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BlackAsh モスバーガー、出口の見えない業績不振 “場当たり主義”に敗因? 2008/08/29 16:20
日々の戯言 情報元:東洋経済Online

久しぶりにファストフードの記事を書いてみました。もはや3年一昔、栄枯盛衰は激しいですね。
『4月以降、既存店売り上げ前年割れのモスは、6月に同8%減に沈んだ(下グラフ)。客数減が主因で、ファストフード大手の中で最も苦戦している・・・ 08年3月期はクーポン導入で客数を伸ばし、売上高は前期比4%増の623億円を確保したものの、不振のFC店を直営店に移行する費用がかさみ、営業利益は4割減の7・5億円へ急降下。そこへ店舗閉鎖損や減損などが追い打ちをかけ、当期損益では赤字に転落した。08年度も前期に引き続き閉店損が重く、6億円前後の最終赤字が確実だ』
モスバーガーが2期連続最終赤字となりそうです。この長引く不況、しかも現在の物価が上昇している一方で収入が上がらずという最悪の状況は、当然消費者たる私たちの財布の紐を締めさせ、それは私たちとダイレクトに商売している外食産業を直撃することになります。薄利多売のファストフードなんかはまさに大打撃のはず… なのですが、この不況にもかかわらず3年連続増収増益で元気いっぱいのマクドナルドに、長らくマクドナルドとモスバーガーの後塵を拝しつつも2007年最終決算を黒字で締めじわりと復活の兆しを見せるロッテリア。対してモスは、確か数年前まではマクドナルドに追いすがる一番手として新聞や経済誌で名が挙げられていたのに、もはや青息吐息。不況でも何とかなっているという証左がすぐそこにあるのに、なぜモスバーガーだけがこうしてじりじりと後退しているのでしょうか。

『01年、BSE(牛海綿状脳症)問題でハンバーガー離れが起こると、マクドナルドは翌年59円バーガーを発売、持ち前の機動力で対処した。一方モスは、店舗数と価格勝負を捨て高級路線に狙いを定めた。その象徴が04年、赤色を基調とした看板から緑色を基調とした高級業態「緑モス」への改装だ・・・ 付加価値の高いメニューを「ゆったりと落ち着いた快適空間」で提供するのがコンセプト。男女別の化粧室を設置し、店内は全面禁煙。一方で快適性を重視し座席数は縮小。しかし、入り口に張られた禁煙マークを見て、男性客の足は遠のいた。客数は05年度から06年度にかけて増えるどころか、逆に3%減少してしまう。東京都内のオーナーは「緑モスにして売上高が前年比3割減った。“緑モス倒産”した店もある。いったい誰が責任を取るのか」と憤る』
私は喫煙者、ただ紙巻きのタバコは止めて現在は葉巻ですが、ここで嫌煙派の方々とタバコについて論じ合うつもりは毛頭ありません。しかし、喫煙者はこの世の中に一定数存在し、しかも20代〜50代の男性がその中心であるという事実は、外食産業を語る上では非常に重要な問題と言えます。
外食産業のうちファストフードがターゲットにしている客層を考えてみるに、もちろん休日に自宅から繰り出す家族連れという客も挙げられますが、やはり基本中の基本として、ファストフードとは「行く店」ではなく「入る店」、つまりそこに食べに行くことを目的とする人をターゲットにするのではなく、外出時に何か食べる店を探して入る人をターゲットにする店であるということを忘れてはならないでしょう。ファストフードは、レストランのようにその店の食事を食べたくて「行く」店ではなく、仕事や学校など外出していておなかが空いた時にその場所にいくつかある候補店のひとつとして数えられ、その時の気分により「入る」店なのです。つまり、「入る人」はこの店に来ることを目的にしているわけではなく、気分が変われば別に他の店でおなかを満たしてもいいのです。
そしてここで言う「外出している人」とは、週の7分の5を占める平日においては、自宅を出て外に働きに出ている人が割合として高く、より具体的に言うならば、昨今の生活の多様化と女性の社会進出を考慮してもなお、成人男性の割合が高いと考えられます。そして、成人男性で働いているのは主に20代〜50代ですが、その年代の男性の半分弱が喫煙者なのです。
タバコを吸う状況としてよく挙げられるのが食後の一服です。つまり、食後に一服を習慣としている働くおじさんが、ちょっとおなかが空いたので「入る店」を探す時に、ある店で喫煙できないということになれば、その店に行かなくても喫煙できる他の店に行くだろうことは、容易に想像できることなのです。

