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BlackAsh | ■ Watch : 青少年有害社会環境対策基本法案に関する若干の考察 Part2 | 2002/03/09 01:12 |
日々の戯言 | Part2です 今回も、法律の話題ということで、ソースは確かですが、コメントはかなりな感じで確かとはいえません | |
はい。もう身体が悲鳴をあげていたので会社から帰ってきました。 どんな風に悲鳴を上げていたか具体的に言いますと、今日、事務のお姉さんに書類を見せられて、何の書類だったかまったく思い出せなかったので、思わず、お姉さんの目の前で思い切り自分の頭を殴るという行為に出てしまったくらい悲鳴を上げていました。 事務のお姉さんの、一瞬びっくりして、そして笑って、ついであわてて早く帰るように薦めてくれたことが、とても印象的でした。 つーわけですが、どうも『青少年有害社会環境対策基本法案』の記事をPart1で置いておくのは妙に座りが悪いので、よし、吐きそうだけどまずは書こうか、と。 Part2は、この法案の問題点をより詳細に分析してみることとします。Part1で取り急ぎ表現の自由について考察したのですが、それ以外にも疑問は山積、本当にありえない法案です。 以下、問題点とそれに関するちょっとした考察を、わかりやすいように項目立てて検討していきます。 1.表現の自由の制約 Part1でも書きましたように、この法案は、施行されると確実に国民の表現の自由に影響してきます。「性的表現と暴力的表現」については間違いなく、そしてそれ以外の表現についても、過激なものについてはかなりの確率で、「青少年に有害」と判定されると思われます。 しかし、憲法は、基本的に国や地方公共団体という「お上」と一般国民との間を規律する法規です。対して、再掲するこの図解にあるように、この法案は、「お上」と国民との間に「青少年有害社会環境対策協会」だの「青少年有害社会環境対策センター」だの、私的団体をはさんでます。こうしてワンクッション置くことによって、憲法違反を巧みに逃れています。つまり、「自主的な規制」だよ、だからOKだよ、ということ。 そんで、Part1で言及し忘れていたのですが、「お上」と「青少年有害社会環境対策協会」との間で対立が起こった場合について。 この場合は、「お上」と私的団体との間のことですから、基本的に憲法が適用されます。それでは、「青少年有害社会環境対策協会」に対する業務適切化勧告が、「青少年有害社会環境対策協会」が行うべき表現の自由の侵害となるか、というか、といいますと。 法案18条の勧告は、法案19条を見ますと、『その勧告を受けた青少年有害社会環境対策協会が正当な理由なくその勧告に従わないときは、その旨を公表することができる』とあるので、「青少年有害社会環境対策協会」が、その意思決定に基づいて勧告に従わないことが出来ることを予定しています。そして、従わなかった場合でも、罰則を科すのではなく、その「青少年有害社会環境対策協会」が従わなかったことを公開するのみ。これはどういう意味かというと、「別にお上は罰則で強制しないよ〜ん」と。 直接的に権利を剥奪しない「公表」というこの手段の弱さ、「青少年の健全な育成」という目的の重要性(憲法上「青少年の健全な育成」はそれなりに重要な目的と考えられてます)。そして、表現の自由も無制限ではありえないことからすれば、この規定は全体として表現の自由を侵害するとまではいえないでしょ? という言い分。 というわけで、事実上表現の自由を侵害するおそれが十分に考えられるのに、憲法上は何かセーフになりそうなこの法案。立法技術というのはこういうところで使うもんじゃないんだと思うんですけどねぇ・・・ 2.あいまいな用語 この法案を通して言えることですけど、用語があいまいで、定義付けがされていない、おまけに極めて疑問な表現を使ってる、という問題があります。 例えば、法案18条『業務の運営が著しく不適切であると認めるときは・・・ 改善に必要な措置をとるべきことを勧告することができる』って言うけどさ。「業務の運営が著しく不適切」っちゃ何よ? どの程度業務運営が不適切だといけないわけ? それはこの法案のどこに書いてあるの? この点をですね、いわゆる条例による有害図書の指定についての合憲の最高裁判例を引用するとか、「わいせつ」の定義とかはもう何回も裁判で決められていることだとか、「社会常識で、過激な性的表現とか暴力的表現はだいたいわかるでしょ」とか、以上そういうのを合わせれば意味はわかるでしょ? とか言う人たち。だから何なの? それらの意味が(仮に)明確でも、「適切な業務」は全然明確じゃないんだけど? 何をするのが適切な業務なの? 