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BlackAsh | ■ tmashの誕生日 第3部 「形のない贈り物」 | 2001/12/19 04:13 |
日々の戯言 | 全3部作の3つめです。最後です。 順番に読まなくてもわかる文章になってます。 つうか書いた日が違うんで文体変わってます。(笑) 1つ目はこちら、2つ目はこちらへどうぞ。 日記中の今日は12月15日とお読み変え下さい。 | |
そもそも誕生日なんて他人にとっては只の日常に代わりが無いんですよ。 もっと言えば、自分にだって何か特別な何かがあるわけじゃないと思いません? だって誕生日が来たから「はい、今日から貴方は年齢が一歳あがりました。」っていわれても昨日までの自分と明日からの自分の本質は何か変わったりします? 例えば20歳になって成人という分類にくくられるようになったら、酒や煙草が解禁になるということは確かにあると思いますが、それってただ人間が作ったルールでしょ? 20歳未満の人が酒を飲んだり、煙草を吸ったりしたら死んじゃうの? 長い目で見たら成長ホルモンに悪いとか脳内細胞の衰えが早まったり、細胞に活性酸素がたまりやすくなるということはあるかと思うけど、それって誕生日を境にして前後の日で体内の仕組みが大きく変容するわけじゃないじゃないですか。よしんば、人間の作ったルールを考慮に入れたとしても、「25歳になった〜、わ〜い。これで衆議院に立候補できる〜。」とか喜ぶ人います? いるかもしれんけどね。 ま、ともかく誕生日自体には大した意味は無いと思うんですよ。人間が幸せになりたいから何らかの理由をつけて日常と違う気持ちになるための道具でしかないんですよ。 ・・・でもですね、まぁ、たまにはこの自分だけの特別な日として礼賛しておけばいいこともあるんです。自分が何かをする、もしくは他人が自分に対して何かしてくれる「きっかけ」にはなるんです。そんなことが解った誕生日の次の日でした。 都内某所午後5時ごろ。今日の昼あたりにこれまた大学時代からの女友達のさらちゃんから電話がありました。ま、用件は「誕生日おめでと〜」という内容と、「プレゼントがあるから今日遊ばない?」ということでした。 そうそう、こういったイベントが発生してくれるんですよね、誕生日は。まぁ、こういうイベントが起こすためには、「帰りが遅い理由を聞いてあげたり」、「河原で大喧嘩したり」、「傷の手当てをしたり」、「一緒に縁日にいったり」(どのゲームかわかった人は凄い!ヒントは喫茶店『バローネ』)という地道なフラグ立てが必要なんですけどね。 適当に食事して、遊んでたんですが一向にプレゼントをくれる気配がないんです。別に手荷物以外持ってる気配ないし。電話でプレゼントくれると確実に言ってたからくれるのはくれるんだろうけど。 そんな「?」という感情を持ちつつ彼女のショッピングに付き合うことに。私は基本的に買い物大好きだし洋服大好きなんで女の子のショッピングに付き合うの好きだったりするんです。あ、当然ここでは奢りませんよ。そこまでお人よしじゃないです。(笑) しかし、向かう場所が今回は普段と違ってました。Women'sフロアを過ぎ、Men'sフロアを過ぎ、ついた場所はスポーツ用品フロア。それもバレエ用品で有名な「Chacott」のブース。そういや、さらちゃんはバレエを習ってるんだっけ? 普段バレエ用品売り場なんて入れない私はかなり水を得た魚状態。つうか、すげぇよ。レオタードってこんな種類あるんだ。それなりにでかいこの売り場には普通の洋服売り場と同じようにレオタードが陳列されています。適当に2〜3着手に取ってみるとそれぞれデザインが違うのね。かわいいフリルがついているのやら、綺麗に刺繍が入ってるモノやら、男的にはかなりきわどいものやらもう沢山。私個人としてはこれを着る中身の方が興味があるし、衣服は衣服として純粋に好きなんでやましいことは無いんですけど、これで女性連れじゃなかったら只の怪しい変質者だなぁと思ってるときに、さらちゃんが私を呼びました。 靴? そこはバレエ用品の中にあるダンスシューズ売り場でした。さらちゃんはそこでダンスシューズを買ってくれたんです。さらには、男物のダンスウェアを。 は? は? は? なに? これは私にバレエをやれということ? ちょっと待ってよ。バレエなんてこんな人やこんな人がやるもんでしょ?私はできないって。つうか見てるほうが耐えないだろ。 彼女いわく、これからが本当のプレゼントだそうで。 その正体は・・・。 「Funky Jazz」!! 「tmashのFunky Jazz体験記」 都内某所カルチャーセンター。 目の前には約10人強の生徒さんが先生が来るのを待ってます。 ええ、当然ダンスウェアを身にまとい、少林寺拳法で習った柔軟を入念にこなしている私がいますが、何か? 気分は既にステージダンサーですよ? アイドルですよ? 少年マガジン連載の「DRAGON VOICE」のBEATMEN天海 凛ですよ? S-FIELDの妨害にも負けず東京ドーム目指しちゃいますよ? 「Road to Doam!」ですよ? ていうか、何で女性だけしかいないんだYO! ここは女子高なのかYO! 中学、高校と男子校に通っていた私としてはこういった体験は初めて。ううう、目のやり場にこまるYO! さらちゃんからは普段通りにしていれば別に大して気にしないそうだけど、それでもちょっと赤くなってる気がするYO! 先生がきた瞬間、それまで個人練習に励んでいた皆さんがきちっと整列しました。 凛とした空気。既にアップを終えた練習生の上気したかすかな息遣い。ほのかに香る女性の汗の香り。だから絶対赤くなってるって私!! 先生から聞かれたので、体験レッスンを受ける旨とダンス経験全くなしということを伝え今日のレッスン開始です。Funky Jazzだけあってテンポのいい曲が大ボリュームで教室を覆います。 先生「まずは柔軟から!」 先生「両手を前について体を前に倒す!」 つまりは立位体前屈です。何故に皆さん、両手べったり状態?? 私、ぎりぎり手の先が床につく状態なんですけど。 先生「はい、両手を前にテンポ良く〜・・・」 先生「足はフレックスで。膝はまげないでね!」 先生「足をポイントに戻して。膝はまげちゃだめよ!」 先生「次は、ターンアウト。出来ない人は無理しちゃ駄目よ!」 先生「はい、ゆっくりロールアップ!背骨の骨を一つ一つ立てていくように!」 先生、何いってるかよくわからないんですけど・・・。(笑) とりあえず、まわりの生徒さんたちを見ながら同じようにやってみてますが・・・。 先生「はい、tmashさん。無理だったら足そんなに上げなくていいから、膝曲げちゃ駄目ですよ!」 先生「tmashさん。足の向き逆よ!つま先が外に向くように」 先生「tmashさん。膝と腰は床につけて!」 ひ〜ん。だから無理なんだってば〜。(泣) 数年間、運動なんてしてなかったんだから両足開くのもここまでしか出来ないんだよ〜。 こんな感じで延々と柔軟は続きました。 音楽に合わせて体を動かしているんで、そんなに退屈はしないだけど、これいつまで続くんだよ〜。 疲れたよ〜。 休みたいよ〜。 煙草吸いたいよ〜。 ・・・ 結局、柔軟が終わったのは約45分後。うが〜、もう駄目だ〜。柔軟だけで何故こんなに汗をかかなきゃいけないんだ〜!! と、周りを見渡すと練習生の方も結構汗かいてるよ。だって背中のシャツからブラが透けて・・・。 う〜ん、もうちょっと頑張ろう。(笑) さてさて、次はダンスシューズ(ホントはジャズシューズ)をはいて実際のダンスの始まりです。 まずは、先生がお手本。 右手をまっすぐ上げて、体を半身にして上げた右手を左下に下げる。右足一歩踏み出しつつ左手をまっすぐ上に上げて、左足をけって右にステップを踏みつつ半身になり上げた左手を右下に下げる。 はいはい、ここまではそんな難しくないですね。 楽にクリア。 次に、両手を前から手のひらが内側をとおるようにまわしながら上に、上げたてを逆戻りして下げ、右手を横にだし、半身になりつつ右手を下げ変わりに左手を右にのばしつつ顔も左へ。 ここも、何とかクリア。 