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BlackAsh 世界青少年意識調査に関する考察 2004/08/01 17:22
日々の戯言 世界青少年意識調査に関して考察してみました。
「いんちき」心理学研究所の8月1日記事にて、日本の総務省が行っている第7回世界青少年意識調査に関する考察が掲載されていました。記事中では、日本、韓国、アメリカ、スウェーデン、ドイツの18歳から24歳のほぼ成人(選挙権及び民事責任につき、日本及び韓国で20歳、アメリカ、ドイツ、スウェーデンでは18歳となっています)の若者に何らかの方法で意識調査を行い、その結果をもって現代社会の問題と関連付けた展開が行われています。非常に興味深い調査結果であり、考察だと思います。以下、上記調査結果に対する考察を、「いんちき」心理学研究所の考察とリンクさせて概観してみたいと思います。別窓で「いんちき」心理学研究所を開いておくことをお勧めします。

上から見ると、『やさしくない親子関係』と項目立てられた部分では、若者が両親に対して抱いている感情の調査結果が掲示されています。「いんちき」心理学研究所の考察では、考察の展開の必要上「優しい」「友達のようである」という結果に対して注目していますが、私は、そもそもの調査の前提として、言語による意味の違い、及び「パーセンテージの分布がアジア2国と米欧3国とでは格段の格差があること」に注目したいです(第1位のパーセンテージがアジア2国では半分程度またはそれ以下であるが、米欧ではそれが7割ほどに達している。それ以下の各回答についても格差が見られる)。

まず、言語について、この調査はそれぞれの国の母国語で行われていますが、この調査では、例えば「尊敬できる」という日本語に対し、英語では「respectable」という翻訳がされています。日本でいう「尊敬」は「人格・識見・学問・経験などのすぐれた人を、とうとびうやまうこと」(大辞林第2版)ですが、少なくとも英語では、「respectable」には「considered by society to be acceptable, good or correct」(社会的に受容され、正しいとされている)または「fairly good; that there is not reason to be ashamed of」(正当で恥じるいわれの無い)(いずれもOxford英英辞典)とされています。全然違います。日本語のニュアンスをより正確に表現するなら「venerable」あたりでしょうか。同様に、「優しい」という日本語に対し、「kind」という英語が当てられていますが、「kind」には「caring about others; gentle, friendly and generous」(Oxford英英辞典)つまり「親切で気のよくつく・配慮できる」という意味合いで、日本語の「優しい」とは全く違った意味を持っていることが明らかです。これも日本で子供がいう親の優しさ、つまり子供の行為の寛容な受容を意味したいならば「indulgent」はあまりにマイナスの意味が強く言い過ぎの嫌いもあるとはいえ、より正確なのではないでしょうか。以上から分かるように、本調査の前提として、日本語の意図するところが諸外国の青少年たちにきちんと伝わってないと考えられます。仕事上翻訳が切っても切れない関係にある私としては、こういう点をまず見てしまうのですが、その心配がまさに的中です。

また、「パーセンテージの分布がアジア2国と米欧3国とでは格段の格差があること」は、この調査では非常に重要な意味を持つのではないかと思います。第1位以下各回答のパーセンテージが、アジアと米欧で余りに差がありすぎる。これはいったいどんな原因によるものか、と。そこで、この両親に対して抱く感情についての質問の選択肢を見てみると、複数回答可とされ、

1. 生き方の手本となる
2. 尊敬できる
3. 友達のようである
4. 厳しい
5. やさしい
6. うっとうしい
7. 自分のことをよく理解してくれる
8. 自分とはあまり関係がない
9. ここにはない
10. わからない・無回答


となっており、上記調査結果以外の選択肢が結構あります。つまり、複数回答にもかかわらずアジア2国の第1位以下各回答のパーセンテージが米欧より低いということは、より均等的に他の選択肢を選んだということを意味するのです。アジア2国は、両親に対して一貫したイメージが米欧に比して希薄であり、各人のばらばらな印象しかないという結論になりましょう。アジア、特に日本の特徴として、両親の家庭内での印象の薄さ、地位の不安定さが見て取られます。