全然わかんない。 しかも、ここで「適切かどうか」を問題としているところがまた! 「適切」っちゃ、「ふさわしい」こと、つまり合法な行為のうちで、さらに「ぴったりくる行為」を指すんですが? 「不適切」はその逆なんだから、「ぴったりこない行為」ということで。これは、「不当」=違法ではないが、法規定の趣旨・目的に照らして妥当でないことよりもさらに厳しい基準じゃなくて? いくら「著しい」とか付けてもダメだよ。どう考えても厳しすぎるよ。 その他、『その供給する商品又は役務について、青少年の健全な育成を阻害することがないよう配慮する』(法案6条)の「商品又は役務」とは何を指すの? モノだけでなくサービスも含むのか? えらく広過ぎない? とか、そもそも規制対象となる「事業者」って誰? とか・・・ こんなあいまいでしかも広く解釈される余地のある用語ばっかり使っていいわけ? 特に表現の自由に影響がある場合は、あいまいとか広過ぎるとかだと、萎縮して本来適法な表現も出来なくなっちゃうんだけど? そのあたりはどうなの? 3.財政上の支出 法案13条で、『国及び地方公共団体は、青少年有害社会環境からの青少年の保護に関する国民的な広がりをもった取組に関し、必要な財政上の措置その他の措置を講ずることができる』ってあるんだけど。これは、つまるところ、青少年の健全な育成に役立つ活動にはお上の金=公金を使っていいよ、としてるんですよね。 でも、知ってますかこの法案を作った人たち? 憲法89条後段って知ってる? いい? 重要だから全部書くよ? 『公金その他の公の財産は・・・ 公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない』んですよ? え? とか思った方々。確かに、役立つ事業なのに何で金を出しちゃいけないの? とか思いますよ。でも、この規定の意味は、「公の支配に属しない「私的活動」に公金を出すと、無駄に使われる可能性がある。だから、そういうのに貴重な税金を垂れ流さないように、私的活動に対して公金を使うのを禁止する」という点にあるんです。無駄遣い防止、ということ。 さて、この法案での活動は、「教育」に当たりますね。「教育」とは、人の精神的・身体的育成のために、継続的に人を教え導くことを意味しますから(超棒読み)。 で、翻って、法案13条で公金支出がOKとされてる。そんで、この法案は憲法89条後段に反しない、つまり、法案でいう「取組」は、「公の支配」が及ばないものではない、という仮定を立てる。 あらら。ということは、その「国民的な広がりを持った取組」とやらに対し、お上は「公の支配」を及ぼすということですか? この法案って、「自主規制」を基本に据えているんじゃなかったっけ? お上が財政的な援助を積極的にOKとするような活動を「私的な自主的活動」と言えますか? 「公の支配」の意味は、無駄遣いを防ぐだけの監督機能を及ぼしている、ということだそうです。だから、この一事を以て、お上が青少年健全育成活動をその内容面で支配する、とは言えないんですが。 それでも、ちょっとした矛盾がありませんか? 金を出したら口も出したくなるよね? どうなの? このあたりは。 4.異議申立手続 あのさ、何で、勧告に従わなかったら一発公表なの法案18条? その勧告に対して従わない理由を説明する手続はないの? つーかその公表に対して異議を申し立てることは出来ないの? お上は絶対に判断を間違わないとでも思ってるの? もうお分かりですよね。お上による「公表」という事実上の制裁に近い行為が、こんな一発確定なのはおかしいって。 さて法案作成者諸君。適正手続(憲法31条)って知ってる? 法律の定める手続によらないと刑罰を科すことは出来ないの。そして、憲法31条は基本的に刑事手続だけど、行政手続にも準用されるの。特に、「告知・聴聞」=不利益の内容の告知と事情聴取・弁解のための手続があるということは必須だよ。 で、法案・・・ そんなのないよ? いいの? 法律で決める必要があるんだけど? 政令とかじゃ基本的にダメなんだけど? 白紙委任にもほどがあるけど? どうせ、これに対しては、公表は刑罰じゃないもん、とか言うんでしょう。確かに法的にはそうでしょうけど、普通この憲法31条の意図を取り入れないか? それが法律ってもんだろ? 一発公表、一発確定。一切不服は受け付けません。をいをい、お上の判断が正しいって誰が保障するのさ? 5.条例 はい、法案5条。『地方公共団体は、基本理念にのっとり、青少年有害社会環境からの青少年の保護に関し、その地方公共団体の区域の社会的状況に応じた自主的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する』だって。 えっとですね。