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- 「日々の戯言」 -

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BlackAsh Black : NHK BS あなたが選ぶスポーツ名場面100選 2008/02/29 00:18
日々の戯言 もう自分ではやらなくなってしまって久しいけれど、スポーツはほんといいものです。
スポーツに感動する人、そうでもない人、まあこのあたりはスポーツ好きかどうかで大きく分かれるところではあります。私はスポーツ観戦が大好きでジャンルを問わず見まくりますし、まあどうにも涙もろいようでして、特に引退、敗北や挫折のシーンが心に刻まれる性質のようです。名場面ではなく、印象に残ったシーンという感じですね。思い出すにつれどうにも自分の性格の奇矯さに首を傾げざるを得ないのですが、まあまずは、このランキングの10位くらいまでをざっと眺めてみましょうかね。

1位 トリノ五輪 荒川静香 イナバウアーで金メダル 1539票
2位 早実-駒大苫小牧 決勝再試合の熱戦 1126票
3位 シドニー五輪 高橋尚子 女子マラソン初の金メダル 1112票
4位 長野五輪 団体 日本チーム 船木の大ジャンプで金メダル 770票
5位 世界選手権 高橋大輔 日本人男子で最高の銀メダル 755票
6位 巨人-中日 長嶋茂雄引退試合「巨人軍は永久に不滅です」 734票
7位 広陵-佐賀北 逆転満塁本塁打で佐賀北が初優勝 705票
8位 WBC 決勝で日本がキューバ破り初代王者に 696票
9位 世界選手権 安藤美姫 涙の初優勝 693票
10位 巨人-ヤクルト 王貞治 756号本塁打 MLB記録を破る 599票


まあね、あれだ、その、1位で萎えた。荒川が1位か… むむむ。そりゃまあよくメダル取れたなとは思うし、荒川の演技はあの大舞台でよくぞきっちりまとめたとは思うけど、他の人たちが自滅していっての金っぽいんじゃ。やっぱり最近のことだし、イナバウアーのインパクトは強かったということかねぇ。
2位の高校野球も、駒苫の野球は余り好みではないので。斎藤も田中もよく投げたどころの話ではない超人っぷりだけど、その後マスコミがハンカチ王子だのマー君だのともてはやしたところでもう萎え萎え。いや本人の責任はないんだろうけどさ。何よハンカチ王子て。あほか。
3位はQちゃんか。まあ選出で紛糾した中この結果は本当によくがんばった。でもさ、これ一発で国民栄誉賞はあからさまに森の人気取りが透けて見え過ぎてちょっと水を差したかもしれないよ。

概観して、野球は国が政策的に奨励したスポーツだからランキングでも多くを数えているようで。逆にサッカーはやはりJリーグになってからの歴史がまだ短くて余りランクインしていないという感じ。つかこのランキング、NHKだからかな、高校野球とフィギュアが多くないすか? モータースポーツなんてほとんどないじゃないか。セナvsマンセルは? 映像が借りられないからないのかな。セナで気が付いて見直してみたけど、日本人以外のスポーツ選手が日本以外の国でやってるシーンが少ない、というか72位サラエボ五輪のアイスダンス、95位ウィンブルドンのフェデラーそして98位メキシコW杯のマラドーナ以外ないというのは、いくら日本のランキングとはいえちょっと淋しい。つか9位こそあり得なくね? こういう期限を切らないアンケートは最近の出来事が強いのはしょうがないけど、それにしたって何で安藤が。さっぱりわからん。5位の高橋もどっちらけだ。日本のフィギュアというならば、フィギュアの歴史を革命的に変えた伊藤みどりが筆頭に来るのが当然だと思うんだけどな。

まああれだ、ここでアンケート結果にいちゃもんつけててもしょうがないので、私にとってのスポーツ名場面… いや、名場面と言うよりも私の心の中に残っているシーンを、さすがに100選は無理なので、TOP10ということで、10位から挙げていってみましょうか。私はどうもじんわりと感動する性質っぽいので、以下ちょっと爽快感からは遠ざかるかもしれません。そこらへんはどうぞご寛恕を。それでは行ってみよう。