正身に戻り、右足を一歩前に出して手は右手を伸ばし左手は何かを抱えるように軽く曲げつつ前にだす。左膝を軽く曲げ片足立ちになりくるりとターン。ターン後、一瞬左足をつけ、同時に右足をその場で踏み込むと体を右前に向かせ、同時に左足を右に持ってきつつ膝を曲げモモ上げする。その時手は体の前に向かい合わせにして、軽く握り腹の前まで下げる。左足を下げると同時に右足をあげ、同時に手を胸まで戻す。モモ上げ運動からのセットをもう一回。左斜め前を向いて足を逆にしてもう一回。 うが〜、わかんなくなってきたぞ!! 左足を肩幅ぐらいの位置に下ろし、右足からボックス。ボックスが終わったら足をクロス、戻す、クロスすると同時にターン。戻ったら右足を左前にバットマンし、そのまま左前におろし、左足でワンステップ。 早いって。早すぎ!! 覚えられません!! なしてみんな一発で覚えられるんだこんなの? となりにいるさらちゃんも完璧にこなしているよう。 私はもしかして、運動オンチ? それぞれ、何回か繰り返し、何とか形になってきたところで音楽付き。 ていうか、音楽めっちゃ早くない???? さっき言葉で書いたダンスは15秒もかからず踊りきっちゃうんだけど・・・。 こんな早くは無理だって!! もう、踊ってるんだか適当に地団駄ふんでいるのかわからない状態へ。 というわけで、自分の踊りは適当に上手い人を見てみることに。 つうか、やっぱ上手い人は上手いよね。ダンス部分も当然だけどそれ以外の部分も大きく素人とは違う。アップテンポの時や、ちょっとゆっくり目の所での表情や間の持ち方がホント上手いんだって。シングルターンしかしてなくても腕の高さをきちっとそろえることにより凄い早いターンに見えるし、ゆったりした部分ではホント創作ダンスなみにその場の風景が見えるような気がするんだよね。 踊ってるうちにかなりダンスが楽しくなってきてしまいました。突っ込み場所を探すような余裕は元から無かったんだけど、斜に構えるような態度じゃなくて、本当にダンスを習いたくなってきちゃったよ。 いや、いいよ。まじで。ダンス最高! こんな世界を教えてくれたさらちゃんも最高! しかし、翌朝日曜日。 つうか僧帽筋、広背筋、大殿筋、中殿筋、小殿筋、大腿方形筋、前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋、大胸筋、小胸筋、腹直筋、外腹斜筋、大腰筋、小腰筋、三角筋、上腕二頭筋、上腕筋、上腕三頭筋、大腿四頭筋(大腿直筋,内側広筋,中間広筋,外側広筋)、大内転筋、大腿二頭筋、下腿三頭筋(腓腹筋,ひらめ筋)、が痛い!!(嘘、かなり適当) 要するに全身の筋肉が痛いんだYO!! 数年間、運動をしていなかったからしょうがないけど、ここまでの筋肉痛は初めてだYO! あぁ、マッサージチェア最高! という感じで、僕の誕生日は過ぎ去っていきました。 ホント、今年は何かいつもと違う誕生日をむかえることが出来ました。 昔からの友人たち。BlackAshの共同管理人のBlackとMIST。そして掲示板で祝辞をしてくださった皆さん。 ホント、ありがとうございました。 明日からは通常のテキストに戻りますので、これからもBlackAshをよろしくお願いしますね。 |
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BlackAsh | ■ tmashの誕生日 第2部 「初めてのプレゼント」 | 2001/12/18 03:35 |
日々の戯言 | 全3部作の2つめです。 順番に読まないと良くわからない文章になってます。 1つ目はこちらへどうぞ。 日記中の今日は12月14日とお読み変え下さい。 次回は明日の夜までには上げたいかと・・・。 | |
大家さんとは実は一回も会ったことが無かったりします。 賃貸契約の時は、不動産屋さんとの交渉で全て済んでしまったし。 入居直後のトラブルは、管理会社の人との電話で済んでしまったし。 お中元やお歳暮を届けに行ってもいつも留守だったし。 そんな感じですから、今回のこの張り紙にはホントびびりました。 何で家賃で張り紙か? 私はそれなりにちゃんと毎月家賃払ってるってば。たまたま今回は振り込んでいなかっただけで。それだけで怒られちゃうのか? ・・・いや。それだけではあるまい。これは他に事情があるに違いない。マンションにもかかわらず部屋にサンドバッグが置いてある状況に気付いたのか。毎夜毎夜「フンッ! フンッ!」とサンドバッグ相手に連続コンボを叩き込んでいるのがとうとうばれたのか。「まっくのうちっ! まっくのうちっ!」とか(心の中で)観客の歓声に背を押されて、デンプシーロールで左右のフックを連撃しているのが露呈したのか・・・ やばいな。 隣人からは「きっついおばちゃん」と聞いていましたが、きちんと家賃は振り込んだし適当に ピンポ〜ン 9階に着き、大家さんのチャイムを鳴らします。 『あ、家賃の件はホントすみませんです。先ほどきちんと振り込みましたので、後ほどご確認ください』 大家さんが出てくるまで、演劇の練習中の役者がセリフを必死で覚えようとしているかの如く、頭の中で同じセリフがくるくる回っていました。 「はい?」 思ったより人の良さげなおばちゃんが出てきました。 「あ、tmashです。下の張り紙を見たんですが・・・。」 さっきのセリフを言い出そうとした瞬間、おばちゃんの豪快な声が僕の声を打ち消しました。 「あ〜、tmashさん。今日誕生日なんだってね。 おめでとうだね。 それでね、来てもらった理由なんだけどね・・・」 ?? 不意をつかれました。デンプシーロールの構えが肩透かしを食いました。 何故に私の誕生日を貴方が知ってるの? ていうか何故に私の誕生日を今日初めて祝ってくれたのがあなたなの? 二つの意味で困惑していた私に、おばちゃんは張り紙の用件を教えてくれました。 「・・・なんかね、おっきい荷物があんたんところにきててね。 持ってきたお兄ちゃんがあずかってくれっていうのよね。 でね、すぐに取りに来て欲しかったのよね。ダンボールもね、何だか持ってってくれるっていうからたのんじゃったのね。」 そう言っておばちゃんの背後にある黒い物体を指差しました。 でかッ! でかいよ、かなりでかいよ。ふつうの小包じゃないよ。例えて言うならば、東京ドーム・・・ ゴメン東京ドームはムリ。気を取り直して例えて言うならば、25メートルプール・・・ ゴメンそれも最初の飛び込みで十分飛び越せる。 ま、とにかく普通の小包ではなかったです、はい。 ていうか何故にダンボールを持っていったかお兄ちゃん? 運送屋さんだよな? ダンボールが不足しているのか? それならばどこかのスーパーに行けば結構譲ってくれるぞ? むしろ都心の夜ダンボールをリヤカーに摘んで引っ張っているおじさんに頼めば何とかなると思うぞ? 「そんでね。この手紙を見て、あんたが誕生日だってわかったのよね。それで、おばちゃんケーキ買ってきてあげたのよね。よかったら食べてね。」 初プレゼントもおばちゃんかよッ? 何て言うか、すげぇ微妙。誕生日を祝ってもらったのは嬉しいんだけど、何となく微妙。心情的には嬉しいんだけど、「いや・・・ でもちょっといらないかも」という感じに微妙。いつもコーヒーはブラックしか飲まないのに、お世話になってる事務のお姉さんが「ごめんね〜。これしかなかったの〜」と買ってきた「微糖」のコーヒー並に微妙。クラスでいつも影が薄い女の子がおずおずと近寄ってきて、「あ、あの・・・ これ・・・ あの、誕生日・・・ おめでと・・・ う」と差し出された編み目がスカスカでとても着けられない赤一色の手編みのマフラー並に微妙。 しかも、ケーキは何だか知りませんがマロンケーキ。 ごめん私マロン系はダメなんだけど・・・ あのむっちょりとした濃ゆい味わいがどうも・・・ ロッテリアのマロンシェーキは、実はきつかったんだってば。 いやいや、そんなことを言ってはいけません。ありがたやありがたや。いつもはうるさいほどに電話をかけてきて「サイトどうなってる?」とか「ニュースちょっと上げて」とか言ってくるBlackから初めてのバースデーメッセージをもらうよりはいい。100倍いい。むしろ掛けてこなくていい。