その「自主的な施策」の中に、当然地方公共団体の条例制定は含まれますよね。そんで、条例で具体的な刑罰を定めることが出来るのも当然ですよね? じゃあさ、この法案で罰則がないけど、条例で厳しい罰則を規定するのもありですか? 法案では何も禁止してませんよね? むしろ積極的に、施策策定を義務としてますよね。ああ、じゃあ条例で罰則を作ればいいんだよね。簡単簡単♪ 法律に従って、お国のお墨付きで堂々と条例を制定して、罰則が作れます。わーい。 さて、ちょっと見ただけでもこれだけの怪しい疑問が。 でも、ですね。この法案は、もっと根源的な疑問・・・ それはもはや脅威に等しい危険を内包しています。 それが、 6.価値相対主義への挑戦 普通さ、青少年の健全な育成が云々という法律は、抽象的な目的は「健全な環境を作る」だけど、具体的な規定は「〜を禁止する」という形で行われるよね。わいせつな本を有害指定して販売制限するとかいう形。いわば、「禁止」という消極的な方法で青少年に健全な社会を作る、という規定方法なんです。 ところが! この法案、それを超えてます。目的どころか具体的な規定までも、積極的に「〜しろ」とか「〜が義務だ」とか。つまり、今までの「禁止」による消極的手段から、一歩進んで、「行為義務」という積極的な手段により、青少年に健全な社会を作ろうとしてます。 これがどういう意味を持つのか。 これは、お上が積極的にある一定の価値観を選択して、その価値観に従った社会を作り上げて、そのような社会だけを法律で認めるということ。お上が認めた価値観のみが正当で、そういう価値観のみが存在するようにし(「その価値観のみ存在することを許す」なんて甘っちょろいものじゃないよ。存在するように「する」んだよ)、他の価値観を積極的に葬り去ってしまおうとすること。国民の価値観がある一定のものとなるように誘導し、そのような価値観を持った国民しかいなくなるように国民の構成を形作ること。 これは、憲法19条「思想・良心の自由」への重大な挑戦、そして、その19条、20条(信教の自由)、21条(表現の自由)等に現れている、憲法の根本的理念のひとつ=価値相対主義への大胆な挑戦に他なりません。多様な価値観を持った人間という概念を許さず、ある一定の価値観を持った人間をお上が作り上げるという、自由な思考=人間の尊厳に対する恐るべき傲慢さを持った法案。これを、価値相対主義への挑戦と言わずして何と言いましょうか。 清潔な社会を作る。それもいいかもしれません。 しかし、清潔な社会を作ろうとするために、人の価値観までも支配するこの法案。 私Blackは、この法案に断固反対の意思を表明して、ひとまず(疲労で吐きそうなので。つーかこの法案のことを考えるだに吐きそうだよ)ここに筆を擱きます。 引き続き、青少年有害社会環境対策基本法案に関するニュースと言及サイトリンク集を再掲します。なお、BlackAsh第1報は3月5日BlackAsh Newsにあります。また、考察を3月7日付日記で行っています。 BlackAshが把握しております言及サイトは以下の通りです。 青少年有害社会環境対策基本法案全文 アルヲの独り言 ROSF、無題、かまくら リンク集作成サイト「僕らの世界を守って」 (社会的に影響力があると思われる団体等による言及) 毎日新聞 メディア総合研究所 日本民間放送連盟 日本民間放送連盟主催のシンポジウム 日本民間放送連盟による法案提出撤回の意見書のニュース 日本書籍出版協会 日本図書館協会 青少年法案を今国会に提出 シンポで自民党議員明言 (ウェブサイト:順不同 TOPにない場合は過去ログをどうぞ) 「有害」規制監視隊 今、そこまで来ている危機 ―“誰か”がサブカルチャーを殺す?― 言論弾圧法反対 インターネットが検閲される日 青少年有害社会環境対策基本法に対する考察と意見(Unkelblaue Nachtmusik) Tentative Name.、脳内(なか)、神鳴館、BRAINSTORM、VERY SWEET.、WEBSITE、蟻の城、笑わない人の生活、無常な日常、るてんのお部屋、カトゆー家断絶、節足動物園、The virtual net talk、かーずSP、私立A学園、ペス狩り、幻狼院倶楽部、好き好きおにいちゃん!、Numberなにわや、闇・叡智の瞬き、かぐらのらくがきぼーど、GOTH2400、RuputerFan、茜17歳、彼の地ISEKAI、イシダ企画、紺碧洞、あかめしまえ、時計じかけの俺んち、ルミ姉さんと一緒(;´Д`)ハァハァ、Automatic?、ギガフレア、とおやくらぶ、NuBoNBa、シャア専用ニュース、MILK JUICE、Disaster、裏MIZUHAの憂鬱、九十九式、D-Point、Take It Easy!