるで虹のようにきらめくその瞳。 プログラムは進んで、バッハの「ヴァイオリン協奏曲」第2番。バッハとは思えない、光に満ち満ちたその調べ。 不意に、彼女の右手が、肘掛に置いた私の左手をさぐって。 動けない私を見ることなく、やがて、私の手の甲の上に、自分の手を重ね合わせて。 まっすぐ、前を向いたまま。 そして、フルートのやわらかい音色が会場の全てを彩る、グルック「精霊の踊り」の曲中に、手をずっと重ね合わせたまま、彼女はつぶやいたのでした。 「・・・ねえ」 「なに?」 「前に、あたしの誕生日の時、オパールの薔薇をくれたよね」 「・・・そうだね」 「意味は、『歓喜と幸福』って・・・ あたしに、もっともっと、喜びと幸せが訪れますように、って、言ってくれたよね」 「・・・そうだね」 彼女は、少しだけ大きく、息を吸い込んで。 やはり、私を見ることなく。 それでも、力強く。 ささやいているはずなのに、力強く。 「きっと、今・・・ その願いは、かなったよ」 コンサートのエンディング、アンコールは、「White Christmas」。それを、ホールのみんなで歌う、ということ。 彼女は、パンフレットにかかれた英語の歌詞を目で追いながら、誰に聴かせるでもなく、歌っていました。 I'm dreaming of a white christmas... 真っ白なコートを腕に抱え、彼女は、うつむきながら、歌っていました。 それは、夢のような時間。 それは、瞬く間に、過ぎ去っていったのでした。 To be continued... |
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BlackAsh | ■ 女子中学生研究記Part6 | 2001/12/30 00:43 |
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何だかとても眠いんだ・・・ パトラッシュ・・・ みなさんご存知、「フランダースの犬」からです。 この20日間ばかり、平均睡眠時間が3時間を切る状態で、必死に駆け抜けてきた私。もういつでも、ネロとパトラッシュのいる世界に旅立つことができます。 え? お前は天国には行けないだろ、って? 参ったなぁ、誰も「天国」なんて言ってないでしょ? 私は、彼らの世界、つまりアニメの中に行けると言ったんですよ。 こう、ネロが絵の選考会に落ち、傷心の彼がパトラッシュと一緒に教会でルーベンスの絵を見てたたずんでいる時、黒いコートを着た私がさっそうと登場します。私はどうにか家賃を払ってあげて、それに感動したネロは、苦しいながらも絵の勉強に勤しんで、ついには「ルーベンスの再来」として画壇を震撼させる作品をひっさげ再度デビュー、受賞会場で喜びのコメントをするのです・・・ それを、私は会場の柱の陰から見詰め、満足そうにうなずいて、そしてコートの裾をなびかせて、会場を後にする・・・ 風が、渦を巻く中を。 そのアニメ、つまり「フランダースの犬 with BlackAsh」を見た女子中学生が感動して、本サイトに自分の感動をセキララに吐露したメールを送ってくるのです。それを私は一度二度と軽く気の利いた返信で微妙に受け流し、痺れを切らしたその女子中学生は、とうとう「あなたに逢いたい・・・!」と、彼女の本当の叫びをメールに洩らして・・・ そして、2人はある日・・・ ああ、実は全然仕事納めじゃないBlackAsh、今日も会社で脳内トリップしながら発信です。 さて、今日は毎月1日ではないんですが。 出版業界には、年末進行という狂乱の宴があるのです。年末年始の休みにより、全ての締め切りがいつもより早くなってしまうという、それはまさに生き地獄、ていうかいっそ殺されたいほどの地獄。 涸れきったはずの血の涙がまだしぼりだされる・・・ そんな状況で、きっと今月号ができあがったに違いありません。 ◆中学生のおしゃれ情報がいっぱい! nicola2月号◆ ・・・や、やはり、年末進行のせいでしょうか。