会議中にかけてきて何度私は慌てたことか。 (←悪かったな Black) そんなこんなで、ケーキと手紙と荷物を貰ってようやく自分の部屋に戻ってまいりました。 しかし、 でかいぞ。 黒いぞ。 コンセントがついてるぞ。 リモコン(有線)がついてるぞ。 皆さん、これ、何だかわかります? 答えはこれ。 そう、マッサージチェアです。 しかも、これだけじゃない。これ付きです。 このマッサージチェアとフットローラーで全身ばっちり癒されることでしょう。 むしろ今からうちでマッサージ屋が開けそうです。30分1500円です。女性限定です。年齢も限定です。さらには美人限定です。特別サービスで手揉みもつけちゃいます。ええ、優しく滑らかにプロ真っ青の手つきでマッサージしますよ?この世とは思えない癒しを届けちゃいますよ? しかし嬉しいですね。 かなり嬉しいですね。 ホント嬉しいですね。 マジで嬉しいですね。 箱根の山奥までバイクでツーリング。ちょっとお腹もすいた午後1時過ぎに適当にご飯も出してくれる温泉にぶらりとよって。軽くそばをすすった後に、ゆっくり温泉につかって。体も芯からあったまり、そこでおもむろに置いてあるマッサージチェアに座って。100円玉を投下。 この至福の瞬間が家で、いつでも味わえるようになるなんて夢のようです・・・ マッサージチェアでもまれる時が「至福」とは随分安い幸せだな、という突っ込みは聞かなかったことにします。100円の至福って、私の人生いったい何? と考えるのもやめにします。 この年末ジャンボで3億円当たってそれを頭金にちょっとした田舎に土地を買って2階建ての一軒家を建て、アイロンでYシャツを焦がしちゃったり煮物をしている時に吹きこぼれて「きゃあっ!」とか叫んで鍋を持った拍子にそれをひっくり返してしまって「・・・ごめん。今日のおかず、なくなっちゃった・・・」とちょっとおっちょこちょいで抜けているけどポニーテールにまとめた髪がとてもかわいい奥さんと一緒に、柴犬を2匹飼って、子供が庭でその犬たちと無邪気にはしゃいでいるのを縁側から奥さんと2人で目を細めつつ眺める、といったことよりもこのマッサージチェアにもまれる時が私にとって至 ごめんうそやっぱりかわいい奥さんと一軒家と柴犬と幸せな家庭が欲しいですはい。 ま、奥さんもいないことだし、とりあえず座って動かしてみましょう。 ええと、モードは上半身、肩、腰の3種類ね。じゃ、良くわからんからまずは上半身。 ぐい〜ん。ぐい〜ん。 ぐっ、ぐっ、ぐっ、ぐっ。 ぐい〜〜〜〜〜ん。ぐい〜〜〜〜〜ん。 ・・・こんな感じで15分経過。 ふぅ。気持ちいい〜。 いや、いいですよ、これ。 中学時代に柔道部で整体を若干習った私としては100%の揉み心地とはいえませんが、毎日これをタダで体験できるなんて至福です。100円分至福度が増します。電気代は考えないことにします。 でも、ちょっと強さが足りないんだよなぁ。リモコンを見る限り強さ調節はない模様。まぁ、本格的な20万円近くするマッサージチェアじゃないしね。 一応説明書を読むと、強い刺激が欲しい場合はリクライニングを倒して寝るといいらしい。 というわけで、リクライニングを限界まで倒して再度チャレンジ。 今度は「腰」ね。 ぐい〜〜〜〜〜〜ん。ぐい〜〜〜〜〜〜ん。 ぐごごごご〜〜〜〜〜。 いてっ、マジ痛い!! なんじゃ、この拷問みたいな痛さは! まるでバッファローマンのハリケーン・ミキサーを腰にくらった感じです。 うおお腰が痛てぇ。強過ぎた。幸せも度が過ぎるといけないんだな。やっぱ人間ほどほどの幸せが一番なんだな。(←山下清風に) はぁ。背中はもう十分だ。もまれ疲れた。 背筋をほぐしたら、次は腹筋も。筋肉を鍛える時も、背筋と腹筋は等しく鍛えなければなりません。これ基本。というわけで、腹筋ももみほぐしてもらいましょう。 背もたれを半分ぐらい戻して。 マッサージチェアの背もたれを抱きしめるような感じで、腹筋を背もたれのロールに密着させ・・・ スイッチ・オン! ぐうっ、ぐうっ、ぐうっ、ぐうっ。 ぐっ、ぐっ、ぐっ、ぐっ。 うひゃあッ! ひゃひゃひゃうはあっ! そ、それやばいっていやまじでぐお・・・っ! く、くすぐったいッ!! い、いかん腹筋はもう十分に幸せだったようだ。 普通に肩をもみほぐそう。 う〜ん。気持ちいい。 見事だね。 大学時代からの友人のすももさん、ホントありがとう。今回のプレゼントはボーナスをはたいて買ってくれたそうです。○年間もずっと貢いできた甲斐がありました。(笑) 全ての女友達があなたみたいだったら私もホント救われるんですが。また今度食事に行きましょうね。 さてさて、抱き枕を持ってきて、布団を被って準備万端! みなさん、おやすみなさ〜い。 ・・・という風にtmashの誕生日当日は過ぎ去っていきました。 でも、誕生日は過ぎても私の誕生日イベントはまだ終わらなかったのです。 そして、終わったときには僕はこのマッサージチェアに感謝することになるのです。 To Be Continued... |
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BlackAsh | ■ tmashの誕生日 第1部 「今日は私の誕生日」 | 2001/12/17 22:46 |
日々の戯言 | 全3部作です。 次は今日の深夜にUP予定です。(遅くとも明日の朝) 日記中の「今日」は12月14日と読み替えてくださいね。 | |
その日はいつもと同じように始まりました。 昨日の雨はやみ、冬の日差しは私達を暖かく抱くように優しく降り注いでいます。 澄んだ朝の空気を楽しむような鳥の声で目覚めてしまった私は、自嘲ぎみに一息もらして、布団を抜け出しました。 そう、今日は私の誕生日。 何もないと解っていても、同じ日常が待っていると知っていようと、私にとっては一年に一回の特別な日。 自意識過剰といわれようと、日々の動きさえ何かを期待してしまいます。 例えば、今、ふとテレビをつけたらやっていたこの誕生日の朝の星座占いで、射手座が一番であるということや。 例えば、今、プレステ2をつけてドラクエ4をやったら、あれだけ苦しんだデスピサロが、こごえる吹雪を連続で吐いてくることなく、何だかとっても運がいいなと思っているうちに、あららびっくり倒してしまった万歳、ということや。 例えば、今、ベランダに出て大きく伸びをして、出かけたあくびをかみ殺したその瞬間、隣のベランダでお花に水をやっていた、ひよこのエプロンを掛けたお姉さんがまじまじとこちらを見ていて、目があった瞬間、くすっ、と微笑んで「うふふっ・・・ おはようございます」と口元に手をやりつつお辞儀をしてくれるということや。 なんてことあるわけないじゃん!! 他人にとっては忙しい人生の中の1日にしか過ぎないんだって! ゲストブックをくまなく見ている人はご存知かもしれませんが、誕生日を迎えたのは誰もいない会社の机の前。ええ、朝4時まで仕事してましたよ! 日付が変わった時には、一人寂しくコンビニで買ってきた「シューケーキ」を食べて、「Happy Birthday tmash〜」と歌ってましたよ! 美空ひばりばり(うわ言いにくいッ)のビブラートを効かせてね! まぁ、そんなもんですよね。実家に暮らしていた頃は、さりげなく母親がプレゼントを枕元に用意してくれていたり、朝起きると僕の好きな雑炊を作ってくれていたりしたもんですが、2年前ぐらいからずっと一人暮らしの生活。さりげなくプレゼントが枕元に用意されていたり、朝起きると雑炊が作ってあったりしたらそりゃ、泥棒ですよ。強盗殺人ですよ。今日本を席捲してるピッキング集団の一味ですよ。昨今の犯罪の欧米化、世界標準化を甘く見ちゃいけません。「犯罪検挙率世界一の日本警察」なんて今は昔の今昔物語状態なのは当然のこと。1996年には40.6%の検挙率も現在では、認知件数244万3000件に対して56万7000件の23.6%!!犯罪者の質も変わってきて、昔のように「誰もいない隙に侵入し、闇雲に金品を探す」という空き巣から、「帰ってくるまでまって、直に脅し金目のものを出させる」という強盗に変わってきてるんですよ! 女の人なら、レイプ強盗も当然! もし、子供がいた場合には、その子供を人質に、銀行まで金を引き出させた瞬間に金を奪って逃走。