、White Feather、YU-KA'S SWEET HOME、随筆、Monologue、ONLY 1、kousatsu、Channel KOF、新・針の筵、Tir Na nOg、0/1、雑誌の住人、青少年有害社会環境対策基本法案に反対、Missing Gate 掲示板(3月6日午後2時30分現在、大部分のスレがマルチポストで削除となっております) 青少年有害社会環境対策基本法掲示板 ネットウォッチャーズ掲示板 【思想統制】ファシズム法案可決なるか!?【言論弾圧】 ニュース議論 【平成の治安維持法】青少年有害社会環境対策基本法 【言論弾圧】青少年有害社会対策基本法:Part2 ニュー速 ≪おまいら!≫青少年有害社会環境対策基本法vol.2≪潰すぞ!≫ 【最低】青少年有害社会環境対策基本法【最悪】 ニュー速+ 【春季国会】青少年有害社会環境対策基本法可決か? 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BlackAsh | ■ Watch : 青少年有害社会環境対策基本法案に関する若干の考察 Part1 | 2002/03/07 04:17 |
日々の戯言 | 久しぶりのWatchのコーナー こんなコーナーが昔あったことすら忘れていた 今回は、法律の話題ということで、ソースは確かですが、コメントはかなりな感じで確かとはいえません | |
『青少年有害社会環境対策基本法案』が、まさにネット上を駆け巡った、そんな表現がぴったり当てはまった3月5日深夜。本サイトも、まっさきにこの法案を取り上げて、トピックとして注目する態勢を整えました。BlackAsh News3月5日と6日、そして本日7日にもニュースを再掲して、しばらくTOPページから落ちないようにするつもりです。 この法案を取り上げたきっかけは、皆さんもご存知であろう無題の3月5日日記。そこからROSF、かまくら3月5日日記と渡りまして、これはとんでもない法律になるぞと。表現の自由に対する大いなる脅威であるぞと。その時は、そう思って、取り上げたわけです。 それから1日が経過した今現在、こうしてこの法案について考察を書いているわけですが、今この時点で、表現の自由への脅威とはまた違った脅威を、ひしひしと感じています。 これは、もしかしたら、今までになかったタイプの法律なのではないか。単なる表現の自由への脅威ではない、いやむしろ表現の自由への危険は、結果的に生じるものの一つに過ぎないのではないか。 そう考えながら、本稿を物しているのです。 この法律案の構造を簡単に説明しましょう。 詳細は、法案推進者がご丁寧にも作ってくださったのでしょうか、この図解。 つまるところ、「事業者」は、業種ごとに「青少年有害社会環境対策協会」を設立してそこに加入するよう努力する必要があります。そして、出来上がったその「青少年有害社会環境対策協会」は、それを構成する「事業者」に対する一般国民からの苦情を受け付けて、国や地方公共団体(=主務大臣や地方公共団体の首長)の指導、助言、勧告のもと、苦情が出た「事業者」に対して適切な処置を要求することができるのです。 何だ、関係あるのは事業者だけで個人は関係ないじゃん、と思ったあなたのために。 具体例を出してみましょう。 Aプロバイダ(=事業者)は、他のプロバイダと協力して、複数のプロバイダを構成員とする「プロバイダ青少年有害社会環境対策協会」(仮称です)を設立して、それに加入するのです。そして、「プロバイダ青少年有害社会環境対策協会」は、例えばAプロバイダのアカウントで誰か個人が運営している『イヤンえっち超わいせつ大解放女子中学生萌え萌え血まみれ残虐殺人術公開サイト』に対して、PTAのおばちゃんから苦情が来た時は、国や都道府県のご指導とかを仰いで、そのAプロバイダに、「ちぃとな、あんたのところの『イヤンえっち超わいせつ大解放女子中学生萌え萌え血まみれ残虐殺人術公開サイト』なんだけどさ。これまずいって。いやマジで」と注意するのです。それを受けたAプロバイダは、「あっそ。やっぱまずいか。結構楽しかったんだけどなアレ。ま、しゃーねーな」ということで、適切な処置を取ることとなります。つまり、その『イヤンえっち超わいせつ大解放女子中学生萌え萌え血まみれ残虐殺人術公開サイト』管理人Black・・・ ってオレかYO! に対して、メールを出すわけです。「お前こんな とまあ、こういうことになるわけです。表向きは事業者の活動をコントロールしているように書いておいて、その実は個人の表現の自由の制限となりますね。 つーかさ、「事業者」っちゃ何? 個人事業者も含むのか? それは漫画家とかも入るのか? 頼むから定義してくれ。全然わかんない。 こんな法律は憲法に反しないの? ということが言われているようです。