| 『家電量販店のラオックスは28日、筆頭株主の中国家電量販大手「蘇寧電器」グループの子会社になると発表した。第三者割り当て方式で新株を発行し、蘇寧グループが引き受ける・・・ 発行額は計約90億円で、蘇寧グループのラオックスの持ち株比率は34.28%から計65.3%に上昇する』 2000年ころから始まった経営不振、8期連続赤字決算に加えて秋葉原電機不況をもろに食らった経営危機を2009年6月の中国資本による増資で何とか切り抜けたラオックスが、今回の増資で中国資本の完全子会社になります。2009年に中国資本を注入した後、中国を含めた外国人向けの商売を積極的に増進、一時期は本店店員の3分の2が外国人、実に123カ国語に対応可能という恐ろしいマルチリンガルっぷりを発揮していました。特に中国からの観光客を観光バス丸ごと乗り入れで受け入れ、中国富裕層の日本製品一括まとめ買いで持ち直していたようです。ある休日のラオックス店内の光景、店員も買物客も中国人しかいなかったのを見て、私はここにいてはいけないのではないかと、どうにも苦笑いした記憶があります。しかしながらやはり観光業は水ものでして、 『ラオックスは東日本大震災後、主な客層だった中国人客が激減して経営の厳しさが増し』 とのことで、ここへ来て東日本大震災の余波をもろに食らったということです。やはり外国からの観光客を当てにするのは業績が不安定になりがちということで、これは当初から指摘されていたことでもあります。
しかしながら、ラオックスは中国資本が参加する前から、上にも書いたように2000年前後から既にビックヨドバシに価格の面で対抗できておらず… ああ、これは秋葉原で2000年前後に店舗を構えていたほぼ全ての家電小売についても言えることですが、日本の家電・電機産業の下り坂を迎えていたそのころ、ビックヨドバシそしてその後台頭してきたヤマダには体力面で完敗するのは目に見えており、他の付加価値で勝負するしかなかったところではあります。ラオックスだけではありません。ロケット、サトームセン、石丸、ヤマギワなど、いわゆるアキバ電気街の老舗と言われる店はみんなそうでした。そして付加価値を付けることができなかった企業は、特に2005年9月以後、つまりヨドバシAkibaの開業以後は、沈没するか、船を小振りにして近海で細々と獲ることしかできなくなりました。特にラオックスは、店舗が広く品揃えがそこそこあったことも相俟って、消費者には「ザコン(LAOX THE COMPUTER館)でチェックしてビックヨドバシで買う」という行動様式が確実にありました。それらの老舗で買わせるだけの付加価値がなかったことの確実な証左でしょう。
ラオックスは今年初頭、中国人観光客で売上がかなり伸びていたようです。そこに来てこの大打撃。そりゃあ1日1000人を超える客がぱったり来なくなったら死活問題どころではないでしょう。中国資本の子会社になり、恐らくはますます「中国企業の日本支店」の様相を深めていくことと推測されますが、相変わらず価格は仕方なく、店員は接客態度などの前にそもそも日本語が危ない場合もあるわけで、昔のように「ザコンで見る」機会すらもうないのではないか、と私個人は思ってしまうのです。ザコンなあ、ヒマな時に結構遊びに行って、価格が他店と変わらない書籍はそれなりに買ってたんだけどなあ><
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