>> BlackAsh Home | >> このページのTop |
BlackAsh | ■ McDonald's Decries Webster Over 'McJob' (米マクドナルドがウェブスター辞典の「McJob」という単語の掲載を非難) | 2003/11/09 15:42 |
日々の戯言 | Yahoo! News(アメリカ)より えらい長いですが、マクドナルドがこれからどうなるか、というお話 | |
『McDonald's says it deserves a break from the unflattering way the latest Merriam-Webster's Collegiate Dictionary depicts its job opportunities. Among some 10,000 new additions to an updated version released in June was the term "McJob," defined as "low paying and dead-end work."』 あっはっは。いやまあそれはね、ほんとどう考えてもその通りじゃないですかねカンタルポさん。マックのバイトの時給の低さと労働を考えてみれば直ちに納得するような話だと思うのだけど。文句を言うのであればそのあたりをケアしてから、堂々と「これだけの給料を提示しているのだから事実に反する」とでも言ってやればいいじゃないですか。それが世界に冠たるマクドナルド、他を圧倒する王者の風格ってものですよ。 記事全体の内容を大まかに訳すと、 「マクドナルドは、Webster Collegiate Dictionaryの新版発行に際し新しく追加された単語の中で、"McJob"が"低賃金で将来性の見込みもない仕事"と定義づけられていることに対して、レストランで働く1200万人の従業員を侮辱するものであると非難した。またマクドナルド内部のジョブ・トレーニングの名称として"McJOBS"という単語が商標登録されていることも挙げ、"McJob"が"McJOBS"に酷似していることをWebster側に対し警告したとのこと」 ということです。半年前くらいにマック業績回復の切札として米マクドナルドのCEOに就任したカンタルポさん、米マクドナルドの業績は2桁の増収で回復傾向だけれど、肝心の日本が相変わらず苦戦中で、いらついているのでしょうか。まあgooやexcite翻訳(入れてみてください)やアルクにもしっかり掲載、ブランド回復が至上命題だそうで、今回の文句もそれに沿ったものかどうか、は知りませんが、そんなことより他に改善すべき部分が山積みでしょうに。 さて、ニュースとしては遅れてしまったのですが、「日本マクドナルド再生戦略 「低価格路線」見直し 既存店低迷2年連続最終赤字」(産経新聞)ということで、日本マクドナルドはこれからぎりぎりの正念場を迎えることになるわけですが。回復策として、アメリカはどうやら、 『経営資源を本業に集中し、既存店売上高の回復を図る。昨年から多角化の一環で始めたサンドイッチチェーン「プレタ・マンジェ事業」を売却するほか、店内の大型スクリーンで情報発信するマックビジョン事業からも撤退する。今年末までに不採算の百八十二店を閉鎖する一方、新規出店は六十四店に抑え、店舗競争力の向上を図る』 まずはコア・コンピタンスの向上を図るべく経営資源を本業のマクドナルド店舗経営に集中させるみたいです。プレタ・マンジェってまだあったのか、と思うことしきり。何より注目すべきなのは、店舗拡大にここで急ブレーキをかける点。一般に外食産業は出店してから1年以上経過した既存店の売上は新規店舗よりもがくっと落ちる傾向にあるのですが、これをどのようにカバーしていくのか、ただ既存店売上高の回復を図ると言われてもそれだけでは全く見えてこない。米マクドナルドの具体的な対策に非常に注目ですね。そして、さらに 『主力のハンバーガー事業では、「マクドナルドブランド」の再構築に向けて通常メニューを強化する。これまでは「五十九円バーガー」など短期的な販売促進を中心としていたが、今後は商品力のある通常メニューを増やし、価格体系に一貫性を持たせる』 価格体系の一貫性というところには同意。主力商品の価格をころころ変えるから、消費者の信頼を失うわけですよ。