人質を見ている犯人も連絡を受けて逃走などという姑息だが確実な手口まで出てくる始末!! 防犯対策の第一歩は鍵の付け替えから。日本に一番流通しているシリンダー錠から世界最高峰の安全性を誇るキーレックスに変えるべし!! ・・・なんてことを考えつつ、のそのそと布団を這いずり出たのはお昼近くの11時。 しかし、朝寝坊は気持ちいいですね。今日はお休みなんですよ。お休みしたかったから昨日の夜は頑張って働いたんですよ。昨日の帰り際、朝4時頃にこれ見よがしにメール送りましたよ。「今週のタスクは全部終わらせました。明日は僕の誕生日なのでお休みさせてもらいます。」って。 というわけで、無断欠勤に近い形でお休みを貰ったんですが、別に遊びたいから、とかゆっくり過ごしたい、とかの理由じゃないのです。 今日のタスク ・ 健康診断 ・ 住民票を移す ・ 免許更新(有効期限今日まで) ・ 暇があったら美容院に行きたいなぁ ・ さらに暇があったら自分で自分にプレゼント☆ そう、今日は私の誕生日。 何もないと解っていても、同じ日常が待っていると知っていようと、私にとっては一年に一回の特別な日。 自意識過剰といわれようと、日々の動きさえ何かを期待してしまいます。 いい事なんかどうせねえよ!! まずは健康診断。 ここではさしてご報告することはなし。身長測って、体重測って、血を抜いて、視力と聴力そして踏み台昇降運動をやって・・・、てな感じ。いや昇降運動はしませんが。 ちょっとびびったのが、この時点で視力が0.7。免許更新に必要な視力も0.7。う〜ん。大丈夫だろうか・・・。 次は、区役所へ行って住民票を移さなければなりません。 ここで大ハプニング!! 住民票を移動する時は、引越し元で転出届を出さなきゃいけないということを不肖tmash、全く知りませんでした。実家の区役所までバイクで1時間。往復2時間。手続き30分とすると、絶対確実に免許更新の受付時間に間に合わない!!! 普段、安全運転を心がけていますが、今日免許更新をしないと次にお休みを貰ったときまでバイクに乗れないどころか、免許失効して久しいBlackと同じになっちまう!! (←悪かったなッ! Black談) 100歩譲ってバイクに乗れなくても支障がないかもだけど、Blackと同じになるのだけは勘弁! いつもからかってる私の立場がなくなってしまう。(笑) というわけで、捕まれば免停確定の制限速度+30kmオーバーやら、すり抜け、信号無視、ウイリー、一方通行を逆走、バイク自体が逆走、果ては歩道侵入、家宅侵入を駆使しつつ、どうにか間に合わせました。 そこで思った一言。 「この緊張感。病み付き☆ リアルクレイジータクシーはもう興奮の嵐だぜ!! ていうか、皆も一緒に風になろうぜ・・・!」(Gackt風のウインク) 免許更新では、目薬&つぼ押し&眼球運動そして先ほどのGackt風のウインクを駆使したおかげで何とか視力検査をパス。もう遅いので一回家に帰ることに。そんなこんなで夕方5時ぐらいに家に帰ってきたわけです。 何故に今日はこんなに忙しいんだろ? そう、今日は私の誕生日。 何もないと解っていても、同じ日常が待っていると知っていようと、私にとっては一年に一回の特別な日。 自意識過剰といわれようと、日々の動きさえ何かを期待してしまいます。 だから、何もないんだって、ホントに! 昼間中、一切電話はならず。「誕生日おめでとう!」の一言さえないんですよ? まぁ、今はまだ仕事時間中だしね。とりあえず、やっとゆっくり出来る・・・。 もう、だれも祝ってくれなくていいから、安らぎの時間を求めて、マンションのエレベーターにのりました。 ん? 自分の部屋の扉に張り紙がしてありました。 「tmashさん。戻られたら9階まで来てください。大家」 うわ〜! 今月分の家賃振り込むの忘れてた〜!! まじかよ! なんで? なんで、誕生日なのにこう皆私をいじめるの? 何でもっと前に教えてくれないの? 何で誕生日の今日、ピンポイントでこんな張り紙するの? 別に明日でもいいじゃん。明後日でもいいじゃん。家賃滞納で逃げたりしないよ。ちゃんと払うよ、払うからせめて何もないという安息の時間を私にくれよ!! というわけで、結局家に戻る間も無く、銀行に行って家賃を振り込んで、大家さんの部屋に向かうのでした。 To Be Continued... |
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BlackAsh | ■ 不定期連載〜ファミリーマートで捕まえて Interlude3(完全版) | 2001/12/14 03:38 |
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先週の金曜日、私は死ぬ気で仕事をこなしました。自分が何をやっているのか分からなくなるほど、仕事を回していきました。 だって、次の日に、用事があるから。 1日まるまるとはいかなくても、数時間は時間を空けたかったから。 深夜、土曜日に日が変わって、午前3時に精根尽き果てた私の前には、けれどもまだまだ仕事の山。 確実に、土曜日出社が決定です。1日に15時間以上座り続けている私の腰には、もはやどうしようもない鈍痛が走り、同じ時間だけパソコンのモニタを見続けている目は、すでに周囲が幻想世界に見えるほどにぼやけてしまっていました。 それでも、約束は私を縛り。 それでも、言霊は意識をある人影に向けさせて。 何よりも、私の心が彼女へ動いて。 土曜日。晴れ。快晴とはいかないまでも、冬の陽は懸命に下界に光を投げかけて。 重い身体を引きずって、私は、どうにか午後の2時ころ、外へ出ました。 寒い・・・ 風はほとんど吹いていないのに、一気に身体が冷えていきます。私は、ようやく押入れから出したトレンチ・コートの前をかき合わせて、歩き出しました。 そして、私の目は、一直線に近所のファミリーマートに。 いつものブルーが視界に入るとなぜか寒さを忘れてしまう、近所のファミリーマートに。 本当に、その時は寒さを忘れていました。 ファミリーマートの前に立ち、中をのぞきます。 自動ドアから見えるのは、レジに入っている店長だけ。他には、雑誌の棚にも、ポテトチップとカップラーメンの間の通路にも、店員さんの姿は見えません。 きっと、従業員室に入っているんだろうな。 そう思って、私は、とりあえず店の中に入って、待つことにしました。 約束をした、あの女の子を。 セミロングの黒い髪を後ろで二つに束ねてファミマの制服を着た、あの女の子を。 分厚い月刊少年マガジンを一通り読み終わっても、彼女は一向に現れません。 その後、週刊少年チャンピオンをざっと読み終わっても、彼女は姿を見せません。 彼女の影をひと筋でも見逃すまい、と、読みながらも周りへ時折り視線を走らせているのに。従業員室の扉が開くたびに、振り返ってそこへ目をやっているのに。もしかしてまだ来ていないのかもしれない、と、ガラスの向こう、外を歩く人々さえも、見過ごすことはなかったのに。 彼女が、ファミリーマートにいないのです。 セミロングの黒い髪を後ろで二つに束ねてファミマの制服を着た、あの女の子が、ファミリーマートにいないのです。 約束は、心を縛り。 言霊は、身体を縛り。 時間は誰にも構うことなく、ただ静かに流れていき。 土日に来るよ、って約束したのに。 絶対来て、って言ったのに。 彼女が、いないのです。 リアルを忘れたくて。 きっと、そっと後ろに近寄って、いつかのように、「いらっしゃいませっ」ってささやくように言ってくれる。 きっと、あわてて振り向いた私へ、大好きな色のハンカチをたたんで引き出しにしまう時のように、やさしくあたたかい微笑みを投げかけてくれる。 きっと、その次は、うさぎがはねるように軽やかに、二つに結んだ髪がぴょこんと揺れて、「遅れてごめんなさい!」と謝ってしまう。 そんなことを考えて。 それでも、彼女は現れなくて。 時間が、ただただ過ぎていって。 そして、限界が訪れて。 もう、1時間弱、ずうっと探し続けて。 私は、ゆっくりと、毎週買っているはずの「SPA!」を閉じると、もう一度だけ、お店の中を見渡しました。 