| 『米政府が支援している米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)による巨額ボーナス問題をめぐり、米議会下院は19日、救済を受けている主な金融機関のボーナスに9割課税し、大半を回収する法案を賛成328票―反対93票で可決した。50億ドル(約4800億円)を超す公的資金を得た金融機関から1月以降にボーナスをもらった人が対象で、政府は基本的には支給額の9割を回収できる』 さすがアメさんはやることがクソっ早い。公的資金注入を受けている企業のうち、それを「利益」と判断して従業員や役員のボーナスに回すところが出てきて、アメリカ国民が超激怒というニュースはしばらく前から流れていましたが、それに対応すべくオバマ政権が素早く動いたということになります。ああ、20年くらい前になりますか、日本でもいわゆる「住専問題」というものがありましてですね、その時にも苦境に陥った銀行に対して公的資金を注入するかしないかでやっぱり大もめ、同じように「今まで高給をもらっていたくせにやばくなると俺たちの税金に頼るのか」という国民感情に乗っかって、政治家たちの虚々実々のパフォーマンスがあったりして、ずるずると長引いていたものでしたが、まあこういう時はどこの国でも同じですよね。それが果たして正しいかどうか、ということについては別ですけれどもね。
『AIGは13日、幹部ら418人に総額1億6500万ドル(約160億円)のボーナスを支給。10万ドル以上をもらった約300人のほとんどが課税される可能性がある』 こうあるように、この法律は、既に支給が決定し、または既に支給されたボーナスに対して、公的資金注入を受けた企業の役員というほぼ個人を狙い撃っての課税となります。アメリカの地方税も考えますと、支給されたボーナスのほぼ100%を行政が回収できるようになるわけです。これは「事後法の禁止」つまり既に起こったことに対して事後的に法律を制定してそれに適用するという、近代法律の原則に一見抵触するようにも見えます。しかしながら「事後法の禁止」とは別に「遡及処罰の禁止」とも言われるように、刑事について適用される原則であり、民事法と税法については合理性があるならば認められるものでもあります。さらに言えば、今回は、そのボーナスをどうにかするわけではなく、そのボーナスに対して「まだ決定されていない税率」をいじるわけですから、これは既に起こったことに対してではなくこれから起こることについての法律ということで、「事後法の禁止」に当たらない、ということになるわけです。オバマ大統領も元弁護士ということで、このあたりは演説で激昂しようが十分理解しているわけです。
加えてここで推察するならば、これはオバマ大統領以下政権が今後も公的資金を注入するために行った、苦肉のパフォーマンスとも言い得るのではないかと思えるのです。つまり、この金融危機とは、潰れそうな大企業に公的資金を注入しないとアメリカの屋台骨が傾くというレベルで切羽詰まっているわけですが、上述したとおり、こういう場合には「それ見たことか」という一般国民の峻烈な、有体に言えば「貧乏根性」が炸裂して、しばしば公的資金つまり税金を使っての救済に影響が出るようになります。政治家としては、どうしたって税金を入れないとマジで国自体がやばいことは十分理解していますが、肝心の支持基盤の一般市民はそんなことをこれっぽっちも理解しておらず、「ふざけるなクビにしろ」「今までの給料を全て返せ」「死刑だ」などと愚にもつかないことを言うばかり。あのね、役員をクビにしてたかだか数億円〜数百億円の給料を全額返納させてから死刑にしてこの事態が解決するならね、みんなここまで苦労してないっての。そんであれだ、事態が収集されず長引けば「税金で俺たち貧乏人を助けろ」でしょ。不一致にも程があるわけですよ一般市民というものは。ま、その不一致っぷりをどうにかするのが選挙で選ばれた政治家の仕事であるわけで、一般市民は当然そういう言行不一致の責任を取る必要もないばかりか、実は大いにその時々の時流を反映した愚にもつかない意見を言うべきというのがこの民主主義というやつで、ここまで馬鹿にした風に書いておきながら私はこの制度に反対しないのですが、そういう一般論をここで話し始めると長くなりすぎるので割愛、というか明らかにここでは余談。
話を元に戻しますと、現在アメリカの政治家や官僚はどうにか公的資金を注入したいと思っている。そうしないとアメリカという国自体がやばい。というか自分たちのポジションがやばい。けれども一般市民は、公的資金をボーナスなんぞに回す企業が出てきて激怒中。もちろんこの「公的資金ボーナス回し」という行為はさすがに非難されるべきもので、現在公的資金注入対象企業の株式を持っているアメリカという国がその企業と役員に対して株主代表訴訟を提起して法廷で争えば、恐らくは厳しい判断が下されると思われます。しかし、今それをやっていては間に合わない。正当な手続である株主代表訴訟をやっていたら年単位で時間がかかる。全てが手遅れになるわけです。そこで、公的資金注入のルートを残して何とかアメリカと自らの地位を守りつつ、一般市民の不満を何とか解消するために、こういう「課税」というある意味裏ワザをぶつけて調整を取っているわけです。オバマ大統領はただ義憤に駆られて激怒しているわけではなく、というかそんなことを信じる人は脳味噌がどうかしているんじゃないかと思うわけですが、だいたいが政治家のやることにはそれなりの意味があるわけで、今回彼は演説で咳き込むほど怒って、調整のサインを出していたわけです。
もちろん、これで完全に調整が図れたわけではなく、 『大型救済を受けているバンク・オブ・アメリカやシティグループ、JPモルガン・チェースなど十数の大手金融機関も対象に含まれる見通しだ。金融機関が今後、公的資金による資本増強を嫌がる可能性もあり、肝心の危機対策を弱めてしまう危険性も指摘されている』 というように、今度は企業側の公的資金受入に難が生じる可能性があります。お金をもらえなけりゃ働く気も失せますから人材も流出する。何とかこの事態を軟着陸、つまり一発大爆発の破綻ではなく段階的に破綻させていこうというプランは水の泡になるわけです。まあここまで来ても「金融なんぞ死んでしまえ」などという愚にもつかないを通り越してほぼ自殺レベルの意見をいう一般市民には、さすがに政治家たちは耳を傾ける必要はないですが、それにしてもこの調整の難しさたるや、筆舌に尽くしがたいかと。オバマ政権も必死で舵取りを試みてはいますが、どうにも上手くいっていない様子。ほんと何とかしてほしいものです。そうすれば日本も引きずられて回復して、壊滅的な打撃を受けた日本の金融と不動産も戻ってきて、私の仕事も安定し、PSPに進出して新キャラ登場な上に今まで出された歌がリミックスされて新規録音されつつさらに持ち歌以外の女の子も全員歌うというDC商法も甚だしいアイドルマスターのCDを今後買っていこうかどうしようかと悩むこともなくなるのです。給食費にも事欠く我らが高槻やよいの安眠を守るために、オバマ大統領には今後一層、粉骨砕身して景気浮揚に邁進するよう、この記事をもって切に希望する次第です。フレーフレー頑張れ!! さあ行こう♪ フレーフレー頑張れ!! 最高♪
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