いったい俺たちは何を食べさせられているんだ、と。そんなてきとーな価格設定ができるようないい加減なものを出されているのか、と。しかし、もう相当根深く「安かろう悪かろう」が染み付いてしまったマクドナルド・ブランド。価格を高めに設定して維持するには、この印象を取っ払い、回復させる必要がある。そのための具体的方策はどんなの? まさかあの「i'm lovin' it.」のCMでOKとか思ってる? 日本の消費者はそれほどバカではなくなってきているよ? パット・ドナヒュー日本マクドナルド会長兼CEO、ここでぐだぐだ文句を言ってるように見えるだろうけど、ほんと期待してるんですよ私は。アメリカのビジネスの底力がどういうものか、私はとても知りたいんだ。 『さらにマクドナルド・カナダ出身のピーター・ベレスフォード氏を事業子会社の日本マクドナルドの代表権を持つ副社長として招聘(しようへい)。営業本部やマーケティング本部などの責任者とし、八木康行社長を補佐する。パット・ドナヒュー会長や八木社長らとともに最高経営会議を組織し、今後の戦略立案にあたる』 これで、日本マクドナルドは本社直轄的な布陣に置かれたことになります。ベレスフォード氏がカナダマクドナルド元副社長という他にどういう経歴の方か不勉強にして知らないのですが、ベレスフォード氏の他に、トッド・タッカー氏(アメリカマクドナルドアジア等担当副社長)が執行役員として日本に参加するそうです。今まで日本マクドナルドの代表権を持つ経営陣は日本人2人(八木氏、石田氏)と外国人2人(バブロウスキー女史、ドナヒュー氏)と拮抗していたのですが、ベレスフォード氏の参画で本社側の意向が最終的に通ることが確実になったと言っていいでしょう。しかも、バブロウスキー女史はこの11月4日にアメリカ本社のChief Restaurant Operations Officerとなり、店舗運営にますます力を注ぎ込む様子。 そもそも、日本の業績不振は、アメリカ本社で採用され日本にも導入された「Made for You」調理システムの不味さと、藤田田氏の価格戦略のミスに主因があるわけで。後者は今回完全に是正されるようだけど、前者は… まだ使ってるんだろうな。あの調理器具で調理したハンバーガー、確かにバンズを15秒で焼くという恐ろしい機械なんだけど、その分パサパサで美味しくないのさ。創業から3代ずっとバイトあたりからのたたき上げの人材がCEOになってきてた(クロック氏、ターナー氏、クインラン氏)のに、公認会計士出身で財務運営に長けたグリーンバーグ氏がCEOになってこの機械の導入を決断、それでヘロヘロになってしまったという経緯があって。それで今回、アメリカマクドナルドは現場主義を復活、カンタルポ氏は公認会計士出身だけど、その懐刀としてCOOにバイトからのたたき上げチャーリー・ベル氏を入れた。日本の会長兼CEOドナヒュー氏も、実はバイトからのたたき上げだったりする。現場の声を一言でも聴けば、商品の質が落ちていることなど明らか、加えてサービスも粗悪なものになっていることは手に取るようにわかるはず。今回のアメリカ本社直轄的経営改革の成否は、「マクドナルドのお客の声をいかにして聞き取り、取り込んでいくか」に大部分がかかっていると思う。 しかし、藤田氏が最後まで維持した「人事・店舗展開戦略の日本的独自性の維持」という牙城がここで崩れるのか、というところも見逃せない。アメリカの消費者の行動と日本のそれとは大きく違うことは明らか。そもそもアメリカマクドナルドは郊外に店舗を展開してきたけど、藤田氏はそれでは日本ではムリと考え、中心地に次々と店舗を落として、これが大成功を収めた。途中で店舗展開戦略に大きなミスがあったようだけど、藤田氏の考えは、素人ながら間違っていないと思うのです。日本の国土は狭く、車で公害へという行動パターンは存在しない。ここを崩されたら、それはかなり微妙な方向へとマクドナルドを誘うでしょう。まあ、これまでの業績があるから大丈夫だと思うけど。 えらく長くなりましたが、ともかく、巨人マクドナルドがこれからどのように業績を回復させていくのか、非常に注目されるところです。 |
MailTo:BlackAsh Admin © 2001-2003, BlackAsh, All rights reserved Since 01/08/26 Printed in Japan |