| 『今月8日の国際女性デーを記念して、ニューヨークのウォール街に登場した果敢な少女の銅像が、来年3月まで雄牛の前にすっくと立ち続けることになった。ニューヨークのビル・デブラシオ市長が27日、発表した』 写真がえらいかっこよかったので思わず更新。実際は牡牛の像にそこまで接近して設置されていないのですが、写真の撮り方って重要ですよね。 もともと3月12日までの予定で3月8日の国際女性デーに設置されたこの少女像「Fearless Girl」、女性の社会進出・働く女性の地位向上をアピールするために作られたとのことです。ニューヨークのウォール街と言えば世界経済の中心たるニューヨーク証券取引所、そこに上場しているアメリカ大手企業上位3,000社の1/4が女性役員不在ということで、男の職場へのチャレンジの意味が込められた展示とのこと。 そしてこの牛の像「Charging Bull」は、かのブラック・マンデーを受けて、為替・株式相場の力強い上昇・アメリカの力の象徴として制作され、1989年に設置されたものです。元来「bull」(雄牛)とは為替・株式で上昇相場・強気・買いを意味する業界用語。雄牛がその角を下から上に突き上げる姿になぞらえたものです。逆の下落相場、弱気、売りを意味する用語は「bear」(熊)。雄牛よりも強そうに見えますが、熊がその爪を上から下に振り下ろす姿に由来するものです。もし何かブル・ベアとか牛熊とかいう組み合わせに出会ったら、ああ金融業界の人かなとか為替や株やってる人かなと思っておいてください。
しかし、この「雄牛」と「少女」の組み合わせはいったい何を考えているんでしょうかね。私の周りには女性の社員が多く、毎日毎日実に助けられておりますので、特に女性の社会進出に異論を唱えるものではありません。しかしながら、金融関係の仕事をやっている身としては、その、何と言うか、相場上昇に文句付けられてもちょっと困ってしまうんですけども。トランプ相場は一過性のものとしても、リーマン・ショックの記憶が未だ薄れぬ中、これからみんな頑張ってこの上げ相場に乗って景気を回復させていかなければならないというのに。あれですか、女性は景気回復を望んでいないということですかね。どうせなら熊に乗って雄牛に立ち向かうってのがよかったんじゃないですかね。それとも逆に「ガンガン行くわ信用二階建て三階建てよ!」とかいうfearlessなぶっ込み推奨ということですかね。それはそれでかっこいいかもしれませんが、相場の養分になりたくなければ理由もなく一張羅のドレスを着て嵐の中で踊るようなことは避けた方がいいと思いますよ。テイラー・スウィフトの「Fearless」売れましたよね。そんなロマンチックなone-horse townではないですよウォール街は。
『身長121センチの少女像と並んだデブラシオ市長は、「恐怖と権力に立ち向かい、正しいことをするための力を自分の中に見出すことのできる」姿だと称え、「ニューヨークの人たちにとって、実に大切な」ものだと話した』 反トランプ派のニューヨーク市長、おそらくは、度重なるトランプ大統領の女性蔑視発言に対して抗議する意味もあるんでしょう。ただ、当のウォール街で働く金融業界の人はこれをどう思っているんでしょうか。存外にゲンを担ぐ傾向のある金融業界の人々、女性の権利とか男女間の賃金格差とかそういう難しい話を抜きにして、率直な感想を聞いてみたいところですね。
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