| 今年もボジョレ・ヌーボーの解禁と相成りまして、以前のようなブームはないものの、ワインもそれなりに嗜む私としては、まあ初鰹的な感じでこれを飲まないとどうもすっきりしません。とりあえず昨日さらっとイベントを片付けてまいりました。今年はですね…
『毎年のように盛り上がるこのボジョレー騒動で、「今年のボジョレーはダメ」という評価を見た記憶がない。それどころか毎年のように「今年のボジョレーは最高!」という評価ばかり目にしているような気がする』 まあそりゃね。ワインというものは普通何年も熟成させなければカネにならず、熟成期間は絶えず在庫リスクが付きまとうわけです。樽から瓶に詰めてもブショネったりしたら台無し。その中でヌーボーは、ワイン醸造所にとっては貴重な即キャッシュになる品物ですから、売れないと困るわけです。そんなことは十分わかってますし、むしろそれを楽しみたいところですね。標題リンク先ではここ15年の謳い文句がずらり。2000年代から抜粋してみると
00年「出来は上々で申し分の無い仕上がり」 01年「ここ10年で最高」 02年「過去10年で最高と言われた01年を上回る出来栄え」「1995年以来の出来」 03年「100年に1度の出来」「近年にない良い出来」 04年「香りが強く中々の出来栄え」 05年「ここ数年で最高」 06年「昨年同様良い出来栄え」 07年「柔らかく果実味が豊かで上質な味わい」 08年「豊かな果実味と程よい酸味が調和した味」
いったいどの年がいいのか一見してわかりかねて苦笑いしきり。まあ記憶では2003年はよかったですね。そして今年は何と、
09年「『並外れた年』と言われた03年と05年をも越えるであろう」
と、100年に1度の出来という2003年超えを果たしております。ほんとかなあ、ということで飲んできたわけですが、今年は確かにどの価格帯のものを飲んでもそこそこしっかりしていますね。果実味が例年より深くて、まあややマイナーな醸造所のを選んでいたのでそこの作り方だったのかもしれませんが、渋みが少し強めでした。その代わり、ということになるのか、青臭さやフレッシュ感は弱く、ヌーボーというラベルにはややそぐわない感もありました。そこらへんのコンビニとかで売ってるのはまだ飲んでないのでわかりませんが、まあ全般的に悪くはないんじゃないかと。
ここで、しばしば言われるのは「ボジョレ・ヌーボーなんて有り難がるのは日本人だけ」「ボジョレ・ヌーボーよりチリの安ワインの方が」などですが、そんなことより、このストレスフルな世の中で季節感くらいは忘れずにいたいなあと思う次第。和食でも秋物をたくさんいただいていることですし、ね。また「フランスでは1000円以下」と言いますが、んじゃフランスに飲みに行くか、となるとちょっと残念ながら1000円では済まないっつーかそもそもそんな時間がないので、航空便で高くつこうが日本で飲むしかないのです。つか今年安くね? 仕入れをいろいろ聞いたけど何か今年はわーいなお値段ばかりでしたよ。
まあ、こういうのも含めていろいろなものを飲みたいわけで、例えばリヴザルト1929年の残り方や、はたまた1960年代キャンティの熟女どころか衰えまくって老境を迎えるワインの味も、私にとってはひときわ楽しい記憶なのです。いやあれは面白かった。普通の店じゃ「盛りを迎えるワイン」しか出てきませんから、貴重な経験をさせてもらいました。
今年も、もう少しで、楽しい楽しい冬が始まるのですねえ。
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