サイトが更新されていません。まだ前回の1月号のまま。ああ、その苦労が忍ばれます。というわけで、今回の研究記は、nicola編集部のみなさまを癒そう! ということで、優しく、愛情を込めて、コメントをつけていきたいと思います。身も心もボロボロな私が、自分のことを考える前にnicola編集部のことを考える・・・ 嗚呼、なんと美しい自己犠牲の精神なんでしょう・・・ッ! そんな余裕があるのかちょっと不安ですが、まあ、いってみましょうか。 先月号で527名へのクリスマス・プレゼントをやってのけた太っ腹なnicola編集部ですが、今月号では見事に何もありません。お年玉プレゼントとか、企画はいくらでもあるはずなのに、やっぱ で、その今月号の特集は、『安くてかわいいハヤリ服がほし〜い』・・・ 何だか毎回毎回安くてかわいいばっかりのような気がするのは気のせい? しかも、渋谷109や原宿竹下通りの安い服を紹介するのはいいけど、スーパーのダイエーからも・・・ ダイエーかよ。ファッション誌にご近所スーパーのダイエーかよ。ジャスコとかマイカルも入ってるよ。ああ 他にも、『冬休みメイク大さくせん』ってやっぱりどこの雑誌でもやってるパッチリデカ目にするためのメイク方法だし、『おしゃれ小物でかわいくへんし〜ん!!』ってやっぱマフラーとか帽子かよ・・・ お? サスペンダーですか。これはいいですね。サスペンダーって、こう、あの、胸のところで微妙に外側にずれているのがたまらないんだよね・・・ しかも女子中学生の育ちきらない青い未熟な果実によって、ほんの少しだけサスペンダーがずれて・・・ ウッ。は、鼻から赤い涙が。 いや、やっぱnicolaさんは世の さて、毎月の恒例、『魔女っ子心理テスト』。このコーナー、実は私も楽しみだったりします。 あ・・・ 何で今月号は見開き2ページしかないの? もっと拡張してよこのコーナー。人気ないのかなぁ。 いつものように、診断結果はこの研究記の最後でーす。 あなたの前の席に、かわいくて頭のE→「アユミ」ちゃんがいます。その子の名字はなに? (選択肢はないよ) 次は、女子中学生のホンネに迫りまくる、『お願い聞いて! 誰にも言えない わたしの悩み』です。 うああこのコーナーも今月号は見開き2ページだ・・・ nicola編集部さん、もしかしてホントにウチを見てますか? ウチにいじられているこれらのコーナーを減らして、ウチの研究記をやめさせようとする無言の圧力ですか? いいやBlackAshは負けませんよ? それはもう絶対に負けませんよ? 女子高生を扱ったサイトならばネット上にいっぱいあるんですけど、ここは女子中学生を愛し続けているんですよ? 女子中学生を愛する気持ちでは他に類を見ないほどのサイトなんですよ? 言わば「女子中学生を愛するサイト」の代表なのですよ? そんな編集方針なんかに負けてたまりますかッ! 気合を入れて紹介だッ!! ちくびの形がかわる ・・・イイ! イイ! とてもイイ! ←天をあおいで目を閉じたその目尻から涙をこぼしながら おにいさんがもう少し教えてあげるよ。ちくびができる時って、もうひとつとても大切な時があってね。それはちくびに刺激、つまり(以下合計行数150行にわたり、BlackAsh役員会議にて2対1の多数決に基づき検閲削除。多数決の横暴だぁ!)。 この相談の続きなんですが、 バストはかるときも、フツーではかると78なのに、ちくびの形がかわると76くらいになります ・・・そ、それはどうかと思う。 こうやっていろいろと相談しているんですが、これに対してNTT東日本関東病院産婦人科の早乙女智子先生が回答しています。NTTっていったい・・・ これは、みんなそうなんです・・・ 興奮したときや緊張したとき、また温度差によっても形が変わります・・・ ちなみに男の子も同じなんだよ ごめんオレちくび立っても2センチもバスト変わらないや。 なぜ、そんなはたらきがあるのかは、赤ちゃんにおっぱいをあげるときに飲みやすくする練習だと思ってください 思ってください、というところに早乙女先生の優しさが感じられます。