どうなんでしょうね。 というわけで、本棚の奥から引っ張り出してきました。ああもう何年ぶりかこの憲法の教科書は。つーかとってあったのかオレ。ああ何て勉強熱心・・・ にしてはすごいきれいなままで。使ってなかったのまるバレ。どうせ大学で1年2年と憲法はCだったよ。つまりギリギリの成績だったよ。 というわけで、以下、もはやさびついた知識ときれいな憲法の教科書片手に繰り広げられる考察です。当然間違っているかもですし、権威などありゃしませんねあはははは。ま、参考程度ということで。 で、まずは「検閲」に当たって憲法21条2項で禁止となるかどうかなんですが。 これが当たらないんですよ。「検閲」は、最高裁判例によると、行政権つまり中央や地方の政府がその行為主体となるのですが、この法律案で規定されているのは、ほぼ全てが「青少年有害社会環境対策協会」の自主的な活動ですから。行政権が行わない規制は「検閲」じゃない。 仮に、政府が「青少年有害社会環境対策協会」を操ってるから行政権による行為だ、としてもですね・・・ 「検閲」は、発表前に行われるものであるとされています。ところが、この法律案では、すでに発表されたものに対する苦情という形で規制のきっかけが出来るわけです。だから、「検閲」には当たらない。 また、行政権が直接事業者に対してアクションを起こす場合も規定してあるんですが、その場合のアクションの内容は「情報提供要求、指導、助言」だけ。「適切な処置を求める勧告」は入ってない。 それじゃ、次の関門「事前抑制禁止」に当たって憲法違反となるの? 「事前抑制」とは、「公権力が、表現行為の公表に先立って、それを抑制すること」だそうです(棒読み)。これは原則禁止となってます。そう書いてあります。 さて・・・ もう賢明な皆さんにはお分かりですね。この法律案が規定しているのは公権力(=立法、行政、司法)の行為ではなく私的団体の自主規制行為だし、しかも公表後の苦情による規制だから・・・ やっぱり、当たらない。 次は・・・ って、もう、結果は見えてますよね。 結局、この法律案では、全てが「自主規制」の枠の中で話が進んでいくのです。 中心となる「青少年有害社会環境対策協会」という、公権力ではない単なる自主規制団体が、事業者という表現者に対して「な、やめような」とか言って処置を求める。それに従うかどうかは、最終的には事業者の判断なんです。 つまり・・・ 公権力が表現を規制する、という形にならない。憲法の話で言う「表現の自由の侵害」にならない。 うわぁ。何だよ表現の自由で攻めたって無駄じゃないかYO! この法律案、見事ですよね。 自主規制を隠れみのとした巧みな表現の自由への制約。いくら表現者が声高に叫んでも、表現の自由ではなかなか相手にしてもらえない。 上で紹介した図解でもわかるように、いろいろと動くのは、「青少年有害社会環境対策協会」と「青少年有害社会環境対策センター」。これは二つとも公権力ではなく、この法律案によれば、民法の法人なんです。その団体に対してだけ、国が勧告する。そして、その勧告を聞き入れるかどうかはその団体次第。しかも言うことをきかなくても罰則はない(公表されるだけ)。 ああ・・・ 何だか書いていてため息です。 何か取っ掛かりはないんでしょうか・・・ 表現の自由がムリか・・・ まだ結社の自由で攻めた方がましなんだろうな。団体を作ったりそこに加入したり脱退したりするのはその人の自由であり、法律で強制される筋合いはないのが基本なので。 ただ、この法律案の目的は青少年の健全な育成か・・・ この目的は重要だという理解がされているのが一般でしょう。あとは、メディア関連事業がほぼ全て「その供給する商品または役務が青少年の健全な育成を阻害する恐れがある」(法案14条)という、余りに広く、しかも「おそれ」というあいまいな言葉を遣っていることとの関係で、この団体設立・加入の努力義務が結社の自由を侵害するかどうか、かな・・・ でも、罰則ないし・・・ 努力義務だし・・・ というわけで、今回は主に表現の自由との関係を見てみました。いつ書けるかわからない次回を請うご期待! |
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BlackAsh | ■ 女子中学生研究記Part8 | 2002/03/03 12:12 |