第10位 野球:96年高校野球選手権大会決勝、松山商業−熊本工

甲子園には魔物が棲んでいる、という。しかしこの決勝戦は、あり得ないことを起こしてしまう魔物の豪腕は鳴りを潜め、代わりに、気まぐれな勝利の女神が活躍した。
彼女はまず、1点差ながらも9回裏2アウトランナーなしまでたどり着き、彼女の微笑をあと一歩で受けるところまで来た松山商業からふいと離れていった。インコース寄り真ん中高めに入った失投は鋭い音を立ててレフトスタンドに突き刺さる。熊本工、起死回生の同点ホームラン。松山商業の投手はまさにがっくりと膝をつき、チームメイトに抱え起こされるまで動くことができなかった。
勢いに乗る熊本工は彼女の微笑を受けるべく、10回裏に1アウト3塁という絶好のチャンスを作り上げる。松山商業はここで続く2人を敬遠しての満塁策を取る。1アウト満塁。ヒット、犠牲フライ、野選、四死球、暴投いずれも許されない極限の状況で、松山商業の監督は守備固めとしてライトを交代する。そして迎える打者への初球、インコース高めに甘く入ったストレートは、快音とともに大きくライトに上がった。フェンス直撃、悪くても犠牲フライ。熊本工が勝利の女神の寵愛をまさに得ようとしたその瞬間、彼女は浜風で打球を押し戻し、そして、代わったばかりのライトに、ウィンクを投げかけた。

Youtube: 松山商業、奇跡のバックホーム

Youtube: 松山商業−熊本工ダイジェスト

ピンチの裏にチャンスあり。その後11回表、松山商業は怒涛の攻撃で一気に3点を奪取。そして今度こそ、勝利の女神は逃げることはなかった。


第9位 バスケットボール:マイケル・ジョーダン「The Shot II」

神様と呼ばれるスポーツ選手は世界に何人もいない。野球ならベーブ・ルース。サッカーならペレ。F1ならアイルトン・セナ。アイスホッケーならウェイン・グレツキー。そしてバスケットボールなら、文句なくジョーダンだ。SLAM DUNKの連載が開始するだいぶ前、中学のころからバスケばかりやっていた私がジョーダンにはまり、親にナイキのエア・ジョーダンをねだったとしても仕方のないことだろう。当時ナイキはかなり高価なバスケットシューズであり、家庭は余り裕福ではなかったこともああってニュー・バランス止まり、エア・ジョーダンで颯爽と駆ける友人が本当に羨ましかったことを憶えている。
バスケ熱は中学卒業後も冷めず、シカゴ・ブルズ最初のスリー・ピート(3連覇)の時代が高校大学と重なり、この93年カンファレンス準決勝、クリーブランド・キャバリアーズ相手の「The Shot II」で最高潮となった。「II」というのはもちろん「I」があるからで、89年ファイナルでジョーダンが同じくキャバリアーズ相手に残り3秒から放った逆転のシュートが入ると同時に試合が終了、俗に「The Shot」と呼ばれる名場面の再来が、これだった。利き手の右手を怪我しながらも、残り1.7秒で2人のマークを受けながら後ろにジャンプして放たれたシュートはきれいな弧を描き、ネットに吸い込まれていった。こんなことができる人間はいないと思った。だから、マイケル・ジョーダンは神様なのだ。

Youtube: The Shot II


第8位 相撲:千代の富士、引退

憚りながらも私は、千代の富士は最後の横綱だったと言いたいのである。精悍な顔、盛り上がった筋肉、腰に手を当てながらサイドスロー気味に塩を撒く姿、四股の時にぴんと伸びる脚、頭を押さえながらの強引過ぎる上手投げ、強く腰を振って回しを切る仕草、寺尾を釣って土俵に落とした時の表情、決して大きいとは言えない身体で小錦を真っ向から受け止める姿。文句なしに強く、怖く、そして雅だった。力士の強さについては、相撲が興行であることとも相俟って、それぞれいろいろな見解があろう。しかし、千代の富士が雅な横綱であったことは、誰もが認めるところではないだろうか。そして、彼が91年5月場所初日に貴乃花(当時は貴花田)に敗れ、三日目に口を真一文字に引き結んで会見に及んだその日から後、彼を超える強さ、風格そして雅さを備えた横綱は現れていないのである。

Youtube: 千代の富士−貴花田、千代の富士引退会見(6分18秒から)

淡々と語ろうとするも、込み上げる思いをこらえきれずに言葉が切れた「体力の限界!」というシーンは、引退の理由としては万人に共通して至極平凡なものなのに、心に残り続けている。


第7位 スピードスケート:ソルトレーク五輪、清水宏保、500mで0.03秒差の2位

最大のライバルであったウォザースプーンが1回目で転倒して姿を消した。1回目はロケットスタートが不発、決していいタイムではなかったが、2回目次第では金もいけるかも、と国民の多くが期待に胸を膨らませていたその時、清水は激痛と戦っていた。小柄な身体を生かして極端に重心を低くして突っ込んでいくそのスタイルは、自らを失神寸前まで追い込んで鍛え抜くトレーニングにもかかわらず、腰に過大な負担を強いていた。腰痛の詳細は余りニュースには流れなかったが、当時清水は自分で靴下もズボンも履けなかった。スタートラインに立ったその時には、痛み止めのブロック注射を11本も打ち込んでいた。競技どころか、もはや動ける状態ではなかったのだ。
合計タイムの差はたったの0.03秒。1kmの距離を滑って、たった40cmである。たった40cm。コーナーでふらつかなければ、1回目のスタートがもう少し速ければ。怪我があと少しよくなっていれば。ほんの少しで上回ることができた差であった。けれど、清水はその後の記者会見で、怪我は治らなかったと公表した後、「それでも負けは負け」と言い切っていた。結果が全て、だと。それはただひたすらに、強い言葉だった。