モスバーガーは、当初駅前の一等地ではなく郊外の二等地を中心に出店し、その周辺の住民を集める形で実績を積み重ねてきました。これは、周辺住民にとっての「行く店」つまり「Only One」を目指してきたという意味を持ちます。マクドナルドの一等地出店で多数の顧客を相手に顧客獲得拡大をひたすら目指すスタイルとは違う、郊外での「そこにしかない味」を食べに「行く店」として、家族連れや車での来客を見込んでいたのです。もちろん今もその基本戦略は続いています。しかし近時、モスバーガーは、店舗の絶対数ではマクドナルドに圧倒的に及ばないものの、しばしば駅や繁華街でも見られるようになりました。1400店に迫る店舗拡大により一等地への出店が増えてきたのです。特に昨今創業者の甥である2代目社長が提唱する「ファストカジュアル」路線は、モスバーガー銀座カフェの出店に見られるように、一等地や都心への出店を加速させました。禁煙で打撃を受けたということはその証左、平日の昼間に成人男性がうろつくのは、郊外ではなく、会社と電車がある駅周辺、繁華街なのですから。そしてそういう駅周辺や繁華街では、モスバーガー以外にもたくさんの選択肢がある以上、ファストフードは、いくら品質を謳っても、言い方は悪いですが「ファストフード止まり」となります。郊外では「行く店」つまり「Only One」であったものが、選択肢の圧倒的な増加により、「入る店」つまり「One of Them」となるのです。そのような「One of Them」な店が、平日に外をうろつく成人男性の半分を、具体的に言うならば営業外回りでちょっと休憩に立ち寄るという使い方の半分を、ばっさり切ってしまえばどうなるか。嫌煙派の皆様方には大変申し訳ない話ではありますが、「One of Them」の店にとっては客のパイを広げるのは相当に重要なことからしても、どうなるかは予想の範疇となるでしょう。

そしてモスバーガーを語る時に必ずと言ってよいほど話題に上るのが「待ち時間の長さ」です。
『モスは注文を受けてからの手作りが特徴。必然的に時間がかかる。収益悪化で人を減らした店舗ではさらに客を待たせるようになってしまった。前出の神奈川県のオーナーは「売り上げが伸びずスタッフを減らした。店は汚れ、提供時間がかかり、クレームが出るなど悪循環に陥った」と赤裸々に明かす。もともと注文から提供まで7分ほどかかるが、店によっては15分かかることもしばしば。ドライブスルー店では、もはやファストフードの域を完全に逸脱した30分待ちさえ出現した』
まさに悪循環、ただでさえファストフードにしては相当遅いところに、安易な人員削減でサービスの悪化に追い討ちをかけた典型です。言い方は悪いのですが、大のモスファンでモスを「Only One」と思っているならともかく、一般的な消費者の視点からすれば「One of Them」の店で15分手持ち無沙汰はあり得ません。ライバルとなる他のファストフード、都心では立ち食いそば、牛丼、ラーメンなど、郊外ではファミレスなどの他の「One of Them」な店、そしてコンビニなどの「中食」は客を15分待たせることなど皆無だというのに、これではサービスもへったくれもありません。どうせ食べるならサービスのいい店で食べたいと思うのが合理的な一般人の思考です。それが出てくるのは遅いわ、タバコも吸えないので仕方なく回りを見回すと汚れてるわ、では、もはや勝負にはなりません。