ホントはちくびに刺激、つまり(以下合計行数278行にわたり、BlackAsh役員会議にて2対1の多数決に基づき検閲削除。む、無念ッ。かくなる上は表現の自由の侵害で裁判所に・・・ッ!)。 で、最後の締めが、 ちなみに、小さい胸って、赤ちゃんにおっぱいをあげるときは有利なことが多いんだよ。お乳がよく出るし、赤ちゃんはちくびがくわえやすいんだ ブラボー早乙女智子先生ッ! ああ、今回もなかなか読み応えがあったなぁ。 と、満足して雑誌を閉じかけた私の足元に、バサッ、と何かが落ちました。 付録のような形で、今月号にはさまっていたもののようです。何だろう・・・ 小学6年生 卒業おめでとう! 特別ふろく(はぁと) 人気ブランドカタログ☆ 卒業式ファッション2002 こッ、これは・・・ッ! 小学校の卒業式に着ていく服の特集ッ! パラッ・・・ うおおッ、トラディショナルな服が満載ッ! 膝丈上バーバリーチェックのスカートにブレザー、薄いピンクのシャツ。グレーのプリーツスカート@もちろん膝丈ちょい上にシルバーのダブルボタンジャケット。黒で統一されたスカート&シングルのジャケットに赤いネクタイ・・・ こ、これを小学校6年生が着る・・・ッ! なんと言うか、もう、 あ、そ、そこ・・・ ツボ・・・! 小学6年生、そろそろ胸が少しずつふくらみかけ、ちょっとした悩みでため息をつく仕草が見ている者をどことなく落ち着かなくさせる清楚な少女が、記念すべき卒業式の日に、今まで着たことのないフォーマルなジャケットとスカートを着て。 そして、私に微笑みかけるのです。 「おにいちゃん・・・ どう? 似合う?」 萌え死にます。 みなさんも是非、今月号を買ってください。こんないい雑誌があるなんて思ってもいませんでした。いや、本気で、この2月号には感動しました。仕事仕事でささくれ立ちまくった私の心が、ゆるやかに今、雪解けを迎えた北の大地のように和んでいきます。 特に付録の17ページ見開き左上写真の右の女の子新井梨絵たん激萌え。 そして、妄想は、その北の大地のように果てしなく広がっていくのでした。 胸にバーバリー・チェックのリボン・タイをつけて。 近づいて見ないとわからないくらいに繊細な、グレーとネイビーのチェックが入ったジャケット。 ”ああ、緊張するよぉ・・・” ゴミはついていないのに、我知らず、スカートのすそを両手で払ってしまって。 そして、ゆっくりと、愛美は振り向いた。 そこには鏡。 彼女の全身が映る。 深いグレーのハイソックス。無骨さを一切感じさせない、玉のようになめらかなその膝を隠すことなく、スカートは少しだけ大人をイメージしていつもよりも短めに。 真っ白なシャツは、今はジャケットに隠れてしまって見えていない。そして、ジャケットを着て隠れてしまったのは、もうひとつ。 堅い芯が未だ残っているけれど、それでも精一杯、彼女の成長を寿ぐかのように日々その膨らみを自ら主張する、彼女の・・・ 愛美の12歳の、胸。 向き直った愛美の薄い紅色に染まったほほが、ぎこちなく、鏡の中の自分に向けて笑い顔を形作って。 言葉を、紡ぎ出す。 「・・・おにいちゃん。どう? 似合ってる?」 次の瞬間、愛美は鏡の前で大きく首を振った。 「ああ、ダメダメッ! こんなんじゃ、きっとまた”まだまだ子供だなぁ、愛美は”とか言われちゃうんだ」 肩までの髪が、愛美の動作に大きく揺れたまま。 「もう、小学校も卒業するんだから・・・ そんなこと言わせないんだからッ」 卒業を前に、まだ早いけれど、お母さんに買ってもらったこのスーツ。スーツって大人が着るものでしょ? これで、ずっと前から大好きなお隣のおにいちゃんを、驚かせてやるんだから。そう、決めてるんだ。 いっつも子供扱いしてるけど、もう、あたしも中学生になるんだから。 もう、おにいちゃんと並んで歩いていても、絶対に「妹さん?」とか言わせないんだから。 そして、愛美はまた、鏡に向かっていろいろな表情を作っていく。 ほんの少しだけ薄目の唇を引き結んで、真剣に前を見つめたり。 