彼女の姿はありませんでした。 レジで煙草を買い、店長の声に送られて、ファミリーマートを出ます。 痛烈な寒さが、私に襲い掛かってきました。さっきまですっかり忘れていた、この寒さ。 私は、外をぐるりと見回しました。すごく未練がましくて、思わず苦笑いしてしまうような、見回し方でした。 もちろん、彼女の姿を見つけることなど出来なくて。 約束。 それは破られるためにあるもの。 誰が、そう言い始めたのでしょうか。 土曜日。 私は、彼女に会うことは出来ませんでした。 なぜなら、ファミリーマートを出てから私は会社に行き、それからえんえんと、翌日に日が変わって午前3時まで、パソコンの前に座り続けなければならなかったから。 ようやく仕事にめどがついて、大きくため息をついたその時は、もう彼女がファミリーマートにいるはずがない時刻だったから。 彼女と、時間が合わなかったのかもしれない。 彼女に、何か事情があったのかもしれない。何か、絶対に外せない用事が出来たのかもしれない。どうしても、バイトを入れることが出来なかったのかもしれない。 そんなことはどうでもよかったのです。 いつも、彼女はそこに行けば私に笑顔をくれました。私に元気をくれました。私に安らぎをくれました。 それが、叶わなくなってきていること。 そして、それは・・・ 叶わなくなりつつあることは、もうすぐ、ほんとうにあたりまえのことになってしまうこと。 徐々に、現実がひどく確実に忍び寄ってきていること。 それを、ただ、思っただけでした。 (To be continued) 日曜日。土曜日ほどスケジュールはきつくないけれど、やっぱり会社に行かなければなりません。 疲れ切った身体に嫌味なほど、きれいに晴れわたった青空。日曜日の東京は、雲ひとつない快晴でした。気温も、土曜日よりもずっと暖かかったことを憶えています。 ただ、風だけが強くて。 時折り吹きつける、冬の冷たい風だけが、強くて。 午後2時ころ、私は、家から出てすぐ、マンションの玄関で、コートを押さえながら何となく空を見上げていたのでした。 そして、私は、近所のファミリーマートに向かいました。 約束が、私の身体を縛っていました。 言霊が、私の心をそこへ向けさせました。 ほんとうに私はそこへ行きたいのか、その時は分かりませんでした。むしろ、考えないようにしていたのかもしれませんでした。 だって、必ず期待は裏切られるものだから。 ファミリーマートに入って、迎えてくれたのは店長の声。 お店の中を見回しても、あの女の子の姿はなくて。 雑誌のコーナーで、まんがライフをざっと読んでしまっても、従業員室からは男のバイトしか出てこなくて。 また1冊、美味しんぼのムックを読み切っても、彼女が私の後ろに忍び寄ることはなくて。 栄養ドリンクを持って、煙草を頼んでレジを済ませても、彼女が現れることはなくて。 まるで何事もなかったかのように、私はファミリーマートを出ました。自動ドアが開いて、風が吹きつけてきました。 ほら。 やっぱりね。 これが、来年の1月からの当たり前の風景でした。 ここに来ても、彼女はいない。 それでも。 会社へ向かう地下鉄の駅へと向きかけた足は止まり。 私は、ファミリーマートの隣にある居酒屋の前で、書類を取り出して、煙草に火を点けたのでした。 もはや、私にとって、拠り所は彼女との約束しかありませんでした。 折からの強風で、書類は何度も何度も裏返しになりかけました。そのたびに、私はため息をついてそれを持ち直して、文字を目で追って。 煙草の火は風に吹かれてずっと赤く、灰を落とす必要はありませんでした。 何で、こうやって待っているんだろう。 約束したから? 絶対来て、って言われたから? 待ってたって、来ないと思うよ? ほら、向こうだってこうやって約束を破ってるじゃないか。仕事があるんだから、そっちを早く片付けたら? もう、十分に待ったじゃないか。 けれども、ただ、約束は私の心を縛り付けて。 外に立ち続けて、もうそろそろ40分くらい。 手持ちの書類にも、それなりに目を通してしまって。予想外に仕事がはかどってしまったことに、少し意外な思いを抱きながら、私は顔を上げました。 煙草の煙を、大きく肺の中でかき回します。 少し、身体が冷えてしまったことを、意識しました。 そして、ふと。 通りの向こうの横断歩道を見て。 私の心臓が、1回だけ。 コトリ、と鳴ったのを、鮮明に記憶しています。 向こう側の横断歩道から、こちらをまっすぐ見詰めている、女の子。 風が、着ている紺色のコートをはためかせて、そのまま身体まで持っていかれそうになるのでは、と心配してしまうような、何だかとても頼りない女の子。 ぐちゃぐちゃになりそうな前髪を押さえて、それでもその視線は、まるでウィリアム・テルが息子の頭の上に載ったひとつのりんごを射る時のように、きれいに一直線に私を見詰めていた、女の子。 彼女は、信号が変わるのを待つのももどかしく、左右をきょろきょろと見渡して、車の切れ目を探していました。 でも、休日の大通りでは、そんなことがあるはずもなく。 信号を恨めしそうに見据える姿が。 きっと、「んもう!」とつぶやいているであろう、いらいらしたその表情が。 前髪からコートの裾、コートの裾からコートの襟元へと落ち着きなく動くその手が。 そのひとつひとつ、全てが私の見慣れた動作。 信号が、ようやく青になって。彼女が、とんでもないスタートダッシュで駆けてきて。きっと風すらも、きっと負けてしまいそうな勢いで。 彼女は、一気に横断歩道を渡りきりました。 私の目の前で、やっぱり。 急ブレーキをかけて、ぴったりと止まり。 まじまじと、大きめのめがねの奥から、私を見上げたのでした。 この、下から見上げるような、彼女の視線。 少し息が上がっていて、多分気付かれないようにしているのでしょう、少しずつ、息を整えるために微かに開いた、彼女の唇。 ファーの付いた襟元からのぞく、彼女のなめらかな首筋。 そのひとつひとつ、全てが私の記憶に刻み込まれていたままで。 女の子は、おそるおそる、私の腕をつかんで。 そして、少し大きめの瞳に見詰められながら、久しぶりに聞く、彼女の声。 「ほ、ほんとに、いるの・・・?」 彼女の手から、不安そうな震えが伝わってきました。 まるで、引越しが終わりかけ、荷物が運び出されつつある部屋で、一人忘れられ取り残されようとしている、テディ・ベアのように。 あと一吹きのそよ風で舞い落ちてしまいそうで、もう周りに誰もいない中、それでも一人で必死に木にしがみついている、黄色く染まった銀杏の葉っぱのように。 花壇に降りしきる雪に埋もれて、その紫と深緑色のコントラストすら、もうすぐにかき消えてしまいそうな、葉牡丹のように。 だから、私はそれに答えなければならなかったのです。 きっと、その不安を取り除くことができるのは、私しかいなかったから。 そんなことは約束していなかったけれど、私は、その時彼女のそばにいなければならなかったから。 約束が、私の身体から心から、ほどけていって。 「ずいぶん、遅かったね」 できるだけ明るく言ったつもりだったのですが。 はっとして、女の子は私の腕を強く握り締めました。 それが、不安とは違う彩りで、震え始めて。 あ・・・ 「ほら。泣かないで」 しゃくりあげかけた彼女の身体が、びくり、と動いて。 それでも、女の子の口からは、やがて押し殺したうめき声がもれてきました。 「うう・・・ だって・・・ だって・・・」 「ほら。泣かないの。せっかく久しぶりに会えたんだからさ」 うつむいたまま、女の子は首を振りました。 「だって、だって・・・」 「だってじゃないの」 「ご、ごめんなさい・・・」 だんだん、首を振る動作が大きくなって。 「約束したのに・・・ 守れなくてごめんなさい」 「ううん。守れたでしょ? 逢えたんだから」 「うう・・・ でも、でも・・・ あたし、ファミマに・・・ バイトが・・・」 「いいんだってば。逢えたんだから」 「ごめんなさい・・・ ごめんなさい・・・!」 だんだん、背中の震え方が大きくなってきて。 私は、少しだけ乱暴に、女の子を自分の身体から押し離して。 「ほら。ダメだってば!」 強めた語調に、女の子がびっくりして私を見詰めました。