加えて重大なのが、モスバーガーにおいて特徴的な「メニュー」「味」です。マクドナルドとは一線を画す「高級感」とそれに見合う「美味しさ」を提供して一時期はファストフード業界に旋風を巻き起こしたモスバーガーですが、その肝心の「メニュー」「味」にも変調を来たしているのです。
『メニュー施策でも緑モスは暗礁に乗り上げている。緑モス改装に伴って導入した580円から最高1000円までの高級ハンバーガー「匠味(たくみ)」。当初は話題を呼んだものの、調理に手間がかかるため店舗オペレーションが混乱、昼時のピーク時を除く限定販売とせざるをえず、収益への寄与は限定的だった。それどころか高級感を強調するあまり、逆に“モスは高い”というイメージを植え付けてしまう結果に。すると今度は低価格で高付加価値を狙った500円前後の洋風ご飯メニューを導入。だが、バーガーだけでもマクドナルドの9種類に比べ21種類と多いモス。店舗作業が追いつかず、導入店は当初計画の918店に対し、今年は約600店にとどまっている。こうして最大の強みだったメニューの訴求力も失っていった』
くるくる変わるメニュー。危なくなった時の小手先の修正。新規さを打ち出そうとして試みられるアイディアの数々。かつてマクドナルドは、収益が上がらないことに業を煮やし、徹底的な低価格路線を基調としてメニューの価格を頻繁に動かしていました。それが招いたのは、メニューと価格のバランスの不透明さから来る信頼の失墜でした。単品とセットとで次々と動く内容と価格を見て客が思ったことは「いったいこのハンバーガーはいくらが妥当なのか」「そこまで安くできるならいつもそのように出せ」「安くなるまで食わない」などなど、どうにもさっぱり要領を得ない、といったものでした。それを反省してアメリカ本社が様々な改善に入ったのが2003年のこと。そのニュースを私は当時解説しています。そこからマクドナルドは徐々に回復、上記のように2006年度から3年連続増収増益となるわけです。この失敗と成功を傍目で見ていたはずなのに、モスバーガーは同じ失敗をしました。
『減り続ける客数に業を煮やし、ついに“禁じ手”を繰り出した。「値引きをしない単品勝負」という創業哲学に反し、昨年4月から今年にかけ3回、単品で50円、セットで100円の値引きクーポン券を初めて導入したのだ。確かに客足は戻った。が、クーポン終了時とともに元の木阿弥。ドカーンと客足は引いた』
これはかなり痛かったはずです。客は来たのに収益はクーポンのせいで客単価が下がって上がらず、逆にクーポンにかかった経費が収支を圧迫、さらに追い討ちをかけたのは、クーポンを使った客が「またクーポンが出たら来る」という思考になったこと。安易な値引きは、その値引き後の価格で妥当と考えた客を離れさせます。これにどうして経営のプロは気付かないのか、今までさんざん繰り返されてきた失敗なのに、なぜモスバーガーはそれに陥ってしまったのか。創業者社長は決してこのような方策を採らなかった。創業者社長逝去の跡を継いだ現在の2代目社長は、なぜ創業者社長が値引きをしなかったのか、考えたことはなかったのでしょうか。値引き合戦なら体力がある方が勝つに決まっています。モスバーガーとマクドナルド、両者の体力差は一目瞭然。まともに勝負したらモスバーガーの敗北は見えています。それを知って、当初のモスバーガーは郊外二等地中心の出店とし、ファストフードとはいえ高級感を打ち出してマクドナルドとは別の土俵で勝負していたのですから。