にっこりと目を細めて笑って、右手を敬礼の形に掲げてみたり。 手を後ろで組んで、下からのぞき込むように鏡を見つめてみたり。 「うーん。どれもよくないよぅ」 30分くらい鏡の前で百面相。 小首を傾げて、愛美は考え込んでしまう。どうしても、このフォーマルな服に似合う大人っぽい表情がうまくいかない。 まだ12歳。顔にはあどけなさが残る・・・ いや、むしろあどけない顔立ちといった方が早い、まだ12歳の愛美。それが、急に大人っぽくなろうと思っても、無理な話なのだけれど。 「あーあ」 疲れてしまって、愛美はベッドに座り込んだ。そのまま、バフッ、と寝ころんで、天井を見つめる。 「あーあ。おにいちゃんに、早く追いつきたいよぉ・・・」 場面は卒業式。 愛美が、体育館の式場から出てきて真っ先に見つけた人影。 人影は、愛美に向かって軽く手を振っている。 『ふんだ。走ってなんか行ってあげないんだからっ』 愛美は、わざとゆっくりと、おすまし顔で歩いていく。 しびれを切らしたように、人影は手を大きく振った。それでも愛美はゆっくりと、まるで高層ビルのキャリア・ウーマンが、昼下がりに眼下に広がる街の風景を眺めながら紅茶の香りを楽しむ時のような顔で、人影のところへ歩いていく。 『愛美ちゃん・・・ どうしたの?』 ようやくたどり着いた愛美に、人影・・・ おにいちゃんが尋ねる。少し、焦っているように。 『ううん。別に? おにいちゃんこそ、どうしたの?』 『い、いや・・・』 頭をかく彼。その仕草が、何かにとまどっているように見えて。 『ふうん。ま、いいわ。行きましょ?』 そう言って、愛美は彼の手をさりげなく引っ張って。 彼が一瞬だけびっくりしたのを確かめて。 そっと、本当にそっと、振り返って。 彼が、まぶしそうにこちらを見つめているのを認めて。 心底不思議そうに・・・ 『・・・ねえ。どうしたの?』 とどめの台詞。 彼は、きっと答えられずに下を向く。スーツを着て見違えた愛美を、もう、まっすぐ見ることはできないはずだ。 二人の間に、春の風が吹く。それは、新しい二人の門出を、後押しするような優しい風。 ほら。風が吹く・・・ 「愛美ー! ごはんよー!」 はっとして、愛美はベッドから跳ね起きた。 いつの間にか、寝てしまっていたようだ。 「愛美ー!」 「は、はぁい!」 寝ぼけ眼をごしごしとこすりながら、愛美はベッドから降りて。 「ひゃあっ! し、しわになっちゃうっ!」 スーツを着たまま眠ってしまったことに気づいて、あわててスーツを脱ぐ。真っ白なシャツを脱ぐと、下には真っ白なスリップ。そしてその肩からのぞく、真っ白な・・・ あの肩紐。 「ふぅ」 トレーナーを着て、愛美はスーツをハンガーに掛けた。 それに、にっこりと笑いかける。 それは、愛美の、最高の笑顔。 「待っててね、おにいちゃん!」 いい加減会社から帰りたいと思っていたんですが、何か元気が出てきました。 待ってるよ、愛美。 <研究成果> もちろん特別付録続編を期待して買い。これから卒業シーズンだから第2弾を期待して買い。ていうかモデルは全部新井梨絵たん希望。 <心理テスト結果> 質問 あなたの前の席に、かわいくて頭のE→「アユミ」ちゃんがいます。その子の名字はなに? (選択肢はないよ) あなたの将来の名字で→す。 ごめん俺ムコ入りですか。 しかも普通に「浜崎」なんですがこれはあゆあゆとケコーンできるということですか。 質問 あなたは森の奥にある、おばあさんの家に行きました。が、そこにいたのは、おばあさんにばけたオオカミ。そうとは知らずに、あなたは持ってきた果物を、オオカミがばけているおばあさんに手渡しました。さて、その果物は? 1.りんご 2.オレンジ 3.メロン 4.もも 5.バナナ オオカミは男の子を表す。うれた果物は成熟を意味し、同時にセックスを象徴するもの。そして、おばあさんにばけたオオカミに差し出した果物には、あなたのエッチしたい相手が反映されているんだよ。 1=エッチ初体験の彼が理想 2=陽気な彼との明るいエッチを 3=クールでカゲのある彼がいい 4=セクシーで美形の彼に抱かれたい 5=男っぽい彼にリードされたい さらに詳しい解説は雑誌を買ってね。 ていうか俺リンゴ! リンゴ! リンゴだよ! 初めての相手だよ! ほら、ほら! そこの女子中学生! 初めて? 初めて? 初めてだよね? 俺としない? しない? しようよ! さあ! おいで! |