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本気で時間旅行機のように 感じることがある 「ヨコハマ買い出し紀行」からです。 こうして私は毎月毎月女子中学生たちが写っている雑誌を買っているわけですが、そこに閉じ込められた彼女たちの笑顔は、全てが過去のもの。今この瞬間の彼女たちの笑顔を、躍動を、思いを写している訳ではなくて。私が今この時にこの文章を書き連ねている時は、きっと彼女たちは、写真とは違う表情を、動作を、言葉を、吐息をまとっているわけで。 そのことに思いを致すと、ほんの少しだけ、女子中学生との垣根を感じてしまう。カメラを、写真を・・・ 私は、懐かしさではなく、かすかな胸の痛みとともに見ているのでした。 つまり、何が言いたいかというとだね。 渋谷とか原宿に出張はないのかうちの会社はッ! 日曜日に結婚式で原宿に行くことになり、実はすげぇわくわく中のBlackAsh、今日は胸の高鳴りで眠れぬ夜を過ごしつつ発信です! さて、今月もやってまいりました。最近死にかけで本当に日記を書いていないけど、こ、これだけは・・・ これだけは書かなければいけない! 女子中学生を愛する私Blackとして! これだけは! というわけで、昨日(土曜日)は疲労で完全にぶっ倒れていたんですが、午後10時55分に起きて、神速で近くの本屋に向かい(午後11時閉店)、滑り込みギリギリセーフ、ていうか完全にアウトだったんだけど審判(=本屋店員)に激烈な抗議の末見事ゲットしたこの雑誌・・・ッ! 日本選手団もソルトレーク五輪ショートトラック審判団に対してこのくらい強引に抗議すれ! ◆中学生のおしゃれ情報がいっぱい! nicola4月号◆ 最近余裕が出てきたのでしょうか。発売日の翌日だというのにサイトがきっちり更新。いいことです。 つーか雑誌が分厚い。表紙を見ると、付録がたくさんあるようです。ま、まさか・・・ 私は先月の研究記で、 <研究成果> 来月号『わたしの悩み』が特集として別冊とじ込みになることを期待して買い。むしろ激しくnicola編集部にお願いしつつ買い。 と言い残している・・・ まさか、まさか、nicola編集部が・・・ ウチを見て・・・ と思ったら、何だよ『RoseGirl by one※way』って女子中学生対象の新ブランドの告知ステッカーに、『Voi cute』とかいうマルイ関連の通販の冊子かよ。ああ女子中学生の雑誌もこうやって商業主義に陥っていくのですか。お母さんから毎月もらってる小遣いはこんなところに消えていくのですか。嘆かわしいことです。 つーわけで、何だよnicola編集部はウチを見てないじゃんか・・・ 『わたしの悩み』を特集してくれなかったじゃんか・・・ もういいもん。ふてくされてやるからな。今回のテーマは、「女子中学生の雑誌を冒す商業主義の罪悪について」だ! えー、今月号の特集ですが、『ハヤリ服を”MAX”おしゃれに着こなそう!!』などと、渋谷系、原宿系、ラブリー系、お姉さん系の服を大々的に紹介。どれも全て合計万単位の値段ってどういうことよ。こんな高いのを女子中学生に買わせるつもり? この不況に? まったく困ったもんですnicolaさん。それであなたたちは広告収入を取得ですか。いいですねぇ商業主義。 『新学期はエンジェル肌でいくよっ(はぁと) ニキビなおすぞ まる秘ノート』でも、製品紹介ばっかり。そんなので記事が成り立つなんてずるいと思いませんか? もっとね、こう、にきびを治すためにはどうしたらいいかをじっくりと解説すべき。4ページの特集中半ページしかないんだよ、そういう予防法の紹介が! あとは商品紹介に終始して・・・ これを商業主義と言わずして何とする? だいたいこういうファッション雑誌って広告多いんだよなぁ・・・ 今月号だって、のっけから・・・ あ、Ralph Laurenか。許す。Ralph Lauren好きだから。んで一個飛んで・・・ あ、mezzo pianoか。許す。今月のJUNONの特集で加護たんが着てたのmezzo piano juniorだから。 うわ、雑誌のど真ん中に広告とじ込みかよ。しかも、『魔女っ子心理テスト』を分断する形でのとじ込み・・・ ダメダメだなnicola。とうとうここまで堕ちたか・・・ 商売根性もここまで来ると見苦しいですネ・・・ って、お? おお? おおお・・・ッ! pied clair(ピエ クレール) ジュニア・インナー! つまり女子中学生の下着! 以前ブラジャーについて真剣に考えたことがあるBlackAshが激注目! なこのインナー! コレとかコレとかコレ! 特に最後の3番目最高! つーかハァハァハァハァ。よく見ると紹介順が成長順と逆行しているような気がする点は気にしないでハァハァハァハァ。 いや、広告万歳! 資本主義商業主義万歳! nicolaさんも、これからバシバシ(こんなのを)広告してくださいね。 ハァハァしたところで、おまちかねのコーナー『魔女っ子心理テスト』! 結果はこの研究記の最後ですからね。 (a)あなたはコンピュータを使うので、マウスパッドをもらえることになりました。さて、あなたならどの色を選ぶ? つーかね、前回特集した反動なんでしょうか。