そして、この記事では書かれてはいませんが、もうひとつ決定的だったのが「味」の変化です。東洋経済はビジネス誌として書きにくかったのでしょうが、私は個人的な所感として記しておきます。モスバーガーは明らかに味が落ちました。昨年2007年の春ころに、モスバーガーはあれだけこだわっていたバンズ、肉、ソースを刷新しました(公式pdf資料)。肉を牛肉100%から牛肉と豚肉の合い挽きにしたのを始め、相当な変更がされたようです。ただでさえ私はハンバーガーという商品をうまいと形容することはまずありませんが、「マックよりだいぶマシ」だったモスバーガーが、この刷新で「マック方面に相当近づいた」味になりました。バンズが軽くぱさつくようになり、肉は妙な歯ごたえと臭いが気になるようになり、ソースは薄く安っぽくなりました。全体的に軽薄に、高級感が失われ、量も少なくなりました。なぜこのようになったのか、それまでの収益不振を原因とするコストカットか、それとも開発部の方向性が致命的なまでに路線違いだったのか、いずれにしても、この「味」の変更は、今まで「味」でついていた固定客を手放す原因となりました。
他店と比べてのほぼ唯一と言っていい「モスバーガーがモスバーガーである所以」であり、モスバーガーがマクドナルドよりも「Only One」寄りであることの源泉であり、それに基づいた差別化を可能にしていた「味」が変わればどうなるか、もはや言うまでもないことでしょう。

<過去の分析の検証>

私はかつて、牛肉と豚肉の合い挽きのハンバーガーをモスに作ってくれという記事を書いたことがあります(BlackAshNews2003年8月27日)。この時はまさかこんな味になるなんて思ってもいなかったようです。ひとえに私の不明を恥じるべきでしょう。ファストフードの店に、本格的な合い挽きの味を求めるのは間違っていたのです。どう考えても、私が知っている美味しい合い挽きのハンバーグの味をあの値段で出せるはずがない。モスバーガーが謳う「高級感」は、あくまでファストフードという業態の中に限定されたものであり、決してレストランレベルのハンバーグ専門店のものではないのです。少し考えればこうして出てくる結論に至らなかったのは、当時新婚で嬉しくて相当に浮かれていた時の記事なのでしょうか、ろくに考えられておらず感覚のみを並べた内容に、過去ログという名の恥の集積の恐怖を感じざるを得ません。

しかし、過去ログが間違っているから恥だとかそもそも間違い以前に内容がキモいとかいう理由だけでひた隠しにしてなるものか、こういう集積も人間が学ぶためには必要なのだ、ということで、もうひとつ恐れずに出します。BlackAshNews2004年1月22日の記事では、私はモスバーガー匠味第2弾の分析をしています。記事中計算ミスをしていたようですがそれは修正済み、匠味シリーズの売上上限から計算して売上への寄与は限定的と予想し、モスバーガーというブランドの宣伝効果に着目した内容となっています。今ここで解説している標題ニュースからこの2004年の分析を見るに、匠味シリーズそれ自体の売上としての効果は限定的としたところは的中、モスブランドの宣伝効果があったことも当たっています。しかし、宣伝効果が行き過ぎて「モスは高い」ところまで至ってしまう点に対する警鐘は書かれておらず、予測できていません。そしてそのイメージ戦略の失敗がきっかけとなって「メニューの迷走」に至る経緯は、当然ながら全く読めていません。50点不合格、といったところでしょうか。

2003年〜2004年ころの私は、マック低迷モス成長という環境を引いて、両者を比較した上でマクドナルドの低迷を腐し、特に上でも紹介した2003年11月9日付日々の戯言のマック改革の記事にあるように、マクドナルドは価格における消費者の信頼回復と店舗内のサービス向上に励めという記事を書いていました。その後マクドナルドは実際に下手な突発的安売りを止めて価格を安定させ、現場でのサービスの向上に努め、業績回復の端緒をつかみました。もちろん私の分析の一端は当を得ていたといってよいと思いますが、もちろんそれだけではなく、私の分析では全く触れられていない「プレミアム」路線の導入による新たな顧客層の発掘、24時間店舗の拡大など、とにかく顧客獲得機会の拡大を図り、「One of Them」としての店のひとつのあり方を確実に示してきました。

<今後の展望>

現在は奇しくも、マクドナルドとモスバーガーの立場が真逆、マックが好調でモスが苦境という状況になりました。ここでモスバーガーは何ができるのでしょうか。モスフードサービスはハンバーガーに限った企業ではなく、別の業態でモスの名前を出さずにやっているものも多いのですが、ここではハンバーガーショップに限定して考えてみましょう。

