2011年 4月 18日
(月)
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◆ 演歌界に震災余波 歌詞がマズい「NG曲」ばかり
(東京スポーツ)
[09:27] |
| こればかりは、今回の東日本大震災で直接の被災をしていない私が「被災者がどう思うか」などと憶測を働かせてもどうにもならないところではあります。しかしながら、 『歌謡界では、東日本大震災の余波が年末まで影響しかねないとささやかれている。演歌界でひそかにNG曲リスト≠ェ浮上しているのだ・・・ 名曲といわれる演歌には「波」「海」「別れ」など、震災の悲しみを増幅させるようなフレーズが度々登場するからだ』 何ともはや思案投げ首、悩ましい話です。全くもって演歌に限られない話じゃないですか。真っ先に思い浮かぶのはサザンオールスターズ「TSUNAMI」、これは明らかにあと数年はテレビで放映されないだろうなと容易に想像されるのですが…
『今後も当分の間は、この流れは変わらないとみられており「特に駄目だろうと言われているのが天童よしみの『珍島物語』。さすがに『海が割れるのよー』は、きつい』 ああ、韓国の珍島で発生する海割れですね。引潮になると海中に没していたところが道のように現れる現象で、地震も津波も全く関係ないのですが。 しかし、ここまで直接的でなくとも、特に別れや失恋を歌ったJ-POPには「波」「海」「揺れる」「流される」というフレーズが相当程度使われているはずです。情報ソースの2ch該当スレの書き込みからピックアップしてざっとまとめてみました。なお、当然ですが、これらはどれも地震や津波を歌った歌ではありません。全く関係ありません。
TUBE全般:海ばかりですよね… 西野カナ全般:会いたい会いたいでも会えないばかりでついでに会えなくて震えますよね… 堀ちえみ全盛期:「ジャックナイフの夏」など夏と海が多いですよね… 80年代前半〜半ばのアイドルたち:ビキニ着て夏と海ばかり歌い過ぎですよね… 石川秀美「ゆ・れ・て湘南」:タイトルからして… 渡辺美里「BIG WAVE やってきた」:タイトルからして… さだまさし「防人の詩」:サビ「海は死にますか」あたりの下り。 KinKi Kids「ジェットコースター・ロマンス」:初っ端から「波はジェットコースター」。 ポルノグラフィティ「サウダージ」:サビ「甘い夢は波にさらわれたの」。 内山田洋とクールファイブ「東京砂漠」:砂漠と思いきやサビ前に「ひとの波だけが黒く流れていく」。 サザンオールスターズ「太陽は罪な奴」:ラストサビに「Aクラスの姐ちゃんたちの放射線」と別角度から。 テレサ・テン「流されて」:名曲ですがサビに「流されて、流れ流れ」が繰り返されます。 ゆず「いつか」:ラストサビ「いつかまた大きな波があなたを連れ去ろうとしても」。 矢井田瞳「My Sweet Darlin’」:Aメロでいきなり「ビルも道路も世界もひと思いに壊れてもいい」。 工藤静香「嵐の素顔」:2番サビ前に「「海が割れればいいの…」。 中島みゆき「土用波」:「流れゆけ流れてしまえ根こそぎの土用波」は強烈です。
上記のとおり、この自粛が続くとTUBEと西野カナはその生命線レベルでまずいわけです。念のため繰り返しますが上記はいずれも地震や津波とは全然関係ない曲です。そして驚くべきことに、こういう情念の話と一切関係ないように見える無機質なエレクトロ・ポップの旗手Perfumeがですね、
Perfume「エレクトロ・ワールド」:冒頭から「地図に書いてあるはずの町が見当たらない」の下り、その後も全般的に。
セールス的にはそこまでではないですが代表曲と言っていいですよね。三度繰り返しますが、この曲も地震や津波と全く関係がありません。まさかのPerfumeがここに挙がるとは、書いている私も驚きです。
『とはいえ、実際にテレビ局に「この曲は放送してはいけない」というNGリストが存在しているわけではない。「プロデューサー判断というのが基本の自主規制ですが、事務所やレコード会社の方からイメージを気にして『この曲は、ちょっとやめませんか』と提案してくるパターンもある」』 もちろん被災者の思いは様々で、今はそんな曲なんて聴きたくないと考える人もいるでしょう。逆に、全然気にしない人や、好きな曲なら聴きたいとリクエストする人もいるでしょう。宮城県を始めとする被災地には漁師町も相当数含まれているわけで、そうであれば日々海や漁を歌った演歌に親しんできた方々もいるでしょう。 そして被災者の方々が何を聴きたいかを被災していない者が軽々に判断することはできないところでしょう。当然、これを「過剰な規制」もっと有体に言い切れば「バカバカしい自粛」と感じる方もいることは承知の上で、それでも私はそう言い切れない。被災された方、身内や友人が被災した方がいったいどれだけの思いを背負っているか、被災しておらず、被災地にいた友人も皆助かって元気な声を聞くことができた私にはわからない。だからこそ、少なくとも被災しておらず身内友人も巻き込まれていない人が被災者を慮ってテレビ局その他に抗議するような真似は、可及的避けるべきではないか、と思うのです。
願わくば、どこも歪まない解決を。下の記事でも書いたように、不況のみならずコミュニティが何らかの苦境に陥るとまず細るのが文化です。けれど、そういう状況を乗り越えて積み重なってきたものもまた文化です。連綿と続くこの歌という文化を消さないように、けれど過剰なまでに第三者を傷つけないように、微妙な調整を人は今まで続けてきましたし、今も、そしてこれからも、きっとそうであるはずです。
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◆ 米名門オーケストラが破産申請へ=フィラデルフィア管弦楽団
(Yahoo! ニュース)
[03:39] |
| 『1900年創設の米名門オーケストラ、フィラデルフィア管弦楽団は16日、破産法の適用を申請することを明らかにした。米経済が低迷する中、米主要オーケストラによる破産申請は初めて』 おおお、アメリカオーケストラでシカゴ交響楽団、ニューヨーク・フィルハーモニック、ボストン交響楽団、クリーヴランド管弦楽団と並び称される五大オケだったフィラデルフィア管弦楽団があえなく沈没… リーマンショックの激痛はまだ色濃く業界に残っていますが、その余波がこんなところにも。まあオケってのは大規模になればなるほど業態上黒字になることはほとんどないとのことで、運営の大部分を政府の補助金と企業の寄付に依存しているわけでして、企業が青息吐息の中ではこの結果も致し方ないところではあります。別にその業態が悪いということを言っているのではないのですが、不況時には文化が細るのはどこも同じ。こういうものが余裕を持って維持される社会に早く戻ってほしいものです。フィラデルフィア管弦楽団中興の祖であるオーマンディは、きっと天上で忸怩たる思いに歯噛みしているに違いありません…
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