少ないよ。もっと多くしようよ。あと図が必要なやつはココで紹介できないからやめようよ・・・ それと! 『お願い聞いて! 誰にも言えないわたしの悩み』をもっともっと増やすべき! だから特集を組むべき! 女子中学生の普段の思いをもっとセキララに語るべき! 今回なんてひどいよ。偏頭痛とか足の裏のできもの(ウオノメ)とか・・・ 偏頭痛やウオノメにどうやって萌えろと? 偏頭痛やウオノメにいかにしてハァハァしろと? そんなのにとどまらず、もっと大胆に、思い切って心を開き、女子中学生はnicolaに投稿すべき。そしてnicolaはそれをしっかりページ割いて掲載すべき。 しょうがないから、今月も欄外のアンケート結果・・・ お腹のぐあい 授業中などにオナラが出る? よく出てしまう:50% あまりない:50% ・・・夢がまた一つ、まさに霧消。そんな女子中学生がオナラを・・・ あああ、そんなことあるわけないじゃないか・・・ そんなものはしない! 大の方だってしないんだ! そう決めた! BlackAshが今決めた! 女子中学生はマシュマロをするんです!((c)西村知美) はぁ・・・ nicolaさん、来月は頼むよ。ここをもう少し充実させてよ。特に回答者の「NTT東日本関東病院産婦人科早乙女智子先生」のキレのあるコメントが見たいよ・・・ つーか回答者紹介に『レギュラー美女先生』って書いてあるんですが? 早乙女先生美女なんですか? まじ? 美人女医? もしかしてハァハァ? 今回はココがポイントだったの? というわけで、BlackAshの情報収集力を駆使して調べてみました。 早乙女智子先生 お、何かイイ感じじゃないですか。結構ほっとするタイプかもしれません。お医者さんらしく、患者さんを優しい瞳で見詰め、包み込み・・・ 安堵のため息を聞いて、その微笑みがより慈愛にあふれ、差し伸べる手は暖かく・・・ 『いつもヨシくんばっかりずるいー。たまにはあたしもやる』 『は? お前が? できんのか〜?』 『あ〜、ヨシくんバカにした〜。あたしにだってできるモン・・・』 『あ、痛ッ! ってきつすぎ! ったくお前はホント不器用だなぁ・・・』 それは、淡い日々の向こうに消え去りつつある思い出。 奈美は、ぼんやりと窓枠に肘をついて、夕暮れのグラウンドを見詰めていた。 「ちょっとお願いね」と言われて、お留守番を頼まれた保健室。保健委員の奈美が、ちょうど委員会の報告にきた時に、センセイに電話が入って。 冬の校庭は、木々が裸で寒々しかったけれど、生徒たちは部活に忙しそうで、こんな遠くでも切れ切れの掛け声が聞こえていた。 向こうで、サッカーをやっている。 冷たくもゆるやかな風が、奈美のお下げを揺らす。 眼鏡の向こうの大人しそうな瞳が、ゆっくりと閉じられる。 深呼吸。ほんの少しだけかすかにその曲線を描く、13歳になった奈美の胸が、1回だけ大きく息づいた。 冬服のセーラー服だけではきっとこの先冷えてしまう。このまま、もし寝たりなんかしたら、確実に風邪をひく。 それでも、奈美は窓を閉めようとはしなかった。 彼女は、ここにはいなかったから。 思い出のまんなかを漂っていかたら。 『バカだなぁ、奈美は。包帯ってのは、こうやって巻くんだよ』 『ううう・・・ バカってゆった』 『6つになって包帯巻けないのはバカって言うの』 『おにいちゃんひどい・・・ いっつもナミのことバカにして・・・』 『だってできないじゃんか』 『うー。できるもんできるもん!』 『だー! 痛い痛い! だからきつく巻くなってば!』 ふっ、と奈美の顔に微笑みがよぎる。その唇を彩る、中学1年になって初めて買った色付リップは、もう1年が経とうとしているのに、まだ彼女のポーチに残っていた。目立たない、本当に目立たない、その薄い薄いピンク。 それは、幼いころの思い出。 保健室が思い出させた、幼いころの義男との思い出。 2つだけ年上の義男と一緒に遊んだ時の・・・ 学年が違う今では、もう話すことさえなくなった、お隣さんの義男との大切な思い出。 ガララッ 突然、ドアが開いた。 風が吹きぬけた。 振り返った奈美の目に映った。 ヨシくん。 「・・・あれ? 奈美?」 思い出から現実へ。 「・・・あ。せ、先輩・・・」 「久しぶりだなあ、奈美。元気にしてたか・・・ って、家、隣なのにな」 「あ・・・ う、うん。元気」 静かに、でも確実に高鳴った、13歳の胸。 「なあ。保健のセンセイは?」 「・・・あ、えーと。ちょっとお出かけしてるけど・・・」 「ふぅん」 つぶやいて、義男先輩は、ふと視線を落とした。それに引っ張られるように、奈美も見た。 半ズボンの膝に刻まれた赤い血痕を。 一気に、現実に戻った。 「・・・うわぁ! 先輩! ひ、膝・・・!」 「うん。ちょっとサッカーしてて転んでな。