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BlackAsh | ■ 不定期連載〜ファミリーマートで捕まえて 第12回 | 2001/12/24 12:42 |
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やはり、彼女には元気に笑っていて欲しいもの。 そう、思うのです。 笑顔がまぶしい彼女も。 まっかになったほっぺを押さえる彼女も。 ふと目を伏せる彼女も。 泣きじゃくる彼女も。 彼女は彼女。 それでも。 笑顔でいる彼女が一番。 だから、私は、今日これから、彼女と一緒に遊びに行くことにしたのです。 彼女に、心からの笑顔をたたえてほしいから。 彼女に、思い切り笑って欲しいから。 先週の、16日の日曜日。午後3時ころ外に出ると、やっぱり快晴でした。関東の冬に特有の、乾燥した快晴。 そのころ私は仕事が危険な状態で、まったくと言っていいほど余裕がなくて。 栄養ドリンクと煙草、コーヒーのペットボトルをまとめて買って、それで何とか休日出勤を乗り切ろうとして。 何の気なしに、近所のファミリーマートに入ったのでした。 本当に何の気なしに。 セミロングの黒い髪を後ろで二つに束ねてファミマの制服を着た、あの女の子のことを思うことなく。 「いらっしゃいませっ」 私を迎えたのは、とても聞き覚えのある声。 レジを見ると、めがねと制服の襟をを直しながら、あの女の子が。 軽く微笑んで、もう一度、小さくお辞儀をしていました。 ああ、いたんだ。 私は、いつものように、雑誌のコーナーへ。 別に何も読みたい本はないのに、雑誌のコーナーへ。 それは、ここでの習慣になっていたのかもしれませんでした。 それは、あの女の子が、ぱたぱたと、小走りに私の方へ駆けてきていた時からの、習慣だったのかもしれませんでした。 けれども、今は。 彼女が駆けてくることはないのでした。 そっと、けれど何かさみしげに、冬の厳しい寒さの中に珍しく吹いた微風が降り積もった雪の上を流れてくるような。 そんな、歩き方でした。 「お仕事が忙しそうだから、もう来れないと思った」 「・・・そっか」 私は、雑誌の整理に来た彼女を見ることなく、彼女の問いかけに、ただ声だけで返しました。 女の子は、私の隣にしゃがんで、何となく雑誌を並べなおして。 しばらく、無言の空気。 それは、けれども決して穏やかなものではなくて。懐かしく思えるようなものではなくて。 もう、すでに全てが終わってしまった後のような、そんな空気。 彼女が立ち上がり、ラックに立てかけられている雑誌の整理を始めて、そこで私はそっと彼女の横顔を見ました。 手に持った雑誌を手際よく、少しずつずらしながら並べていくその視線は、なぜか雑誌ではなく、ガラスの向こう、人がまばらに通る歩道のコンクリートを、見詰めているように思えました。 まるで、何かを知った後の瞳。 妙に大人びた、冴えた瞳。 「不動産屋さんに訊いたら、やっぱり、高校生の一人暮らしはムリだって」 「・・・」 「親の同意が、要るんだって」 それは、余りにも予想していた答。 「保証人? それになってくれる人がいないと駄目だって」 「・・・そうだね」 「知ってたら、教えてくれればよかったのに・・・ そんな子供みたいなことを言わなくて済んだのにな」 それは、言葉だけを追えば私を責めていたけれど。 彼女があまりにもさらりとそれを口にしたので。そう言った時の彼女の表情は、間違いなく微笑んでいたので。伏せた瞳は決して私を見ることがなかったので。 そんな風には全然聞こえなかったのでした。 