| ウェルター級契約ノンタイトル12回戦 Black採点 デラホーヤ 99999989 パッキャオ ******** 8R終了TKO
誰が採点しても上記のとおりにしかならないだろう、余りにもわかりやすいワンサイドとしか言いようがなかった。まさかこんなことになるなんて、全く思ってもいなかった。全盛期は過ぎたと言えど曲がりなりにも6階級制覇、間違いなくボクシングの歴史に名が刻まれるべきチャンピオンであるデラホーヤ、しかも相手のパッキャオは、メイウェザーJrが引退した後は現時点最強P4Pの呼び声高いとは言え、そもそもこのような試合が組まれること自体がおかしいという異論があちこちで吹き出るほどに、デラホーヤとの階級差が余りにもひどすぎたのだ。 『パッキャオはライト級(61・2キロ)王座奪取でアジア人初の4階級制覇を達成したが、始まりはフライ級(50・8キロ)。それに比べてデラホーヤはスーパーフェザー級(58・9キロ)からミドル級(72・5キロ)までを制している。途方もないハンディがあり、今回の一戦は「パッキャオの大冒険」とも表現されたほど』 通常それぞれが上がるリング上では、互いに10kg差があると言っていいだろう。10kg差というのは、余計なだぶつきばかりの我々素人ならともかく、互いに限界近くまで筋力とスピードの密度を上げるべく鍛え抜かれた格闘技の世界では、絶望的な差があるということを意味する。179cmのデラホーヤに対するは168cmのパッキャオ、リーチは10cm差。体格とパワーにおいてデラホーヤは明白にパッキャオを上回っていた。しかしパッキャオは、スピードで全てを支配した。遠間から軽く放つ左ストレートはまるでジャブのようにデラホーヤのガードをすり抜けてヒット、ボディを打っての身体ごとの移動、左ストレートと右ボディフックを組み合わせたフェイントの連続、時折見せる凶悪なアッパー、右回りから左回りに変え、踊るようなステップを見せ、最後は突き刺すようなボディでデラホーヤを完全にくの字に折り曲げて… 最初から最後まで、パッキャオの躍動と技術のみが光った試合だった。
デラホーヤは、相手がパッキャオだからまだプライドは保てたものの、今日の動きであれば他の並のボクサーにも倒されていただろう。余りにも出来が悪すぎた。もういい加減、身の退き時だろう。減量失敗と何より35歳という年齢から来る衰えで、ひざが全く使えていなかった。だいたいがデラホーヤのその時の調子は、一発目に打つ左ジャブでわかる。まるでハエが止まりそうな遅いジャブには、往年の切れ味は1ミリたりとも残っていなかった。見ていて情けなくなってくるほどだった。これだけの階級差で、しかもワンサイドで負けるということは、チャンピオンが衰えて負けていくという世の流れとはまた違う意味を持つのだ。一言で言えば、どうしようもなく恥ずかしい試合をやったのだ。こんなカードを組む方も組む方だし、それでこの醜態を見せるとは何たるざまだろうか。フィジカルも、そしてメンタルも、今のデラホーヤは戦える状態にない。率直に言って、もう二度とこんな無残な姿を見せずに、以後はプロモーター業でがんばってほしい。既に十分儲けられる下地は整って、後はプロモーター業でも世界一を取れるかどうか、まで来ているのだから。
パッキャオはこれからどうするんだろう。次はハットンという何とも相性が悪そうな相手ではあるが、ここまで来たら華麗に翻弄してほしい。そして次は… うーん、無理な階級アップだけは止めて欲しいのだが。
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