とりあえずバンソウコウ貼ってもらおうと思って」 「それじゃ足りないよ! ちょっと待ってて・・・ そこに座って!」 あわてて奈美は薬箱を棚から持ってくる。 「洗ったの?」 「いや。まだ」 「んもう!」 手早くガーゼを水で濡らし、それを義男の傷口に当てた。できるだけゆっくりと、だけどきちんと、傷口とその周りを拭く。 「うわ! ちょ、ちょっと待てって痛い痛い!」 「ホントはちゃんと洗わなきゃいけないんだから・・・ 我慢して」 ガーゼを取ると、そこには赤黒いモノがべったりと付いていた。奈美は、一瞬だけ目を閉じた。ふっ、と強く息を吐いた。 「ちょっとひどいよこれ・・・ どういう転び方したの?」 「いや・・・ ドリブルしてたら」 「んもう・・・」 次に、乾いたガーゼを傷口の下に当てた。空いた片手でマキロンを持って、傷口に吹きかける。霧状にしないと、マキロンはただ流れていってしまう。 「うわ声くらいかけろよ! し、しみるって」 「マキロンはそんなにしみないわよ。我慢してってば」 そして、ガーゼを代えて、それで傷口をふさぐ。テープを手早く切って、ガーゼを固定する。 奈美は、包帯を取り出した。取り出したその手に感じたのは、さっきまでたゆたっていた思い出の中のやわらかい感触。 それを振り払うように、奈美は包帯をはさみで切った。 「そんな大げさな・・・」 「ちゃんとしなきゃダメなの」 膝に、ちょうどクロスするような形で、包帯を巻いていく。曲がりにくくないように、でもきちんとガーゼが保護されるように。優しく、やわらかく。それでいて、きっちりと。 大切なものを包み込むように。 『そうそう。何だ、ナミもできるじゃないか』 『えへへ〜』 「これでよし、と」 薬箱のふたを締めて、奈美は一息ついた。 「大丈夫? ずれない?」 「おう。ばっちりだ」 立ち上がって2、3歩足を踏み出して、義男は笑う。 「ありがとな、奈美」 「あ、え、ええ・・・ どういたしまして」 そして、風が吹いた。 「ずいぶんうまくなったよな、包帯巻くの」 「・・・え?」 「憶えてないか? 奈美さ、小さいころ、包帯がうまく巻けないで・・・ 俺と遊んでた時、何度もかんしゃくを起こしたっけな」 思わず、義男を見詰めた奈美の瞳。それは、今を見て、過去を見て。 憶えてる。 憶えてるの。 あなたと遊んだ時の記憶。 絶対に忘れないと決めた、あなたとの記憶。 それは、もう帰ってこないと思ってたけれど。 思い出すだけのものだと思っていたけど。 あなたも・・・ 憶えていてくれたんだ。 「それじゃ、またな」 義男が、軽く手を振った。 「あ・・・」 呼び止める間もなく、義男は入口のドアから出て行った。ほどなくして、校庭を駆けて行く姿が窓から見えた。 『よしよし。よくできました』 『ホント?』 『うん。りっぱりっぱ』 『わーい。ほめられたー』 奈美は、再び窓の外を見詰める。 けれども、今度はあてもなく見詰めているのではなく。 『ヨシくん・・・ また、一緒に遊ぼうね!』 「先輩・・・ また、一緒に遊びたいよ・・・」 ほのかなピンクが香り、奈美の唇が、声にならない呟きをもらす。 お下げが、風に揺れた。 ねえ。先輩。 あたしは、昔のように、一緒にいたいよ。 ずっと、一緒に遊んでいたいよ。 先輩・・・ ゴールを決めたらしく、義男を中心に輪ができていた。 先輩・・・ こんな寒いのに汗かいて。帰ったらすぐ着替えないと、風邪ひいちゃうよ・・・ ガーゼも取り替えないと、治りが遅くなっちゃうよ・・・ やってあげるから・・・ あたしがぜんぶやってあげるから・・・ ね・・・? 『ヨシくん・・・』 久しぶりに穏やかに癒された・・・ 保健室最高。 <研究成果> 来月号『わたしの悩み』が特集として別冊とじ込みになることを今度こそ期待して買い。つーか今月号のモーニング娘。の特集記事がどこかのインタビューの焼き直しなのではないかという疑問を呈しつつ買い。 <心理テスト結果> 質問 (a) あなたはコンピュータを使うので、マウスパッドをもらえることになりました。さて、あなたならどの色を選ぶ? 1.ブルー 2.ピンク 3.グリーン 4.オレンジ 選んだ色でコギャル度がチェックできるよ。 1=オトナなあなた 2=コギャル以前なあなた 3=気がつけばお局なあなた 4=コギャル!! 会社支給でやむなくグリーンなオレはもうトシなのか? それは不可抗力じゃないのか? 質問 (b) あなたは有名スキーヤー。今、山の頂上にいてこれから一番難しい斜面をすべりおります。さて、今の気持ちは?(選択肢はないよ) これは、あなたが人をだます時の気持ちです 「行けーッ!!」とか叫んでるオレはもうだますのがカイカンなのか? オレはそんなに悪い人だったのか? |
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