「さて、と」 女の子が、一通り整理を終えて、手をパンパンとはたきました。 「これからお仕事?」 「うん」 「そっか・・・ 忙しそうだから、あたしは戻るね」 「・・・」 「これでも、あたしも忙しいのよ。年末だから、コンビニもいろいろ」 初めて、お互いが目を合わせました。 私が口を開くよりも早く、彼女が、笑いました。 「クリスマス、空いてる?」 あまりにも自然過ぎる、その口調。 あまりにもさりげなさ過ぎる、その微笑み。 あまりにも真正面過ぎる、その誘い。 「忙しいかな・・・?」 「・・・わからないなぁ。今の仕事が終わればいいんだけど」 なぜ断らなかったのか。 その時は、彼女の物言いに、表情に、その言葉に、ただ戸惑って。 それだけでした。 「あたし、もう、絶対に行かなくちゃならないから」 いよいよその微笑みは深くなって。 何でそう言いながらあなたは笑えるの? 「もう、あと1年くらいはこっちに戻って来れないとかになっちゃうから」 何でそう言いながら笑えるようになったの? 「あたしに・・・ 思い出、くれないかな・・・?」 何で微笑んでいられるのか。 ちょっと前までは、あなたはすごく動揺して、子供みたいにいろいろなものに押し流されてしまいそうで。 何かあったらすぐにくず折れてしまいそうで。 それでも、ひとつだけ、わかったことがありました。 今、きっと彼女は何があってもただ笑っているんじゃないか、と。 今、きっと彼女は何が起こってもただ笑って受け流すことができるんじゃないか、と。 今、きっと彼女は何が降りかかってきてもただ笑って歩いていけるんじゃないか、と。 それが、彼女のあの笑顔を奪っているんじゃないか、と。 私に元気をくれる。 私に温かさをくれる。 私にいろいろな想いをくれる。 あの、笑顔。 それは、彼女に取り戻されるべきなのではないか。 そう、思うのです。 だから。 私は、これから、彼女に逢いに行ってきます。 何を見るのかは分からないけれど。 私は、彼女に逢いに行ってきます。 きっと、彼女は、この寒い中、手に息を吹きかけながら、私を待っているに違いないから。 |
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BlackAsh | ■ やさしいお姉さんは好きですか? | 2001/12/24 02:21 |
日々の戯言 | 日々癒しを求め続けるBlackAshです・・・ | |
会社で毎日会っている人でも、忙し過ぎると、それを日記に書く気がなくなってしまうもんで。 金曜日も、その日に入ってきて「今日までね」とか言われた仕事が3件。 いや、もう涙も出ません。完全に感覚が麻痺してしまって、ただ必死で書類作成のためキーボードを打っていたんですが。 「はい、コーヒーですよ〜」 あ、事務のお姉さん、お久しぶりです。 「はぁ〜? 毎日顔合わせてるじゃないですか〜」 あ、いや、こっちの話。 ありがとう。そこらへんに置いてくださいな。 「机に置く場所ないんですけど〜?」 あー。忙しくて片付けてないからなぁ。 「別に普通ですよ〜。 忙しくなくても汚いですよ〜?」 さらりと言いますね。 しょうがない。飲ませてください。 「は〜?」 いや、だから飲ませて。 今両手がキーボードでふさがって飲めないから。 「・・・信じられない〜」 あ、飲ませてくれないんですね。 じゃあいいです。そこらへんに置いておいて。 「だから置く場所ないんだってば〜。書類の上に置いちゃだめでしょ〜?」 こぼさなきゃ大丈夫です。 「だめ〜。そう言ってるとこぼすんだから〜」 じゃあ飲ませて。 「む〜」 ううっ。お姉さんはこんな死にそうな・・・ 死に逝く人の最期のお願いも、聞いてくれないんですね・・・ 「何言ってんですか〜。死ぬわけないでしょ〜?」 いいえ。最近切羽詰まってておかしいです。 胸が痛いし。腰は限界をはるかに超えたし。ピクミンのテーマソングを聴いて泣きそうになったし・・・ 正直、追い詰められてますよね? 「ピクミンはやばいですね〜」 それなのに、それなのに・・・ お姉さんは冷たいです。 