その瞳は、しっかりと磨かれた黒の碁石のように、つやめいて濡れ光っていました。 私の目と、真正面からぶつかって、彼女はまた顔を伏せてしまいました。 「だめ。顔を上げて。 ・・・泣いたら、会社行っちゃうよ」 「う、うああ・・・」 びっくりして、女の子は、ごしごしとコートの袖で目をこすりました。 そこで、初めて気付いたのです。 彼女のコートの袖口から、下に着ているはずの服の袖が見えないことに。 それは、彼女が長袖の服を下に着ていないことを意味していました。 まさか、ね。 「・・・ねえ」 「ん? ・・・な、なあに?」 まだびくびくしながらも、彼女は私の呼びかけに首をかしげました。 「何か、寒そうなんだけど・・・ 大丈夫?」 その問に、女の子はふとうつむくと、かすかにうなずきました。いつものふたつに結ばれた髪が、申し訳なさそうに揺れました。 「ちょ、ちょっとだけ・・・ 寒い、かも」 「ちょっとって言うけどさ・・・ 下、長袖着てる?」 「あうう」 女の子は、うつむいたまま、答えません。 まさか・・・ 「も、もしかしてさ・・・ 長袖じゃないの?」 がっくりとうなだれて、女の子は、ほとんど聞こえない声で、つぶやくように言いました。 「う、うん・・・」 「ええっ? な、何で? もう冬だよ?」 「うん・・・」 「風邪ひきたいの? ダメだってそんな・・・」 「だって・・・」 「だって、って・・・ 何やってたのさ?」 ますます女の子はうつむいてしまって。 「風邪ひきたいんならいいけどさぁ・・・」 だんだん問い詰めるような口調になっていく私に、女の子はどんどん小さくなっていって。 とうとう、口を開きました。 「・・・パーティ」 「・・・え?」 「ホーム・パーティ」 けげんそうな表情をした私に、女の子が気付きました。 「あの。お父さんが、今日、お世話になった会社の役員さんとか取引先の方々をおうちに招待して、パーティをやってるの。それに、あたしも出るように言われて・・・」 「・・・な、なるほどね。ホーム・パーティか・・・ って、ま、まさか・・・」 パーティ用の服装。カジュアルでなければ、女性の服装は決まっています。 彼女を見つめると、女の子は、恥ずかしそうに唇を少しだけかんで、視線を私からそらしました。 それで、確信しました。 「まさか・・・ ドレス?」 「うああぁ」 女の子は身をちぢこませると、ボタンはきっちりとしまっているのに、、コートの前を押さえて、くるりと後ろを向いてしまいました。 「は、恥ずかしいよう」 「へえ、ドレスかぁ。見たいなぁ」 「ぜっっっったいイヤ!」 「何でさ。似合ってると思うよ?」 「い〜や〜!」 「もったいないなぁ。きっときれいなのに」 「は、はずかしいからダメ!」 後ろを向いたまま、ぶんぶんと首を振る女の子。その耳が真赤に染まっているのは、冬の寒さのせいだけではありませんでした。 「あーあ。残念」 「ダメだからね!」 ゆっくりと振り向いて、女の子は、めがねの奥から私をのぞき込むようにして、そして自分の身体を少し抱え込むように震わせました。 「あ、寒いんだよね。どこか、ファミレスでも入る?」 「うん」 にっこりと彼女は笑いました。 それは、この冬の太陽の輝きを一瞬にしてかき消してしまうような、あたたかい笑顔でした。そう、私に元気をくれるような。 「・・・あ、でも、パーティは?」 「えへへ・・・」 女の子は、ちょろっ、と舌をピンク色の唇から出してみせました。まるで子リスのように、今にも、きょろっ、といたずらを仕掛けてきそうでした。 「抜けてきちゃった」 そして、彼女は、私の腕をつかんで。 その感覚は、まるで彼女が引っ越すと私に告げる前のことであるかのように。 「ね、早く行こ?」 結局、女の子は、近くのファミレスに入っても、コートを脱ごうとはしませんでした。 私は、これから仕事なのでコーヒーを。女の子は、パーティでたくさん食べてしまったから、とオレンジジュース。 さて、何を話せばいいのか、と、お互いが同じことを思って。思わず目が合って。 そういえば、こうやって2人で、ファミマ以外で落ち着いて逢うのは初めてだったり。 彼女が、オレンジジュースを一口飲み込んで、ホッ、と息をつきました。 2人とも、しばらく視線をさ迷わせて、何をしゃべっていいのか一生懸命探して。 「・・・あ、あの」 「そうだ」 同時に口を開いてしまい、一瞬の空白の後、また2人は同時に吹きだしました。 「うふふ。 ・・・おっかしいねぇ。話すこと、たくさんあるはずなのに」 「何だかねぇ」 彼女はストローをまたくわえて、ちるる、とジュースを飲み込んで。 「そうそう。あのね、今日のパーティでね・・・」 それからしばしの間、流れる時間が忘れられて。 女の子は、パーティで見た、人をやたらと誉めまくる変な外国人の話をし始めて。仕事で日本にいる外国人とよく会うことの多い私は、本気でそれに大きくうなずいて。 約束したことなんて、すっかり意識の彼方に放り出して、私は彼女と話していました。それは、夢中、と言っていいくらいに。 いや。 そのとおり、夢中になっていたのでした。 ただ、単に夢の中にいるだけ。それだけでした。 何度目かの沈黙。 2人とも、飲み物を2回くらいおかわりしていました。 にこにこしていた彼女が、ふと、窓の外を見やり。 「・・・ああ、もう、外が暗くなっちゃうんだ」 「そうだね。 ・・・もう、冬だからね」 それは、現実が訪れる瞬間でもありました。 彼女が、小さくため息をつきました。 「・・・ごめんなさい。土日に絶対来てね、とか言っておきながら、あたしの方が行けなくて・・・」 「あ、いや、別に・・・」 ずぞぞ、と、ストローが鳴りました。彼女が飲んでいたオレンジジュースがなくなった知らせ。 空っぽになったコップを、彼女はぼんやりと眺めているようでした。 「あの、土曜日は、両親と学校に説明に行ってて・・・ 長引いちゃって」 「・・・転校の説明?」 こくり、とうなずいて。 あっさりと、次の言葉を吐き出して。 「・・・もう、ホントに決まっちゃいそう」 「・・・そ、そっか」 「そんで、学校からおうちに帰ったら、不動産屋さんが来てて」 「・・・」 「おうち、貸しちゃうんだってさ」 「イギリスに行ってる間?」 「うん。 ・・・最低でも、1年間」 それが長いと思えるだけの感覚は、まだ私にもありました。 そして、私が長いと思えるだけの時間は、女の子にとって、私以上に長くて。 「・・・1年かぁ」 「最低でも、だって」 私のつぶやきに彼女は答え、カラカラとストローでコップの中の氷をかき混ぜました。 めがねの奥の瞳が妙に大人びて、それがひどく不自然でした。 「そろそろ・・・ 帰らなくちゃ」 「ああ・・・ ごめん。気付かなくて」 私も、そろそろ本気で仕事に取り掛からないと、今日も日付が変わってしまいます。 レジで、あたしも、と言い張る彼女を抑えて、清算を済ませて。 夕暮れの時間はもう過ぎ去った時間。昼間の暖かさはまだなごりを残し、思ったほどには冷えてはいませんでした。 けれども、彼女の薄着ではやはり寒く感じるようで、彼女は、う〜、とうめいて、身をすくませます。 「寒いよね」 「ううん。大丈夫だよ」 「・・・送ろうか?」 「ううん。近いから、大丈夫」 「これから駅に行くんだけど・・・ 途中まで、ね」 「・・・ありがとう」 2人で歩く、夜の道。車の音だけが、響き渡る道。2人とも、何もしゃべらなかったのは、その道行きの意味を、十分に知っていたからでした。 もうすぐ、交差点。地下鉄の駅は、そのすぐそばに。 彼女が、両手を顔に持っていって、はあー、と息を吹きかけました。 思わず、微笑んでしまって。 「はい」 私は、左手を差し出しました。 それを、不思議そうに見詰める、彼女の瞳。 「寒いんでしょ? 少しはあったまると思うよ」 「・・・あ、ありがとう」 彼女はおずおずと右手を差し出された左手に重ね、そっと、まるで生まれたての子猫の小さい頭をなでる時のように、ほとんど力を入れることなく。 そして、また2人は歩き出して。 女の子は、その間、ずっと前だけを見詰めていて。 何かを強く思っている彼女の心が、闇に吸い込まれていって。 そして、それは、不意に。 「ねえ」 「なに?」 「あたし・・・ 一人暮らししようかな」 「・・・え?」 