第6位 サッカー:ドーハの悲劇

動けなかった。茫然自失となった。そのまま10分間くらいだったか。カズが、ラモスが、武田が、井原が、柱本が、松永が、みんなが倒れ伏す姿をただ見詰めることしかできなかった。その後は、とにかく悔しかった。悔しくて悔しくて、やけになって開封したウィスキーが45分で空になった。ロスタイムのイラクのコーナーキック、ショートコーナーの受け手に日本のマークがついていなかったのを見た瞬間、背筋に何か「ぞわり」と嫌な感覚が走ったのだ。後で友人たちに訊くと、みんなそうだという。悪魔の迫る感覚とは、きっとああいうものなのではないか。

Youtube: ドーハの悲劇

あの当時から、そういえばまだこの場面の動画を振り返って見たことはなかったか。特に強く意図していたわけではないが、おそらくあの背筋に感じた嫌な感覚を思い起こしたくなかったのだろう。テレビでこのシーンが出た時は必ずチャンネルを変えてきて、今も、検索だけして動画はまだ再生していない。これから初めて、15年越しで改めてこのシーンを振り返って見ることにする。日本サッカーはその後、ジョホールバルの歓喜で悪魔の気配を打ち消した。私もきっと、悪魔にはもう負けないだろう。


第5位 陸上:ロス五輪女子マラソン、ガブリエラ・アンデルセンのゴール

目は空ろ。動かなくなった右足を引きずり、見た瞬間にそれとわかる脱水症状。足元は覚束ないを超えて既に立つことすら危うかった。このロス五輪で初めて公式競技となった女子マラソン、給水ボトルが倒されてしまうなどの不運もあり、酷暑の8月のロサンゼルスで、スイスのアンデルセンは限界をはるかに超えていた。どうやら右脚も動かなくなっているようだ。身体を大きく左側に傾けて、ほぼ左脚だけで自らを支えながらも、彼女の足は一歩一歩ゴールに向かっていた。
トラックに入った瞬間、ひときわ大きな歓声と拍手が彼女を迎える。それまで歩いていた彼女は、それに背中を押されるようにスピードを上げ、走り始めた。しかしそれは長く続かず、脚が完全についていかずにすぐに前のめりになって、やはりふらふらと歩くことしかできなくなった。それが祟ったのだろう、憔悴はいっそう深刻に、上半身の挙動まで不自然になる。私の母親が目に涙をためて「もう止めて」と一言、呟いたのを憶えている。
けれど、彼女は止めなかった。差し伸べられるスタッフの手を何度も拒否して、最後のバックストレート、左へ左へとコースを外れそうになるところを踏みとどまって右に大きく流れていく。それを何度も繰り返した先には、ここまで痛めつけられてもなお彼女が渇望した、ゴールラインがあった。

ニコ動: ロス五輪女子マラソン、アンデルセンのゴール


第4位 ボクシング:マイク・タイソン、ダグラスに10RKO負け

歴史が変わった。子供心に地上最強、負けるはずがないと思っていた統一世界ヘビー級チャンピオンが、何度も顎をのけぞらせ、顔を腫らし、ふらついて、最後は無残にリングに倒れ伏した。これは私が初めてタイソンをリアルタイムで見た試合、昼間は部活か何かで学校に行っていたが、もうずっと楽しみで楽しみで仕方なかった。帰宅して勢い込んでテレビの前に陣取った私は、しかし鈍色の現実に遭遇した。

Youtube: マイク・タイソンvsジェームス・バスター・ダグラス

改めて見ると、タイソンの生命線であった膝の柔らかさとウィービングがすっかり失われ、単調に懐に入っては一発を狙うことしかできなくなっているのがわかる。体重も明らかにオーバーウェイトだ。ダマトが亡くなり、チーム・タイソンのスタッフは全て離れ、生活が荒れに荒れた末の必然の結果だ。けれども当時はそんなことが分かるはずもなく、目の前に突きつけられた、憧憬を抱く史上最強のボクサーが、打たれ強いが故に溜め込んでしまったダメージに朦朧としながらも零れ落ちたマウスピースをくわえて立ち上がろうとするその姿に、呆然とするほかなかった。