次に、子供の経済的独立への意識調査の結果と、実際に一人暮らしをしているかどうか、家庭環境の調査結果を合わせて考察してみます。これを見ると、アメリカとスウェーデンで非常に興味深い結果が出ています。「いんちき」心理学研究所の指摘にもあるように、独立という言葉がイメージされるアメリカでは、若者は経済的独立への意識が低く、実際に同居率が高い。また、スウェーデンでは、経済的独立への意識が低いにもかかわらず一人暮らしの割合が突出して高いのです。加えて、年老いた親を養うべきかどうかの意識調査においては、アメリカが突出してどんなことをしてでも養う意識が高く、福祉国家で有名なスウェーデンではそれが突出して低いのです。これはいったいどのような意味を持つのでしょうか。

まずアメリカですが、これは非常に簡単です。まず一人暮らし率が日本より低い点については、アメリカの若者は成人したら家を出ますが(両親との同居割合がアジア2国よりも圧倒的に低いことから、両親からの独立は果たせています)、学生のうちはルーム・シェアリング、そして結婚年齢が日本よりも2〜4年ほど若い状況(日本では初婚が男性30歳女性28歳に対し、アメリカでは男性28歳女性24歳くらいです)、さらに加えて婚前前同居の多さ(500万世帯を超えています)からすれば、一人暮らしの割合が低いのは当たり前です。また、両親からの経済的独立への意識ですけれども、かなりの割合で、アメリカ人は家族を中心に世界が回っています。私の経験上、どんなに忙しいビジネスパーソンでも、この根底にある意識は変わりません。家族で一緒に食事をし、家族で一緒に旅行をする。一緒に話していてよくわかりますが、ほんとうによく両親の話が出てくる。これが彼らのよき国民像です。つまり、可能ならば家族とともに過ごし、家族とともに生活し、家族を大切にして一緒に助け合うということがアメリカの国民性なのです。これは、親を養うべきかどうかの調査結果でアメリカが突出して「何としてでも養う」と回答していることから明らか。アメリカの建国精神に言う「独立」とは、束縛からの解放を意味します(イギリスの支配からの独立でしたね)。決して、親からの独立を意味するのではありません。親に対する意識調査からもわかるように、彼らにとって、親は根本的に子供を拘束する存在ではなく、ともに解放と独立の利益を享受する仲間(無条件に敬う対象ではないけれど)なのですから。

対して、スウェーデンは一見奇妙です。福祉国家としてしばしば手本に出されていたあの国が、親に経済的に依存したいと思っているにもかかわらず一人暮らし率が高く、またどんなことをしてでも親を養うと考える割合が低いのですから。調査結果として矛盾を感じます。しかし、これもスウェーデンの国民性と社会状況を考えれば一定の回答は出ます。
スウェーデンは、アメリカも真っ青の個人主義がまかりとおり、子供は18歳になるとやはりアメリカと同様に家を出ます。しかし、初婚年齢が2003年調査で男性34歳女性31歳とおそろしく遅い。これは、スウェーデンでは同棲が法律的に認められ保護されていることと関係していると思いますが、それにしても晩婚です。とすれば、ルームシェアリング文化が発達していない北欧で、若者の一人暮らしが増えるのは当然です。
さらに、スウェーデンで特筆すべきは、その高額な税負担です。福祉国家を標榜したスウェーデンでは、老人の生活を公的に保護する政策を採り、ゆえに国民の税負担が過大になっているのはよく聞く話です。消費税は25%、給料から差っ引かれる税金その他公的負担は、別に高額所得者でもないのに給料の半分以上から7割にも達します。しかも、男女平等は強力に推進され女性の地位は保護されているスウェーデンですが、実際の女性の仕事はパートレベル。収入が少ないです。これでは、もともと収入が低い若者が一人暮らしで経済的に独立するのはかなり困難です。けれど実際には、個人主義により一人暮らしを余儀なくされている若者。彼が思うこと、それはもちろん両親の援助でしょう。ここに、経済的独立への意識の低さが説明できると思うのです。つまりこれは、もっと楽な生活をしたいという願望なのだと推測が出来るのです。
こんな状況ですから、若者にとって年老いた親の世話はとても難しい。というより、そういう福祉はもう国に任せたという意識でいるわけですよ。よって、親をどんなことをしてでも養うという意識は低いのも当然。そういうのは国の役目なのですから。それはまず国がやって当たり前。それが、福祉国家スウェーデンの意識なのです。