「分かりましたよ〜。飲ませてあげますから、がんばってくださいね〜」 ・・・え? ま、まじ? 「いらないんですか〜?」 い、いや、要ります。要りますって! ま、まさかホントに飲ませてくれるとは思わなくって。 「やさしいでしょ〜?」 うんうん。やさしいです。感動です。 ああ、お姉さんが微笑んでます。 ほわほわ〜ん。聖母の微笑みのようですよ・・・ 「はい、あ〜んして〜」 ああ、コーヒーカップが近づいてきます・・・ はぁい・・・ って、「あ〜ん」って何かおかしくありません? 「だって、あ〜んしなくちゃこぼれちゃいますよ〜?」 ・・・あの、まさか一気に流し込もうとか思ってません? 「ありゃりゃ〜。ばれちゃいましたね〜」 えーとそのコーヒーむっちゃ湯気立ってるんですが? 「目が覚めますよ〜」 いや、確かに目は覚めますよ。別の意味で。 「あはは〜。で、置き場所ないですか〜?」 ないですね・・・ すいません。 「んじゃああたしが飲んじゃいます〜」 あ・・・ あ、あ、あ。 「・・・ぷはぁ〜」 の、飲んじゃった。 「上質を知る人のための、ゴールドブレンド〜」 何を小指立ててるんですか。しかもせりふが微妙に違うような気がするんですが? ていうかお姉さん、コーヒー飲んだ後に「ぷはぁ」って。 ていうかコーヒーを一気って。 熱くなかったですか? 「熱いのには強いんです〜」 そんなに誇らしげに言われても。 「チーズフォンデュを鍋から取ってそのまま一口ですよ〜」 単に口の中の神経が鈍いだけでは? 「やけどもしませんよ〜」 じゃあ口の中の皮が厚いんですね。 「いいでしょ〜」 ・・・微妙ですね。 ま、顔じゃなくてよかった、ということで。 「あ〜! 失礼です〜」 いやそうじゃないって言ってるんですよ。 「女の子に、面の皮が厚いって絶対言っちゃいけないって知ってます〜?」 へ? いや言っちゃいけないのは一般的では? 女の子にだけ言っちゃいけないの? 「そうです〜」 へぇ。何で? 「化粧が濃いってことだから〜」 ・・・それはムリ目な解釈では。 「あたしは違いますからね〜」 いや聞いてないって。 「ナチュラルメイクですよ〜」 塗るだけで1時間かかるナチュラルメイクですか? 「・・・どうしても敵に回したいんですか〜?」 いや、ちょっと軽口を叩くのが久しぶりだったもんで。調子が狂ってるだけです。許して。 「む〜、許せませんね〜。あたしは早いですよ〜?」 そ、そうですか。 「塗るだけなら10分でいけますよ〜」 うわ短いッ。それは真のナチュラルメイクでは。 ていうか、だからさっきからあまり自慢にならないようなことを誇らしげに・・・ 「でも大変なんですよ〜。顔洗ったら、化粧水とか乳液とかいろいろつけて〜、いろいろ塗って〜、ブローとかもして〜。合計だと30分以上はかかりますよ〜」 はぁ・・・ そうなんですか。 「そうなんですよ〜。でも、やっぱビシッとしなくちゃ〜」 でも雰囲気はほわほわですよね、お姉さんは。 「ピシッとしてるんです〜」 その声で言われても・・・ 「む〜、ばかにするんですか〜?」 え、いやいや違いますって。 ただほわほわした声だな、ということで・・・ 「まあいいです〜。そのくらいしゃべれれば大丈夫でしょ〜」 え? 「まだまだ元気そうじゃないですか〜。何だかかなりヘコんでるって聞いたから〜」 ・・・ええ? ビロリーン 「あ、何かメール来たみたい〜。んじゃ、がんばってくださいね〜」 あ、お姉さん・・・ もしかして、元気づけに来てくれたんですか・・・? お姉さんのおかげで、な、何とか乗り切れそうな気がします。 ミスしまくったし、怒られてかなりヘコんだし、相変わらず頭はぐちゃぐちゃでどうにもならない状態だけど。 ありがとう、お姉さん。 もうちょっとだけ、がんばってみます。ピクミンの歌みたいに。 でも、でも、このサイトは見つけないでね。 見つかった時のことを考えると・・・ うわぁ怖っ・・・ |
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