第3位 競馬:第25回日経新春杯、テンポイント

動画を検索してきておいて何であるが、大変申し訳ない。見られない。間違いなくこの動画の10分過ぎにそのシーンはあるはずであるが、確認することができない。小雪舞う京都。66.5kgという常識外れの斥量。左後肢。私は以前、この馬について2003年12月11日のBlackAsh Newsで書いていた。本当はもっともっとたくさん、この思いを込めて書きたかった。けれど、書けなかった。その時よりも年を取り、大人になった今ならうまく書けるはず。そう思って、ここに入れた。けれど、やっぱりだめみたいだ。

Youtube: 20世紀の名馬 テンポイント

ドラマとか悲劇とか神様とか、もうどうでもいい。悲しい。


第2位 スキージャンプ:長野五輪、団体で日本金メダル

Youtube: 長野五輪スキージャンプ団体

原田の余りに有名な「ふなき〜」の台詞とリレハンメルの失敗から1本目の失速ジャンプ、2本目のバッケンレコード大飛行という激しい浮き沈みのドラマに焦点が当てられがちなこの金メダルである。ただ、原田の1回目のジャンプは、まともに前が見えないほどの雪で助走路が緩み、踏み切り時点での速度が考えられないほどに落ちていた。風も追い風、一流選手であっても自然に抗いようがなくすとんと自然落下レベルで60mちょいしか飛べないだろう悪条件の中、79.5mまで伸ばした原田の力はさすがという他ない。上の映像を見ればわかるが、1回目の踏み切り時点の速度は87.1km/h、対して2回目の大ジャンプの時は89.8km/hである。失敗なんてとんでもない。不運の中でも成功といえる。むしろ、1回目の船木のジャンプこそ不運による失敗というべきだろう。4順目はみんな大ジャンプを連発する中、船木の番になって風が変わってしまった。映像では原田のジャンプ失敗が響いて1回目4位と言っているが、原田の3順目が飛び終わったところでは日本は2位である。実際は船木のジャンプで4位に下がったのである。
そして何よりも、岡部こそこの金メダルの立役者、4位から一気にごぼう抜きを演じて流れを変えた2回目のバッケンレコードも秀逸であるが、特に1回目は不利な風の中よくK点を越えた。岡部は原田と船木に隠れて地味な扱いをされているが、何とまだ現役、しかもW杯転戦中という第一線級である。ルール改正で身長が低い選手がどんどん不利になっていった中、とりわけ低い岡部ががんばっているのは、他の日本選手の情けなさを言うよりも、ただ彼に対して見事というべきだろう。

ああ、こんな解説なんて不要だった。まだ子供だった私は、「日本人は本番に弱いから無理だろ」なんて家族の前ではクールな振りをしていたけれど、本当は、最後の船木のジャンプを見るまで心臓がどきどきして震えてたんだ。


第1位 テニス: 伊達公子、引退

伊達公子が大好きだ。私はテニスをやっていたわけではないが、男女新旧含めてスポーツ選手で誰が1番好きかと言われたら即座に伊達を挙げるほど大好きだ。相手のサービスの時に虎視眈々とリターンを叩くべく目を細める勝負師の顔が大好きだ。そして、自らをひたすら追い込んでいく厳しい表情の中からちらりとこぼれ出る、彼女本来のものであろう柔らかな笑顔が大好きだ。

伊達といえば真っ先に挙げられるのが、96年ウィンブルドン準決勝、グラフとの2日間に渡る激闘だろう。この試合の展開はいろいろなところに書いてあるのでそちらに譲る。また、この試合で別に有名な「Steffi, will you marry me?」「How much money do you have?」のやり取りは、

Youtube: Steffi, will you marry me?

で見ることができる。当時グラフのマネージャーだったグラフの父親が脱税の嫌疑で何かと騒がしく、グラフ本人にも金銭問題が波及していたところであったが故の珍場面である。残念ながら「How about me?」と言おうかと思ったらしい伊達の苦笑いは映っていないのであるが。

私がいつまでも忘れられないのは、この年グラフに初めて勝ち、ウィンブルドン準決勝で激闘を繰り広げ、その後もサンチェスを破ってツアー優勝までしているキャリアの頂点とも言いうる時期に突然の引退をしたこと、というよりも、その引退会見で見せた笑顔である。「心からの」というよりも、「満足した」というよりも、「重圧から開放された」というよりも… 私は彼女の引退理由とされる「精神的に厳しい」「ランキング規定が選手に過度の負担を強いる」という話を後になって記事等で知っただけで、関係者であったわけでもなし、本当のところはよくわからない。それは私の思い入れが強すぎるが故の邪推かもしれず、本当は単純に、ツアーの重圧から解放され、これから新しい自分が始まるということに期待してのさわやかな笑顔だったのかもしれない。けれど、その記者会見での彼女の笑顔は、明らかにスポーツ選手が引退会見で見せるそれではなかったと、私は今でも思う。だから… そう、だから、としか言いようがない。だから、彼女は私にとって、ずっと1番のスポーツ選手であり続けるのだ。


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