いきなりな話に、私はびっくりして、つないでいた手を離しかけました。 それを、彼女が握って止めました。 「ちょっと前から思ってたの。一人暮らしは出来ないかな、って」 「そ、それは・・・」 現実に急転した話についていくことが出来ず、口ごもる私。それを、どう受け止めたのか、彼女は勢い込んで話し始めました。 「あたし、ほら、お料理もお洗濯もできるし。バイトもできるし、貯金もあるし。そんな高いところじゃなければ、何とかやっていけるかな、って思って」 風が、2人の間をすり抜けていきました。 「ほら、高校生でも、一人暮らししている人っているじゃない? あたしも、やってみようかな、って・・・ きっと難しいかもだけど、それでも・・・」 風がまた、2人の間をすり抜けていきました。 「やっぱり、イギリスになんか行きたくないよ。全然違うところだし、言葉だって、お父さんに昔から英会話をやれって言われてたから、おかげで少しは分かるけど、そんなにしゃべれないし。友達と離れるのやだし・・・」 黙ったまま、私は彼女を眺めていました。 一生懸命、自分の考えを話す彼女。そう言えば、彼女の視線は、時にこんな光を放って輝いていたこと、それを、思い出して。 彼女はそこでうつむいて。 私を見上げて。 何か言おうとして。 私の目に、何かを感じ取って。 口を閉ざしました。 ただ、一言を、残して。 「・・・行きたくないの」 私は無言で歩き出しました。手をつないだまま。 あわてて彼女はついてきて、左横から、おどおどと私を見て。私の顔を見ることが出来ずに、私の肩のあたりを見て。 すぐに、地下鉄の駅。 私は、そこで手を離しました。 「・・・気をつけて、帰るんだよ」 「う、うん・・・」 そして。 私が、責任を持って言わなければならないこと。 「それと」 「・・・」 「一人暮らしは、無理だと思う」 「・・・」 彼女は、やっぱり、という面持ちで、それでも悲しげに目を伏せました。 「・・・そっか。やっぱ、ムリって思う?」 「思う」 「そっか・・・ そうだよね」 彼女はうなずきました。けれども、納得したからうなずいたのか、それとも私の答えを予想していたからうなずいたのか、そこまでは、地下鉄に降りる階段の入口、やや弱くなった光では、読み取れませんでした。 「ごめんね・・・ 変なこと言っちゃって」 「・・・気をつけて」 私は手を挙げると、下り階段に足をかけました。コートの裾が、名残惜しそうに彼女の方へはためきました。 「・・・ま、また、逢えるかな?」 彼女の声が背中から私を追いかけてきて。 それに、私は、また手を挙げることで、答えて。 階段を下って、切符を買い、電車に乗り込んだのでした。 |
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BlackAsh | ■ 孤独の夜 | 2001/12/12 01:10 |
日々の戯言 | まだ掲示板に書いちゃ駄目ですよ。 今週末ね。(その前に書いてくれる人いるのか?) | |
つい先週「やっと人間らしい暮らしに戻れた記念」で打ち上げしたのに、なぜ仕事終わるのが10時なんですか? 会社から帰る時になぜ俺一人なんですか? 同僚はどこ行ったんですか? 上司はどこ行ったんですか? 新人のかなえちゃんはどこ行ったんですか? 俺ってもしかしていじめられてるんですか? それとも、もうすぐ誕生日の俺に「皆でお迎えパーティーの準備してたのぉ」とかみんなでこの寒い中ビルの前で待っててくれたりするんですか? 俺の大好きなチーズケーキを作って待っててくれたりするんですか? それを心の片隅でかすかに期待しながら、俺は暖房が止まったこのビルでコートを着て寒さをしのぎながら夕飯のぺヤングを食べ、この文章を書いているんですか? そんなことを期待している時点でダメですか? 俺の人生ダメですか? 俺の人生理不尽ですか? 理不尽といえば、あの「ハリーポッター」は何ですか? 今回のハリーポッターの内容は小説のダイジェストじゃないですか? 小説はなかなか面白くて、俺も久々にTRPGがやりたくなったけど・・・、ってTRPGわかる人いるんですか? ソードワールドやブルーフォレスト、ルーンワース、ビヨンドローズトゥロード、D&D、T&Tは言うに及ばず、ORGグループのWARPSが「Wild Adventure Role Playing System」の略だって書いてわかる人いますか? マイコンベーシックマガジンにリプレイが載っていたこと覚えている人いますか? つうかいい加減「TRPGなんて解らない世界の話なんか持ってくるなよ」って怒ってる人沢山いますよね? しょうがないから話は戻って、「ハリー・ポッター」なんだけど、ストーリーよりもっと大切な部分が抜けてませんか? 見た人ならわかりますよね? 小説読んだ人ならわかりますよね? 全ての固有名詞が長過ぎませんか? 長過ぎて、映画館出る頃には「主人公の名前はハリー・ポッター」としか覚えてなかった俺を嘲笑える人はいますか? 校長の名前は何? 魔法学校の名前は何? ハリー・ポッターの両親を殺したらしい悪役の名前は何? 魔法学校でやってた変なゲームの名前は何? それより何より、ハリー・ポッター(主人公)と常に行動を共にしていた女の子、髪はふわふわソバージュ、ラブリー☆マロン色で、晴れわたった夜空のような瞳とやや薄めの唇を尖らせてこまっしゃくれてみる表情がよく似合う、ドイツ人特有の精縁で確かな技術力と、フランス人特有の卓越した美意識との、まれにみる幸福な結合といえるマイセンのビスクドールの生き写しというべき愛くるしい少女の名前は何? 俺的な表現だと、「西欧の安達祐実」なんだけど、文句ある人います? というわけで、俺もこの「ハリー・ポッター」を見に行ったんですが、ミーハーですか? 1時の回の1時間半前に行ったんですが、ミーハー極まりないですか? ていうか、こんなにミーハーっぷりを発揮してがんばったのに、何で並ぶんですか? 何で立ち見なんですか? これはかなり混みすぎじゃないですか? これなら最初から全席指定のワーナーマイカルの映画館に行った方がよかったんじゃないですか? ていうかこんな行列は映画好きな俺なら予想がついていたんじゃないですか? ミーハーな心がいけなかったのですか? さらに一緒に行った女の子にまで文句を言われ、かなりヘコんだ俺はダメですか? ミーハーウキウキルンルン気分が一瞬にしてダメダメヘタレ鬱々気分になった俺はもう終わりですか? ていうか反撃していいですか? この行列は俺のせいですか? 土曜日のまっ昼間から映画を見たいとか言ったあなたのせいじゃないんですか? 俺が怒られるのは理不尽だと思いませんか? 理不尽すぎませんか? すべてはハリーポッター・ファンを総称して言う「ポッタリアン」が悪いんじゃないんですか? ていうかミーハー気分の俺たちもポッタリアンだから、結局みんなが悪いんじゃないですか? 責任転嫁とか思ってませんか? ていうか、仕方が無いから次の回の2時間前に並ぶという提案をしたらすぐにOKとはどんな神経をしてるんですか? 2時間ですよ? 2時間ですけどホントにいいんですか? アイドルのサイン会の整理券を貰うために当日本屋さん開店前のシャッターに群がる人の如く、メタルギアソリッド2のパーフェクトBOXを買うために朝9時のビックカメラ、「ここが最後尾です」のプラカードを持った店員さんの前に並ぶが如く、コミックマーケットの前日から並んでいてC館の中に押し込められ酸欠状態になりつつもカタログでお目当てサークルのリストと移動経路をチェックするマニアの方々(かなり古い晴海時代の話ですよ?)の如く、傍目からみると正気とは思えない行動に、なぜこうも簡単かつ無邪気に同意できるんですか? 素直に耐えられないと思った俺は罪ですか? この時点でひま潰しグッズを買いに行こうとした俺は賢明だと思いませんか? この時点で並ぶの大嫌いな俺は、彼女と楽しく遊ぶという予定に見切りをつけて、サンシャイン60通りを奥に向かい、東急ハンズに向かったのは正しい選択だと思いませんか? 