ちなみに、スウェーデンの福祉政策は既に破綻をきたしています。過重な税負担、過度の個人主義による家族の崩壊、離婚率は60%に及び、犯罪発生率は強姦で日本の20倍、強盗で100倍。平均犯罪発生率はアメリカの4倍。税金による福祉の維持は、国が成長し続けなければ不可能であるといういい手本となりました。また、もともとスウェーデンの福祉国家政策は、「福祉を家庭内でやるとほとんど女性が損をする。それはいけない。女性の権利を尊重しなければ」という動機がおおもとにあるという話です。もちろん女性だけに負担を押し付けてはなりませんが、かといって反作用が過度に振れるとやはりよい結果は出てこないのでしょう。

長くなりました。最後に学歴重視の程度ですが、これも「いんちき」心理学研究所で指摘されているとおり、日本では上位三傑に「学歴」が入ってこない一方、韓国と米欧ではいずれも3位に顔を出しています。韓国の学歴偏重はつとに聞くところですが、個人の能力重視であるはずの米欧で学歴重視の傾向が見られる理由はどこにあるのでしょうか。以下推測ですが、考察してみます。
確かに、彼らの風潮は個人の力が第一にあり、能力主義が幅を利かせているように見えます。しかし、忘れてはならないのは、米欧には個人の力ではどうしようもない問題が根深く存在するのです。それが、この世界青少年意識調査にもある人種問題、そして移民問題です。アメリカとスウェーデンでは人種問題が若者の問題意識のトップを占めています。これは、個人の力ではいかんともしがたい問題。この人種の壁を乗り越えるために、学歴という肩書は役に立つのではないでしょうか。現にアメリカでも、黒人やヒスパニックが努力して超一流大学に入り、事業を起こして成功するというのがアメリカンドリームのひとつのルートですし。そして、人種差別撤廃のため白人以外が優遇されるいわゆる逆差別に白人が対抗する方法のひとつとしても、学歴は挙げられると思うのです。
ドイツの場合、これは少し特殊でして、まあ人種移民差別の根幹である極右が台頭しているのは知られていますが、何よりも問題なのは高い失業率(10%近いです)。そしてその失業率は、東西統一後に顕著となりました。これは、人種問題というよりも一種の移民として考えられます。ドイツの若者の問題意識には人種問題は挙げられていませんが、その代わりに就職難がひどいというのが顕著です。その原因は、東西統一にさかのぼることが出来るのです。東西統一、これも個人の力ではどうしようもない。やはり、学歴というタイトルが頭に浮かぶのかもしれません。
他にも、ドイツでは学歴ではなく技術で身を立てるマイスター(職人)制度が少しずつ崩れ始めていることも、学歴を重んじる原因になるかもしれません。日本では大学進学率が5割を超え、普遍化してきたことも学歴を重んじなくなってきた原因かもしれません。いろいろな要因がありそうです。

以上、「いんちき」心理学研究所に触発される形ですが、世界青少年意識調査に関する考察を書いてみました。非常にラフな考察であり、ご指摘等があれば喜んで伺いたいところです。また、折に触れてこういう検討を行っていきたいと思います。


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