まず、不採算店舗をこれから90店舗ほど閉鎖して整理するとのことですが、今後まだ続くであろう原油高によるコスト増加と、その増加コストの価格転化による客離れを考えると、おそらくその数では足りないでしょう。とことんやって、毒は早めに出し切ることが肝要です。外科手術は一気に手早くがポイント。体力がない会社は、いったん毒が入ると相当早く回って死に至ることがしばしばであり、それは特に昨今のdog yearな社会では顕著、少し対処が遅れただけですぐに倒産の憂き目に逢うことになるのです。
しかし、不採算店舗の閉鎖は単純なコストカットを意味してはなりません。これもよくある手法で当然ですが、採算が取れているところには惜しみなく経営資源を集中させ、経営の安定を図る必要があります。モスバーガーの不振の理由は何よりも第一に売上高の急激な減少にあるわけですから、そのためには、コストカットだけではなく、客を店に戻さなくてはなりません。その方法としては2つあります。即ち、「One of Them」として覚悟を決めて、薄利多売、新規顧客開拓、機会拡大の路線に走る途がひとつ。もうひとつは、客にとっての「Only One」を目指して、モスバーガーをモスバーガーたらしめていた「高級感」と「味」への「信頼」を取り戻す、つまり既存顧客を呼び戻す路線です。

ここでモスバーガーに関してよく言われることは「味を元に戻せば客は戻る」という意見です。しかしながら、単純に「味」を戻して従来の経営を貫こうとし、客の「Only One」を目指しても、特に一等地や都心の店舗では困難が伴うでしょう。モスバーガーは、もはや郊外だけでのんびりと各店舗の個性を出して微笑ましい経営を行えるような業態ではないのです。繰り返しますが、他に店が腐るほどある一等地や都心では、誰がどうがんばっても、余程の付加価値をつけない限り「Only One」になるのは困難です。加えて郊外でも、ファミレスその他モスバーガーと同一価格帯の店が増えてきている昨今、「Only One」の地位を手に入れることは相当に難しくなっているはずです。モスバーガーの価格帯では、そのような付加価値を捻出することは極めて厳しい課題です。それがわかっており、まさに今その困難に直面しているからこそ、モスバーガーはこうして「価格」と「味」と「コストカット」の狭間を迷走しているのです。そして、その「迷走」が、ジャンクフードなのか高級志向なのかいまいちはっきりとしない「中途半端」さを醸し出し、故に、消費者に名前は浸透しているけれど足を運んでくれないという状況を作出しているのです。

ならばひとつの方策として、郊外店舗は赤モス、都心・一等地店舗は緑モスとするなど、営業形態の違いで切り離して、極端に言うならセクション分けに留まらず分社化までしてマニュアルもリソースも分けそれぞれの効率を最大限に追求し、ブランドも完全に独立にしてしまうという戦略があり得るように思います。マクドナルドはいつでもどこでも全部同じが売りですが、それはこの巨艦だからこそできること。もともと細やかなサービスと味で売っていたところに、それほど体力が無いにもかかわらず合理化のため全部同じにしようとするから、何事も中途半端になるのです。ブランドイメージで売ってきたモスバーガーは、そのブランドを中途半端にしないように、赤モスは旧来の味と丁寧な接客、信頼と安心の「Only One」を目指し、対して緑モスは単純に「One of Them」としては体力的にマクドナルドには敵いませんから、例えばスターバックスの行っている「居心地のいい空間提供」のような形にシフトしてモスバーガーが提唱する「癒し」を集中的に狙って展開するなど、巨人マクドナルドとは別の売りを付加価値としてつけ、違う土俵で「One of Them」として勝負することが肝要になってくるように思うのです。

これからモスバーガーがこのままで何とか立て直しを図るのか、それとも旧来の創業時の伝統を守る路線に復帰するのか、それは経営陣にとって運命を左右する重大な選択だと思います。私のこの分析が一消費者の意見として当を得たものとなるのか、それとも素人の浅はかさを露呈することになるのか、また4〜5年後、もし本サイトがまだ続いていたらではありますが、楽しみにしておくこととしましょうか。


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