東急ハンズの2階に上がり、迷わずマジックグッズ売り場に行きましたが何か? どうせ、一緒に遊んでいる女の子は彼女でも好きな人でもなく、ただのマジック友達でしかないですが何か? どうせ女友達は多いけど好きな子がいないんですが何か? という台詞を吐くと読者の皆さん的には贅沢だと思います? それとも挑発と取ります? この文章としてはどっちだってかまいませんので好きなように取ってください、と言ってはぐらかすのはありですか? ていうか、なぜあなたはマジック・コーナーの裏側にあった知恵の輪もどきをやってるんですか? コインマジックの練習の為に、シルバー&カッパーやスコッチ&ソーダを買いに行きたいと言ってたのは貴方じゃないんですか? もうどうでもよくなったので、とりあえず暇つぶしにその「キャストパズル」(知恵の輪もどき)を買うことにしましたけどいいですよね? 映画館に行く前に知恵の輪をやりたいんですよね? 暇つぶしというより頭を疲れさせるだけだと思うのですがいいんですよね? それを買って、映画館に行って、チケット買って、並んで、「キャストパズル」をやって、ものの15分もたたずに貴方は寝始めたんですがよかったんですよね? 映画館で前を見ずに下を見続けていたんですがよかったんですよね? 映画館で前を見ないなんてなんて理不尽なとか思った俺の思考は間違っていませんよね? ていうか寝顔がとても可愛いかったので携帯で写真を撮らせてもらったけどいいですよね? うん、確かにあなたの寝顔はとても可愛いですよ? でも無防備になりすぎて口からよだれを出すのは余り宜しくないと思うのですが? これからこの写真は何かあったときの脅しに使わせてもらいますがよろしいですか? って、すいません警備員さん、もう帰りますからもう少しだけ時間を貰ってもいいですか? お願いだから後ろから覗き込んでこのテキスト読むの止めてくれませんか? って、このビルをあと5分ほどで退出しなければならないのですが、結局何が面白いのか解らず終わってしまっていいですか? だめですか? でも、もうすぐ日付変わっちゃうし終電なくなるんで帰ってもいいですか? いや、その前にこのぺヤングソース焼きそばの残骸を片付けにいっていいですか? 最後に、「昨日とおんなじテンパリ文章でごめんなさい」と謝って許して欲しいのですがいいですか? その前に、この文章が「なんで午後10時から誰もおらず、かつこのだだっ広いフロアの中で自分の席の周りにしか電気が点いていないこの会社で一人寂しくテキストを書かなきゃいけないんだよ!」という愚痴愚痴文章だったことに気づいた人はいますか? ホントの最後に、僕の誕生日を一緒に祝ってくれる人いませんか? 今週末に掲示板に「誕生日おめでとう!!」と書いてくれる人いませんか? |
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BlackAsh | ■ 熱 | 2001/12/11 02:43 |
日々の戯言 | こんな時に・・・ そりゃないよなぁ | |
寒かった。今日は本当に寒かった。 こんなに寒いのってありか? ありか? ありなのか? いいのか? こんな寒くていいと思ってるのか? 聞いているのか冬将軍。冬将軍おまえは有名なくせにさっぱり姿形も分からずに、こんな勝手に気温を下げて。せめて堂々と姿を現して名乗ってから寒くしろ。「今から冬! 冬! もう冬! むしろ冬! これ以上ないほど冬!」と叫んでから寒くしろ。わかったな? え? 来年からそうするにょ? バカヤローそんなこと言ってるからオレがこうやって風邪を引くんだよ! 熱があるんだよ! それもそんじょそこらの甘ったれた熱じゃねえよ! オレのほとばしる感極まった強烈な魂から沸き煮えたぎるこの熱は、有象無象誰彼となく許しはしねえんだよ! あ、風邪を伝染したなとか突っ込んだ奴そこへ直れ! お前らは罰としてカンケリの缶の刑だ! ねり消しを3時間練り続ける刑でも可だ! しかも何だその語尾は? 「にょ?」ってまさか、冬将軍まさかお前はアレか? アレか? アレなのか? いいんだなアレで? お前の姿形が分かったぞ? まさに、幽霊の正体見たり枯れ尾花。冬将軍お前はでじこ! デ・ジ・キャラット星から来たでじこ! 年令 10歳 身長 148cm 体重 38kg 誕生日 2月8日 血液型 O型 なでじこ! うかつ者でがんばりやなでじこ! ってお前怒ると目からビームを出すのかよ! おいちょっと待て正体がバレたからって怒るな冬将軍ことでじこ! お、わ、た、あ、あぁ・・・!!!! (ちゅどーん!) ブフゥ・・・(ブスブスゴホッ) ってオレってばビーム食らったのか? 食らったのか? まともに食らったのか? あたかもゴジラが自衛隊のミサイルを全弾避けもせず一声叫ぶだけでありったけの弾幕に包まれるように食らったのか? あの哀切な、自らが怪獣であることを哀しんでいるような涙なしには聞けない叫びとともに食らったのか? でじこのビームを受けてそんなに哀しいのかオレは? 本当に哀しいのかオレは? 哀しいのか? 哀しいのか? そんなことないだろオレ? うかつ者でがんばりや、年令 10歳 身長 148cm 体重 38kg 誕生日 2月8日 血液型 O型のデ・ジ・キャラット星から来た愛らしいでじこのビームを受けることが出来て幸せなんだろ? むしろストライクゾーンだろ? ど真ん中直球137キロの絶好球だろ? 疑問を持つな。すぐさまバットを振りぬけ! こう、サッと引いて、クッと行って、そこでパーン! ありがとう長島茂雄! ハーイ! カール! いわゆるひとつの巨人軍は永久に不滅です! いや巨人ファンでもないオレが巨人軍は不滅と言うのはおこがましいな。少し遠慮することにした。微妙かつ華麗に遠慮することにした。日本人の心を体現する大和男児の見本として、謙虚かつ腰をやや低めにして遠慮することにした。よく聞け。聞いとけ。長島茂雄ではないオレが、長島茂雄そして巨人軍に対し微妙かつ華麗、謙虚かつ腰低めに遠慮しつつ今宣言する! 巨人軍は3時間半だけ不滅です! って何言ってんだよオレ! 思考が支離滅裂だよ! 千切りキャベツ並に滅裂だよ! 何を伝えたいのか全然分からないよ! 熱っぽいからってこりゃないだろ? ないだろ? あり得ないだろ? そもそも冬将軍とでじこを同一視する時点であり得ないだろ? しっかりしろよオレ! ほら、しっかり! ゴールはもうすぐよ! ああ、ミサエ・・・ オレのことを応援してくれているんだね。もう少し。もう少し。もう少しで終わるんだよ? って終わらないんだよ仕事が! もう全く、全然、これでもかというほど、徹底的かつ言語道断的に終わらないんだよ! 終わらない上に風邪引いてんだよ! 熱出してんだよ! 地中海の風に吹かれたラテンの情熱に似たこのあふれんばかりの情熱がオレの身体の中でたぎりまくってんだよ! むしろたぎってあふれ出てんだよ! つまりは周りに伝染しちゃってんだよ! 悪かったよ風邪引いて! オレだって辛いんだよ! 咳が出まくってラーメンすら満足にすすれないんだよ! 分かるかこの気持ち? ラーメンすらすすれない男の気持ちが分かるかってんだこの野郎! みじめだよ。ああみじめだともさ。信じられないほどにみじめだよ。ラーメンをすすれない野郎なんて存在価値がねえよ。いいんだよどうせ。普段から煙草の吸い過ぎでラーメンをすすろうとしても必ずむせてるんだからよ! 加えてこの風邪だよ? 当然鼻水も出るさ! ああそれはもうたんまりとな。むせてそして鼻水だよ! 笑えよ。笑えってば! 笑っても許すよ。にこやかに許すよ! 穏やかに凪いだ海のような広く静かな茫洋とした天上の輝きに満ちた微笑みを見せてやるよ。鼻水付きだけどな。ああ何でこんな自分の恥ばかりさらしてるんだよ! 信じられねえよ! これも全部風邪を引いたのが悪いんだよ! ホント冬将軍は許さねえ。絶対に許さねえ。オレに断りもなく気温を下げやがって。聞いてんのかこの冬将軍! っておああお前またビームかよ・・・!!! ゴホゴホ。 つまりは熱っぽいのです。ああ天気予報を見れば一目瞭然だったのに・・・ 私がコートを着ていけばこんなことにはならなかったのです。冬将軍さん、でじこさん、長島茂雄さん、巨人軍の皆さん、ミサエ、そしてラーメン・・・ ごめんなさい。 |
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